2008年05月12日

人権を冒涜する国連

先週、こんなニュースがありました。

国連人権理事会:死刑執行停止を日本に求める

【ジュネーブ澤田克己】国連人権理事会は9日、国連欧州本部で日本の人権状況を審査した。英仏など欧州諸国は日本が死刑制度を存続させていることを批判。10カ国以上が、昨年12月に国連総会で採択された死刑執行停止決議を受け入れるよう日本に求めた。また韓国と北朝鮮、オランダ、フランスの4カ国は、従軍慰安婦問題で日本政府が前向きな対応を取るよう求めた。

審査は国連加盟国すべてを対象に人権状況を調べる「普遍的審査」で、日本が対象になるのは初めて。

死刑制度への批判に対し日本は「死刑制度は日本では世論の支持を受けている」などと反論した。従軍慰安婦問題では、政府としても謝罪をしているという従来の立場を強調した。

毎日新聞 2008年5月10日


日本では、国連と聞くと思考停止してしまうような風潮がいまだにありますが、それは一刻も早く解消すべき悪癖です。

国連人権理事会は、退廃する国連の象徴といわれた国連人権委員会を引き継ぐ形で2年前に発足しました。人権委員会が「独裁者クラブ」と揶揄されるほどに人権抑圧国家に牛耳られ、完全な機能不全に陥っていたからです。

しかし結局制度改革はほとんどなされず、看板をかけかえただけの人権理事会は、以前と変わらず人権という言葉をおとしめ続けています。

たとえば理事会は、宗教を誹謗する行為を禁止する法律の制定を各国政府に求める決議を採択しました。理事会を牛耳るイスラム諸国の意向によるものですが、これがどんなに前時代的で、本来の人権と相反する姿勢であるかは語るまでもありません。

そんな人権理事会で、ほとんど唯一意味のある改革といわれていたのが、実は上に紹介した記事にある、4年に一度すべての国連加盟国に対して行われる、「普遍的審査」の導入でした。

しかし、先月はじめて行われた普遍的審査を観察した人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、言論弾圧や拷問など深刻な人権抑圧をしている国々に甘く、その反面イギリスのような西側先進国の人権状況を厳しく追及するなど、極端なダブルスタンダードが見られると報告しています。

国連:新審査方式は微妙な結果
理事会はアルジェリアとチュニジアの問題に口をつぐむ
Human Rights News 08年4月18日(英語)


というわけで、あることないこと針小棒大に糾弾される国は日本だけではありません。国連人権理事会というところは、今実際に苦しんでいる人たちを救うために本当の人権問題を議論する場ではなく、人権を政治的武器としか考えられない無神経な国に限って猛々しいような倒錯した場なのです。

こうした茶番に対するアメリカの態度は明確で、理事国に立候補しなかっただけでなく、国連分担金の中から人権理事会の運営にかかる分の支払いを拒否しています。

そして注目すべきは、人権理事会をはじめとする国連に疑いの目を向けるアメリカでも最強硬派の一人が、実は共和党大統領候補のマケイン氏だということです。

去年の秋以来マケインさんは繰り返し、「League of Democracies (民主主義連盟)」の結成を訴えています。それは北朝鮮の核問題やスーダンの問題など、国連の手に負えない国際問題を解決するための国家クラブのことで、保守派の論客クラウトハマー氏によれば―

「一見するとジョン・ケリーあたりが口にしそうな、同盟国同士が意見交換する場を作ろうという案にも聞こえるが、実は隠れた意図がある。マケインに言えないことを代わって言ってあげると、それは実質的に国連を葬るということなのだ」
LA Times 08年4月21日(英語)


引用したLAタイムズは左派の新聞なので、マケイン氏の考えに批判的な論調ですが、マケイン氏が、3月に訪欧した際に欧州各国の首脳にプランを披露して好感触を得たとコメントしていることを伝えています。

前回の投稿で書いたように、欧州の保守は加速度的に力を伸ばしています。彼らは、過去10年間でヨーロッパを滅茶苦茶にした元学生運動家たちを軽蔑し、サヨク主義者たちの巣窟と化している国連も信用していません。

もしマケイン政権が誕生し、ヨーロッパ人のプライドを逆なでさえしなければ、国連は風前の灯です。

「民主主義連盟」の成立によって不利益をこうむる大国は、そのときあるいは常任理事国入りを支持する姿勢を見せたりして日本に揺さぶりをかけてくるでしょうが、そこでの日本の態度は、21世紀前半の歴史を左右するものとなるはずです。



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