2008年05月21日

怖いニュース

昨日の朝は関東地方ではひどい嵐でした。夜に見たニュースステーションによれば、ナントカという珍しい現象で、5月なのに日本の近くまで台風がやってくるんだそうです。

ところでその報道で気になったのは、今起きている現象と「地球温暖化」を、不可解なやり方で絡めていたことです。

そもそも異常気象とくれば温暖化というのが昨今のトレンドですから、実はどう絡めてくるかと興味を持ってみていたのですが、案の定画面の右肩には、常に「台風襲来…温暖化」とかいうテロップが常に出ています。ところがレポートの中で温暖化という言葉が出てくるのはただの一度、インタビューを受けた気象の専門化が今起きている珍しい現象を解説するときに、本筋とは関係ないところで一言、「温暖化が進むと、台風などが巨大化するというシミュレーションもでています」と付け加えた、ただそれだけです。

にもかかわらずVTRの後に司会の古館氏は、「こうした現象がわれわれ人間によって引き起こされていることを肝に銘じるべきだと思います」とかなんとか神妙な顔つきで述べていました。

ぼくにはこの論理はさっぱり理解できません。

たぶん担当ディレクターは、条件反射的に「異常気象=地球温暖化」という前提に立ってレポートを作ろうとし、気象の専門家にもそういうアプローチでインタビューしたのだと思います。異常気象と温暖化を結びつけるコメントを求めて。

ところが当たり前のことですが、専門家であればこそ、こたびの異常気象と温暖化の関係など断言できるわけがありません。もしそれができたら神様です。そこで、「温暖化が進むと、台風などが巨大化するというシミュレーションもでています」という、それ自体には何の意味もないコメントをすることになります。

しかし作り手側の頭は、スタッフ一同、「異常気象=地球温暖化」という図式で凝り固まっているので、論理を超越した構成で番組を組み立てることになり、支離滅裂なコメントを垂れ流すことになるわけです。

これは、温暖化の真偽とか、そういうレベルの話ではありません。理性への冒涜です。

午後10時の全国ネットで、理性を冒涜する説教を何の疑いもなく垂れ流すような状況は、温暖化よりもよほど深刻で恐ろしい問題です。

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