2008年05月30日

「地震外交」の愚

四川大地震で中国が日本に軍の派遣を要請しました。

このニュースは海外でもそこそこ大きく報じられていて、欧米のメディアは一様に好意的に伝えています。しかしながら、欧米メディアの報道には、ある種案の定ともいえる嫌な傾向が垣間見えます。

この出来事がニュースバリューを持つ理由は、日中関係がギクシャクしているからに他なりませんが、それについて欧米の主要メディアは、ほぼ例外なくこんな風に述べます。

日中関係は、2001年から2006年にかけての小泉政権時代に、戦中の日本の暴虐について、被害者の気持ちをさかなでる象徴と批判されている靖国神社を参拝をしたことで冷却化した。

Japan military to provide China quake aid
Reuters 08年5月28日(英語)


これは必ずしも間違いとはいえませんが、大きな文脈を無視しており、その結果事実をねじ曲げてしまっています。

小泉首相の靖国参拝は、日中関係を悪化させた原因ではなく、関係悪化の現れ、結果のひとつに過ぎません。日中関係は、それ以前から極度に冷え込んでおり、それを引き起こした最大の要因をあげるとするならば、江沢民政権の極端な反日姿勢に行き当たります。

そのことを無視して、あたかも小泉首相の靖国参拝さえなければ、日中関係は安泰だったかのような視点に立てば、その後に続く論調は自然とこうなります。

靖国参拝をしないという、小泉氏の2人の後継者の賢明な判断と、中国のより実利的なムードにより、小泉首相の退陣以降、両国関係は急速に好転した。しかし今もタブーは残る。戦中の暴虐(特に南京虐殺)を認めようとしない日本の態度。自衛隊のより積極的な活動に対するアジア諸国の警戒感。第二次大戦に関して、双方に見られる自己の見解に固執しようとする態度。そうしたことが、両国の本当の政治的な協力を難しくしている。中国と日本は、お互いに猜疑心を抱いている。

しかしながら自然災害は、硬直した政治的対立を一蹴する力を持つ。ギリシア人とトルコ人の長年にわたる対立は、それぞれの国で起きた2つの地震により解消され、大きな共感の中で互いの見方を改めるに至った。中国の災害も、日本との関係を変える契機になるかもしれない。今こそアジアのヒューマニティを発揮するときだ。胡氏は勇気ある決断をした。今度は日本がお返しするべきだ。

China and Japan: earthquake diplomacy
China's invitation to Japanese troops will change relations in Asia
TIMESONLINE 08年5月29日(英語)


お金と時間をかけて、場合によっては隊員の生命を危険にさらしてまで援助し、さらに「お返し」までしなくてはならないのだそうです。

最新のニュースによると、結局胡氏は勇気ある決断を撤回したようなので、お返しできなくて残念です。



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