福田首相は1日、首相公邸前で記者団に米の減反政策について問われ、「たくさんお米を食べて、減反をしないで済むようになれば自給率は自動的に上がる。まずはそれをやりましょう。できることからやりたい」と述べた。町村官房長官は5月31日に「減反政策を見直していく必要がある」と語ったが、首相は政策見直しには言及しなかった。
一方、5月30日に発足した自民党食料戦略本部の本部長を務める加藤紘一元幹事長は1日のフジテレビの番組で「お米は余っている。それよりも大豆や小麦を作らないといけない。『農業は米だ』というこびりついた発想だ」と町村氏の見直し発言を批判し、自給率の低い大豆や小麦などの安定確保のため、国内生産のあり方や輸入ルート確保策の検討が必要だと指摘した。
お米たくさん食べる→減反不必要→自給率上昇 首相語る
asahi.com 08年6月2日
加藤さんが減反政策見直しに反対している最大の理由は、「減反政策をやめると米あまりが加速して米の値段が暴落するから」です。
米の値段が下がると多くの農家は米作りをやめることになり、結果的に減反になります。そのことは、町村氏も重々承知しているはずで、何も米の増産を目論んでいるのではありません。
減反政策を続けても、見直しても、米作農家は減るわけで、その意味では、町村氏も加藤氏も同じ方向を向いているのであり、違いは、それを実現するための手段だけということになります。
農水省の計画経済下で、カネを出して米作りをやめさせるのか、勝手に米を作らせることで米価を下げさせ、自主的にやめさせるのか、ということです。
今、世界中で米価の暴騰が叫ばれていますが、それでも国際価格は、日本の米の半分にすぎません。政府は、べらぼうに高い関税をかけることで、国民から海外の安い米を買う機会を奪っているわけで、いわば国民は、米を買うたびに50パーセントの税金を払っているのです。
そしてその税金は、国内で米の値崩れを防ぐための生産調整を立案、実行する巨大な官僚機構を動かすために当てられているというわけです。
今の食糧価格暴騰を口実にして、詐欺師たちの取り分を少しでも減らせれば不幸中の幸いですが、「たくさんお米を食べて…」などと、頓珍漢な発言をする首相の下では、期待できそうにありません。