財務省や金融庁など9省庁の官僚約160人が深夜にタクシーで帰宅する際、運転手から「サービス」としてビールや、つまみの提供を計約2900回受けていたことがわかった。大半が税金から支出されるタクシー券を利用して、個人的なサービスを受けていたと見られる。
長妻昭衆院議員(民主)が全省庁にタクシー利用状況の調査を求め、4日までの回答を集計して判明した。大半の省庁は07年度分を調べたが、一部はそれ以前にさかのぼった。調査中の省庁もあり、件数はさらに増えそうだ。
件数が圧倒的に多かったのは財務省。タクシーでの帰宅が07年度中に160回にのぼり、そのうち120回もビールなどを提供された職員もいた。1人が2千円分の図書券を受け取っていた。財務省は「頻繁にビールなどの提供を受けるのは国民の疑念を招きかねない。金券の受領は、事案を調べて対処する」としている。
タクシー業界では、運転手が得意先の客にビールなどを出すことがある。深夜残業が頻繁な官僚の場合は、特定の個人タクシーの得意先になる例が少なくない。
道路運送法は業者が受け取った運賃を割り戻すのを禁止し、金券提供はこの規定に違反する可能性があるが、ビールなどの提供は規定されていない。国家公務員倫理法などは、利害関係者以外から国家公務員が「社会通念上相当と認められる程度を超えて接待や利益供与を受けること」を禁止している。ビールの提供について、人事院は「事例ごとに判断するが、現状では何とも言えない」としている。(五郎丸建一)
官僚160人、深夜タクシーで晩酌サービス
asahi.com
ぼくもかつて、年に150日くらいタクシーで帰る仕事をしていましたが、自宅が都心から1万5千円くらいかかる遠距離なので、目的地を告げると、たいていの場合運転手は大喜び。20回に1回くらいは、缶コーヒーだのお菓子だのをくれて、「今度はぜひ呼び出してください」と、名刺をくれたりしたものでした。
個人タクシーからすれば、ごくあたりまえの営業活動だと思います。
こういうのをまさに、重箱の隅をつつくというのであって、こういう軽薄な批判ばかりしていると、本来正当になされなければならない官僚批判が説得力を失ってしまいかねません。
そんなことよりもぼくが思うのは、タクシー帰宅それ自体の是非です。
ビールなどを出したタクシー運転手は、別に客が官僚だからと接待しているのではなく、長距離の客だからそうしているわけで、1回あたりの運賃が1万円を越えるのは間違いありません。そうすると、財務省などは、去年1年間でビールなどの提供を受けた回数だけでも2千回を超えるそうなので、それだけで2千数百万円がタクシー代に消えていることになります。そしてビールなどを出されるのは例外的なケースなので、タクシーによる長距離帰宅はその数十倍と推測されます。
これは、ものすごく無駄なことではないでしょうか?
アメリカなどでは、あまり交通費を支給されることがないようですが、深夜タクシーなどの交通費を別途支給するという日本のシステムは、おかしなシステムのような気がします。
連日終電の時間を越えるほどの激務が求められる職場であれば、その分3割くらい給料を増やしてやって、そのかわり交通費は自己負担とする方が、「タクシー目当ての残業」もぐっと減って、結果的に税金の節約になるはずです。
タクシー業界は壊滅的打撃をこうむることになるでしょうが。