2009年06月25日

地球温暖化の生みの親

あらゆる科学が専門化し、複雑化している今、科学者の知見が正しいかどうかを一般人が見極める手段は限られています。研究の結果が応用され、はっきりした形として現れるならば疑いようもありません。しかしそうでない場合、ぼくたちは、彼の実績と肩書き、要するに権威によって類推するしかありません。

権威によって事の正誤を判断するというのは極めて非科学的な態度です。呪術師のご神託をありがたがる未開人と変わりません。だからこそ、本物の科学者であればあるほど、権威を利用した学説の売り込みや、政治的活動には慎重になるものだと思います。

先日アメリカで、一人の科学者が環境団体の抗議活動に加わり、交通妨害等で逮捕されました。

Daryl Hannah, scientist arrested at W.Va. protest

ジェームズ・ハンセンといってもわからない人が多いでしょうが、彼の肩書きは、人の判断力をストップさせるほどの権威的な響きを持ちます。

NASAゴダード宇宙研究所所長。

jameshansen.jpg
逮捕されるハンセン博士


実は彼こそが、地球温暖化の生みの親です。以下、その経緯についてまとめた文章を引用します。

いまや世界中の人々の”常識”にさえなっている地球温暖化への危機感の引き金――それは1981年、NASAゴダード宇宙飛行センターの大気学者、ジェームズ・ハンセンらが科学専門誌「サイエンス」に発表した1篇の論文であった。

彼らはその中で、「人間活動が大気中に放出する二酸化炭素により地球が温暖化する」という予言を発していた。予言には、この温暖化によって南極の氷が解け、その結果、世界の海面が上昇して多くの都市が水没し、内陸部は砂漠化するなど、人々を不安に陥れる結末が含まれていた。

ハンセンらの地球温暖化の予言はマスコミの強い反応を引き起こし、世界中の人々を地球の温暖化あるいは温室効果の議論の中に有無を言わせず取り込み、各国の政府や研究機関を動かして、ついに10年後の 1992年には、リオデジャネイロで地球環境に関する今世紀最大の国際全議「地球サミット」を開かせるまでに至った。このころまでに、地球温暖化、二酸化炭素、温室効果などの言葉は、大衆社全のありふれた日常語と化したのである。

ハンセンらはこのときの論文で、次のように述べていた。

「次の世紀に予想される地球温暖化はほとんど前例のない規模のもので、たとえエネルギー消費の伸びを低くし、化石燃料と非化石燃料の併用を進めても、最大2・5度Cの温度上昇が起こると予想される。これは、恐竜が生きた中生代の暖かさに近づくほどのものである」

地球の温暖化に限らず、未来について何らかの不安な予測がなされると、その信憑性はさておいて、多くの人々はギョッとし、耳をそば立てるというのは、自然の反応である。とりわけ発言者が権威性をそなえた科学者となれば、その言葉の衝撃性から逃れることは、誰にとっても容易ではない。

「地球温暖化」を予言するモデルの危うさ


今年、NHKは温暖化防止の大キャンペーンを展開していますが、そのキックオフとして年頭に放送された番組でも、一番の目玉は彼のインタビューでした。

プレゼンターは毛利衛さん。宇宙から青い地球を見つめた毛利さんは、温暖化研究の権威でNASAゴダード宇宙科学研究所所長のジェームズ・ハンセン博士とニューヨークで対談し、北極海の氷が最小になるなど温暖化のスピードが加速しているという科学者からの警告を伝える。

NHK地球エコ2009 未来への提言スペシャル


この紹介文からだけでも、「NASAの科学者」という権威を前面に押し出した番組であることがわかると思います。

さて、逮捕されたハンセン博士は、次のようなコメントを出しています。

私は政治家ではない。私は科学者であり、市民だ。政治家は中途半端な方策をとらなくてはならないこともあるだろう。しかし政治家たちに、政治的な動機ではなく、正義のために立ち上がる市民の力を示すのは、我々の責任だ。


自ら正義であることを疑わない活動家が、「NASAの科学者」という権威を使って布教活動しているように見えるのはぼくだけでしょうか?地球温暖化の真贋はともかく、その議論はこういう人から始まり、今もその権威を利用して、広がり続けているのです。

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