増子氏は「民主党政権で4年間、予算編成して予算を見直し、無駄を省いて、景気をよくし、将来不安をなくす。これで安心となれば消費税の議論をさせていただく。場合によって10%に上げるかもしれません。15%に上げるかもしれません。そのとき税制改革をきっぱりやっていきたい」。最大15%、つまり現在の3倍の消費税率への引き上げを打ち上げました。
消費税 4年後15%(赤旗)
自民党の方も、消費税アップは完全に既定路線で、やはり景気が回復すれば増税です。
ところが海の向こうのドイツでは、まるで逆の展開になっています。
今月、2期目の任期を迎えたホルスト・クーラー大統領*いわく、
「まず、中流層の税負担を軽減することになる、税制の簡素化はぜひとも必要です。そして景気が回復すれば減税は可能です。減税は、イノベーションと新しいアイディア、雇用の確保をもたらします」(ZDF-Sommerinterview - Der Bundespräsident im Gespräch mit Peter Hahneより抜粋)
景気が回復したら、間髪入れずに増税するという国と、将来の発展のために減税するという国。
別にドイツ政府の財政に余裕があるわけではありません。もともと火の車で、数年前から社会保障システムの見直しに取り組んでいたところに、金融危機対策で財政出動したものですから、政府の借金は危機的レベルにまで膨らんでいます。それでも大統領は減税を指向し、中道保守のメルケル首相も低中所得者層への減税を打ち出し、連立相手を、高所得者層への増税を求める社民党から、自由主義の自民党へと乗り換えようとしています。
たしかに、日本の財政赤字はドイツを大きく上回ります。しかしそもそも、日本より遙かに充実した社会保障システムを持つドイツよりも赤字とはどういうことなのか?
ドイツの自動車減税を真似た日本のエコカー減税について、素朴な疑問を投げかけているブログがありました。
ドイツの場合、1台一律約30万円の補助で限定60万台。その予算が約2千億円ですから、諸経費が2千万円。
一方日本は、車種によって6万円から15万円とさまざまで、ならすとだいたい1台あたりドイツの3分の1程度にすぎないのですが、なぜか予算は3700億円とドイツの倍近く。とんでもない額が、お役所仕事のムダの中に消えていることになります。
両国の赤字額の差は、こんな所にあるのかもしれません。
苦しい中にも先の先を見て、民の負担を減らして活力を呼び起こそうというドイツと、我が国。10年後、20年後に両国の差はどこまで開くのか、考えると怖くなります。
*原語の綴りは「Köhler」。日本では、öの発音はたいてい「エ」におきかえるので、「ケーラー」と表記されますが、言語では「ウ」の音に近いので、「クーラー」と表記します。前首相のSchröder氏は「シュレーダー」と表記されましたが、やはり原音に近いのは「シュルーダー」でした。