2009年07月15日

主役のいない劇場

自民党の中川秀直さんが、麻生首相の面前で退陣を求めました。武部さんはテレビで退陣を迫りました。

バカですね。そんなことをしても自民党の人気は回復したりしないのに。

小泉さんの改革路線を継承する彼らの政治路線には、大筋で賛同します。しかし今さら麻生さんを降ろして、仮に改革派の小池さんあたりをトップにすえたところで、何の効果もないと思います。少なくてもぼくは支持しません。

なぜなら自民党は、郵政選挙で、その意味を理解して支持した人々を愚弄して、政策を180度転換させた実績があるからです。そんな詐欺師めいた政党をのさばらせておくほど、世の中甘くありません。

振り返れば、安倍首相が郵政造反議員たちの復党を認めたときに、今へと至る種はまかれました。政治理念を優先する党へと改造途上にあった自民党を、昔のような“サラダボウル”の自民党に戻してしまったのです。

あんなことさえしなければ、マスコミのバッシングとその後の経済状況により支持を落としたとしても、確固とした支持層を囲い込み、寄り合い所帯の民主党とマスコミに、一貫した主張で対抗できたはずです。

これは守旧派の人たちからしても同様で、平沼さんあたりを軸として、改革政党として先鋭化した自民党に対抗するステーティスト系の保守勢力を結集すれば、かなりの力を得られたに違いありません。

しかし政治理念による再編成を拒否した自民党は、改革により地方の利権分配屋としての支持基盤を失い、マスコミに叩かれてにわか支持層を失い、それに慌てて政策を転換して改革派の支持を失い、そのくせ思い切りを欠いて中途半端になりステーティストの支持を失い、じたばた見苦しい姿を見せて念には念を入れてその他の支持者を振り払い、そして支持者はどこにもいなくなりました。

今さら何をしても負けます。ビッグに負けます。そしてそれはたぶん歓迎すべきことです。しかし問題なのは、自民党崩壊後に政権を握る人たちです。フィナンシャルタイムズによれば、

日本の有権者には魅力的な選択肢はない。民主党は民主党でリーダーシップに問題ありで、小沢一郎はスキャンダルにより代表を辞任。後釜の鳩山由紀夫は冴えない男で、麻生同様旧態然とした世襲議員の代表であり、代わり映えしない。

また民主党は、世界的不況に対する明確な方策も持たない。自民党よりはやや左よりで、福祉と社会正義に力点をおくが、売りは結局自民党ではないということだけだ。

Japan is dared to defeat the LDP


要するに看板を掛け替えるだけで、中身は寄せ集めの自民党と同じということです。なのに民主党は、へたすると郵政選挙での自民党なみに大勝するかもしれません。

きのう久しぶりに朝日の「天声人語」を読みましたが、そこではなんと、8月30日の総選挙をフランス革命に例えていました。民主党の支持も上がるはずです。

4年前は小泉劇場でしたが、今回は主役のいない劇場になります。主役もいないのに、なぜか人々は劇場に誘い込まれ、拍手することを迫られているのです。

banner_03.gif