2009年07月20日

マスメディアの信頼性

前回のエントリーでは、「ミドルメディア」は信頼性に問題ありと書きました。ではマスメディアはどうかといえば、それを論じるのに恰好な事例が、今巷を騒がせています。

放送業界による自浄組織、BPOが、TBSのヤラセについて談話を発表し、「小さな問題にすぎない」と、審議の対象にしないことを明らかにしました。

 「二重行政」を特集したTBSの情報番組が事実と異なる内容を放送した問題で、NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は17日、「委員会で(放送倫理に違反するか)討議中と知りながら、総務省がTBSに行政指導をしたことに重大な懸念を抱く」とする川端和治委員長の談話を発表した。

 談話は、TBSが自ら調査で問題点を明らかにしたことを踏まえ「表現の自由への萎縮効果に配慮し、放送界の自主的な機能を尊重すべきだ」と指摘した。

 この問題はTBSが、大阪府の委託で府道を清掃していた業者に、通常とは異なる作業を依頼。国道との交差点手前で清掃を中断する様子を撮影し、「二重行政の例」として4月の「情報7daysニュースキャスター」で放送した。

 一方、この日の談話は放送内容自体を「そもそも二重行政の例として適切でなく、小さな問題にすぎない」として、委員会の審議の対象としないことを明らかにした。

TBSへの行政指導に懸念 BPO検証委が談話


あちこち見て回ると、「世の中のことをあれこれ批判して追い込んでおきながら、なにこのダブルスタンダード」などとお怒りの人が圧倒的なようです。

しかし元テレビ業界の人間としてあえて言わせてもらえば、BPOの声明は、責任逃れとかそういう風に受け取らずに、素直に字面通り受け取るべきです。

この出来事は「小さな問題」にすぎず、厳しすぎる処分は「豊かで多様な用言を萎縮させる効果を持ち」かねず、総務省による行政指導は「表現の自由の萎縮効果」をもたらすので看過できない。

というBPOの談話に、何一つおかしな点はありません。

現場の立場からすれば、この程度のことで大騒ぎされては、テレビは何も伝えられません。そしてこの程度のことで総務省に罰を受けるようでは、やがては政府や官僚に都合の悪いことは何一つ報道できなくなります。

要するにこの程度のヤラセのないテレビなど、あり得ないのです。

マスメディアの情報を信頼性があるととらえている人は、こんなテレビでもやはり信頼できると考えているのか、それともマスメディアに幻想を抱いているか、どちらかです。

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