2009年07月21日

移民は少子化対策にはならない

少子化は大問題です。

少子化対策としてさかんに叫ばれているのが、まず子作りインセンティブを乱発してとにかく子どもを生ませることです。そのお手本として、フランスの手厚い子作り支援が賞賛されています。しかし、インセンティブ乱発による成功例とされるフランスでさえ出生率は2.1(人口置き換え水準)に届かず、フランス人の数は減り続けています。

国家による子作り支援が本当に少子化にストップをかけられるのか、収支勘定は合うのか、社会的副作用はないのか等、子作り支援の効果はあらゆる面で不透明です。

そこで注目を浴びるのが移民です。

移民を受け入れれば確実に人口は増し、内需は維持され、税収は維持され、文化的にも刺激を生んで一石二鳥という寸法です。

しかし、移民国家のカナダで、移民による人口増加効果に疑問を投げかける報告が出されました。

カナダの出生率は1.54で、人口を維持する2.1に及ばない。しかし日本のように少子化に警鐘を鳴らさないのは、移民を受け入れているからだ。

国民のほとんどが元移民であるカナダは、多元主義を実践する成功例と見られている。国民に移民の効用を理解させるためにカナダに調査に来たという日本人外交官もいた。

しかし、カナダの有力なシンクタンクであるC・D・ハウ・インスティテュートが先月発表した報告によれば、移民による少子化相殺効果は過大評価されている。

その分析によれば、人口比で0.67パーセントにすぎない現在の移民流入量は、焼け石に水である。カナダの出生率低下を移民で補うためには、国境を開いて年に50万人以上の移民を呼び込むだけでなく、さらに移民に「年齢制限」をもうけて、若者のみ移住してくるようにしなければならない。

これはあまりにラジカルであり、政治的に現実的とはいえない。治安の悪化は避けられないし、同化は期待できないし、年齢制限による家族離散は、人権的見地から許されないだろう。

従ってC・D・ハウ・インスティテュートは、人口維持のために移民以外の方法を模索する時がきたと結論している。

以上、Canada's big problem -- too few babiesより抜粋要約

C.C.Howe Institute の報告書


移民の問題点というと、保守的な国民が異文化に拒否感を持つこととか、治安が悪くなる可能性とか、これまではそういう方向からしか議論されてきませんでした。しかしここで語られている分析によると、そもそも移民は少子化対策として現実的ではないとしているわけで、これは新しい視点です。

今の日本の指導層は、国民の拒否感さえ払拭できれば、移民は少子化対策の切り札になると考えている節があります。しかしいくら移民を受け入れたところで、少子化の流れを止めることはできないのです。



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