オバマ大統領の問題解決能力を讃える声も一部で聞かれますが、ゲーツ教授のいかがわしさが明らかになるにつれて、事件を人種差別のコンテキストで語ろうとするゲーツ教授の側に立つ大統領に対する批判は、沈静化するどころか高まる一方です。
オバマ大統領が自らの過ちを認めようとしない中、CNNは、「黒人」のゲーツ教授に手錠をかけた「白人」のクローリー巡査部長の名誉を守ろうと声をあげるケンブリッジ市警の様子を伝えました。
「この件から学ぶべき教訓は、結論を急がずに事実を検証することの大事さです。ゲーツ教授は人種差別という効果的な煙幕を張りましたが、この件はそれとは関係ありません。大統領の態度は残念です。彼を支持し、投票しましたが、もうしません。大統領が友だち(ゲーツ教授)思いであることは結構ですが、過ちを認めるべきでした」
Cambridge cops support Crowley(ビデオ)
インタビューに対する「黒人」のキング巡査の応えです。
黒人女性が中傷覚悟でテレビで「もう支持しない」と語ること、そして「オバマサポーター」のCNNがこういう論調で伝えていることから、オバマ大統領の解決策がぜんぜん成功していないこと、また彼のカリスマパワーが衰えていることが見て取れます。
感極まってキング巡査と抱き合うクローリー巡査部長
ちなみに、ケンブリッジ市警を始めとするクローリー巡査部長擁護派の多くは、決して大統領に敵意をむき出しにしているわけではなく、「大統領を110パーセント支持している」というクローリー氏本人をはじめ、あくまで円満和解を求めています。ギブス報道官によれば、「ホワイトハウスで3人でビールを飲む」というのもクローリー氏からの提案だったということです。
こうした状況を見ていると、古い人種差別の色眼鏡をかけた大統領の失策とそれに対する反発から、本当の人種和解が自律的に起きているようにも見えてきます。そういう意味でこの事件は、人種問題の歴史における金字塔になるかもしれませんが、ここでの大統領が「ヒール役」であることは言うまでもありません。
3人によるホワイトハウスでのビール会談は30日の午後6時に行われるそうです。