Exploring China's Unique Presence In Africa(音声)
ちなみにその本というのはこれです。

China Safari: On the Trail of Beijing's Expansion in Africa
- 作者: Serge Michel
- 出版社/メーカー: Nation Books
- 発売日: 2009/06/29
- メディア: ハードカバー
中国のアフリカ投資というのは、今さら言うまでもなく、アフリカの資源を確保するために行われているのですが、その内実についての話をとても興味深く聴きました。
欧米諸国の場合、アフリカにカネを出すときは現金なので、腐敗した権力者たちの懐に消えて、民衆は利益を享受できませんでした。一方中国はインフラ建設に特化し、しかもプロジェクトごとに1万人レベルで労働者まで自国から派遣して、すべて自前でやるといいます。
現地社会から隔絶した「中国人町」を作り、衣食住すべて本国からの持ち出しです。これだと現地にカネは落ちません。しかし下手に現地にカネを落とそうとしたところで、どうせ大半は汚職で失われてしまうだけです。だからアフリカの市井の人たちは、確実にインフラを残してくれる中国に好感を抱いているそうです。
また、人権とか民主主義にこだわる欧米に比べ、実利を追求する中国はイデオロギーに拘らないので、アフリカの独裁者たちから歓迎されているとは良く言われますが、そんな中国の姿勢を歓迎するのは、必ずしも独裁者に限らないようです。
欧米の場合、アフリカとの付き合いは「支援」の側面が強く、だからこそ人権にも拘るのですが、これだとアフリカ諸国は恵んでもらう立場で、欧米と対等ではありません。しかし中国はあくまで自分の利益のために「投資」しているのであって、支援ではありません。そこではアフリカ諸国と中国は対等なビジネスパートナーで、当然ながらアフリカ人は、そういう対等な関係を気分良く感じているのだそうです。
中国は危ない国です。警戒して警戒しすぎることはないと思います。しかし、このように欧米流の教条化したポリティカル・コレクトネスを易々と壊していく様を見ると、時にある種の頼もしささえ感じることがあります。