2009年08月05日

世界から取り残される日本

「新自由主義は否定された」「資本主義の終焉だ」「マネーゲームは規制しろ」「格差是正」・・・そんなスローガンが、ネットはもちろん、雑誌、新聞、テレビで当たり前のように叫ばれるようになって久しくなります。

アメリカでは社会主義的なオバマ政権が誕生して、「世界の潮流はそうなんだな」と、なんとなく感じている人は多いでしょう。

しかし冷静に世界を見回すと、そんな潮流はどこにもありません。

確かにオバマ政権は社会主義的な方向を目指しています。しかし、反ブッシュと金融危機を追い風にして成立した政権は、発足わずか半年で、発足当初からメディアにバカ扱いされていたあのブッシュ大統領の同時期の支持率さえ下回ってしまいました。

ではヨーロッパはどうでしょう?もともと反米気質が極めて強く、欧州流の社民主義の優位を説き続けてきたヨーロッパ諸国は、金融危機を機に「ほら見たことか!」と社民主義天国になっているでしょうか?

そうなってはいません。現在ドイツで保守連合と連立を組んでいる社民党は、これでもかとばかりに市場原理主義を糾弾していますが、支持率は落ちる一方で、日本の約1ヶ月後(9月27日)に行われる選挙により、政権から追われると予想されています。

そしてその代わりに保守連合と連立を組むと見られているのが、自民党です。ドイツの自民党というのはリバタリアン的な自由主義政党で、自由資本主義の象徴のような存在です。ビルト紙は、自民党のヴェスターヴェレ党首にこうインタビューしています。

Q:どうして自民党は社民党より信頼されているんでしょうか?記録的な財政赤字の中、減税をするというあなた方の公約も非現実的に見えるんですが。

ヴェスターヴェレ:今みたいに税金が高かったら雇用なんて生まれません。市民と企業の負担が目に見えて軽減されてはじめて、労働の対価が尊重されてはじめて、ドイツは再び経済大国になれるのです。フェアな税制は成長を生み、成長は雇用を生み、新たな雇用が健全な財政につながるのです。

Mit hohen Steuern gibt's kein Jobwunder

シンプルですね。日本には今こういうシンプルな主張をする大政党はありませんし、こんな主張をしても時代遅れと叩かれそうです。しかし長い社民主義の伝統を持つドイツで、この主張は国民から支持され、もし9月の選挙で現在の支持率を維持するなら、結党以来の大躍進を遂げる勢いなのです。

もし9月の選挙で保守連合と自民党の連立が成立すれば、ドイツは大きく規制緩和の方向に舵を切り、それはEU全体のあり方に影響を与えることになります。

市場原理を疑うような潮流は世界のどこにも見あたりません。にもかかわらず、もともと世界基準で見たらぜんぜん自由主義的でなく、マネーゲームが苦手で、格差が小さく、金融危機のダメージも小さい日本は、一体何と戦っているのでしょうか?

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