2009年08月22日

拷問選挙と世界と日本

民主党の菅代表代行はこの日、小泉氏の側近だった中川秀直・元自民党幹事長のおひざ元、広島県 東広島市に乗り込み、「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違いだった」と声を張り上げた。

小泉さん「よほどのことない限り政権交代」

自民と民主、どちらもゴミなら、少なくてもごっそり人員刷新される民主の方がましなのかもしれません。でもこういう発言を聞くと、とてもじゃないけれど投票用紙に民主とは書けません。もうこれは拷問です。

おりからの金融危機で、世界中が市場経済の見直しに進んでいるように思っている人は多いようです。しかしもう何度も同じことを書いていますが、「資本主義の暴走」などと叫んでいるのは、先進国中日本だけです。

アメリカでは、ブッシュ憎しでオバマを当選させはしましたが、誰も市場経済の見直しなど求めておらず、オバマ政権の打ち出す社会主義的な政策は、国民の反発を呼ぶばかりです。

イギリスでは、金融危機の勃発に際し、与党の労働党が先祖返りして社民主義的な政策を取ろうとして大きく支持を落とし、次の選挙では、公共支出の大幅削減を訴える保守党が圧勝する勢いです。

そしてドイツ。現在は、保守連合と社民党の大連立ですが、「資本主義の失敗」を訴える社民党は大きく支持を落とし、9月下旬に行われる選挙では、野党に転落すると見られています。

保守連合メルケル首相のスローガンは「成長による雇用創出」。「首相に相応しいのは誰か?」を問う最新の世論調査では、社民党の首相候補に対して、1977年の調査開始以来最大となる、23パーセントの大差をつけています。(Merkel enteilt Steinmeier

メルケル首相は、選挙後に自民党と連立を組むことを目指しているのですが、ドイツ自民党というのは、押しも押されぬ自由主義政党。減税と税制の簡素化、そして公共支出の大幅削減を訴える自民党は、ここ数ヶ月で大きく支持率を伸ばし、今や社民党に迫る勢いです。

このように、サブプライムローン問題に端を発する金融危機は、その被害をもろに被った欧米において、「資本主義の暴走」などという議論にぜんぜん結びついていません。それどころか、元来社民主義的傾向の強い欧州においては、社民勢力が減退し、むしろ“資本家の手先”である自由主義勢力を元気づかせてさえいるのです。

それはなぜなのか?考えるに、例えばドイツでは、こちらの「金融危機の原因はどこにある?」というシンクタンクのレポート(Wo liegt der Ursprung der Finanzkrise?)にあるように、金融危機の大きな原因は「アメリカで、政府の働きかけにより信用の低い個人に積極的に住宅ローンの貸し付けが行われてバブルを引き起こしたこと」であるという健全な議論が当初から行われていたこと。また、それに喜々として投資して真っ先に損害を出したのが公的基金だったことで、「資本主義の暴走」というデマゴギーにつけいる隙がなかったことがあると思います。

一方日本では、新聞各紙やNHKをはじめとするテレビは、金融危機の発生原因として「行きすぎたマネーゲーム」を強調するばかりで、市場を歪めた政府の介入をほとんど伝えませんでした。そして直接の被害を受けることもなかったので、その実例を肌で感じることもなく、「資本主義の暴走」などという、よく考えてみると何だかよく分からないかけ声の跋扈を許してしまったのです。

確かに時代は変わり目にあります。ヨーロッパでも既成政党に対する幻滅は広がっており、新しい政党が次々と生まれ、今回のドイツの選挙には、実に27もの政党が名乗りを上げています。しかしそうした政党の多くは、極端な例では「パイレート党」のように、既成の制度を見直してより大きな自由を目指す方向を向いており、「資本主義の暴走」などという昭和のデマゴギーを振り回して「歴史的選挙」などとホクホクしているのは、日本だけです。

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