2009年12月25日

日本とドイツの分かれ道

先日、亀井金融担当相が、「財政危機はフィクションだ」と言い放ち、それに対してある人は賛同し、またある人は「とんでもないことになる!」と警鐘を鳴らしています。

政府債務が対GDP比で200パーセントにも迫る勢いの国は、歴史的に見てもなかなか見あたりません。こう言うと大変な危機なわけですが、それでも「フィクションだ」と言えるわけは、日本政府は借金漬けだけれども、日本という国自体は相変わらず金持ちで、政府の借金のほとんどすべては、国内でまかなわれているからです。

国の借金を家計に例えて、「月収40万円の人が毎月60万円出費しながら5000万円借金しているようなもの」などとよく言われたりしますが、実は借金をしているAさんの親は大金持ちで、さらにAさんにカネを貸しているのも親だったというわけです。

だからAさんは、借金漬けなのに信用が高く、まだまだカネが借りられます。政府は空前の借金漬けなのに、相変わらず国債の信用が高いのはそういうことです。Aさんは当分破産なんてしませんし、日本という国も破綻しません。

この意味で、財政危機は確かにフィクションと言えます。

しかしながら、いくら金持ちの家族間の貸し借りとは言っても、そんなうまい話が永遠に続くわけはありません。Aさんが浪費を続ければ、いつの日か親の資産は底をついてしまいますし、だいたいそうなる前に、あきれた親が強硬手段におよび、縁を切ったりするかもしれないからです。だから、「とんでもないことになる!」と警鐘を鳴らす人は、借金をなくす努力をしろと訴えるのです。

これは必ずしも、無駄遣いを減らして借金返済にあてろということではありません。それも大事ですが、これだけ大きな借金を節約だけで返済するのは非現実的です。だから無駄を切り詰めた上で、「収入を増やす策を講じろ」と言うのです。成長戦略というやつです。

ところが現政権は、ほとんど無駄を減らせないどころか、さらに借金の催促をする始末です。そして何よりも収入を増やす方策を打ち出せずにいます。こうなると方法はひとつしかありません。増税です。しかし日本はポピュリズム全開の民主国家。巨額の政府債務を返済できるような大増税などできるわけはありません。というわけで、大増税はある日突然別の形で姿を現すことになります。ハイパーインフレというやつです。国は破綻しないかもしれませんが、多くの国民の生活は、ほとんど瞬時に破綻してしまいます。

亀井さんのような国家社会主義的考え方をする人は、「日本国が破綻するわけなどないのだから、気にせず借金して財政出動せよ。そうすれば景気が浮揚して税収が上がり、景気が良くなればうまい具合にインフレになり、それにより借金も目減してすべては解決する」と考えます。

一方、警鐘派の人は、「日本国は破綻しないかもしれないが、政府主導のバラマキ政策では経済は成長せずに借金を増やして危機を拡大するだけだ。それでデフレは終息するかもしれないが、今度はインフレを制御できずにハイパーインフレになりかねない」と考えます。

どちらが正しいかは、結局のところ神のみぞ知るです。例え亀井さんの訴える方向に進んで失敗したとしても、警鐘派の方がもっと大きな失敗をするかもしれないし、その反対もしかりです。どこからが成功でどこからが失敗なのか境界線がはっきりせず、どんな結果になろうとも、互いに自説の正しさを説き続けるに違いありません。

しかし今回はそれが見極められるかもしれません。亀井さんの考える方向に舵を取りつつある日本に対して、日本とよく似た状況にあるドイツでは、後者の道をとろうとしているからです。

日本ほどではないものの、やはり巨額な財政赤字に悩むドイツは、徹底した小さな政府派のドイツ自民党の政権入りを受けて、赤字国債の発行を切り詰めた上で、あえて減税をして民間の活力に賭けようとしています。同じ問題を抱えるよく似た2つの国が、同じ時期に正反対の道をとろうとしているわけで、これはとても興味深い比較実験になると思います。他人事ではないので、そう悠長にしてはいられませんが。

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