2010年01月16日

未来はネットか中国か

グーグルが中国に絶縁状を叩きつけました。

A new Aproach to China

グーグルが象徴するネットと、桁違いの規模で新たな労働者と消費者を産出する中国は、20世紀末から現在に至るまで、世界の有り様を激変させてきた2大因子です。現代に生きる人間は、その2つの因子に背を向けて生きることはできません。

ネットと中国という2大因子自体も、これまではお互いにお互いを利用し合ってきました。いかにネットの力が革命的であっても、中国という市場を無視しては成り立たない。逆にいかに中国が強大であっても、ネットを無視しての成長はない。というコンセンサスがあったわけです。

ところがネットというのは、あらゆる「権威」を破壊するシステムですから、権威というシステムにより数をパワーに変える中国とは、本来根本的に相容れません。まったく相容れない2つの因子が無理な妥協をしてきたというのが、これまでの流れでした。

今回のグーグルの動きは、その関係を精算するものです。

これの意味するところは、「未来はネットと中国にある」という風に、現在漠然と一緒くたにして考えられている未来観の崩壊です。「21世紀は中国の時代だ」という見方と、「21世紀はネットの時代だ」という見方が結合せずに、相反する見方として対立するということです。

この対立は、表面的な政治体制の問題だけにとどまりません。

もし、ネットと中国の勃興が同時期ではなく、仮にネットのみ勃興していたとしたら、ネットにより駆逐される旧型産業は逃げ道を失い、社会はより急激に、それこそ革命的な変化を迫られたはずです。その意味で中国は世界に新たな巨大市場を提供することにより、古い社会を延命させるバッファーの役割を果たしてきたともいえるのです。

今回のグーグルの決断は、社会のあり方を根本から変える新しい波と、中国を希望の綱とする古い価値観の本格的な衝突の到来を予告するものかもしれません。

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