2012年01月05日

増殖する頑迷

ドイツのヴェルト紙によれば、イスラエルでユダヤ教原理主義者が台頭しているそうです。

Wie Frauen aus der Öffentlichkeit verbannt werden

イスラエルというのは、ユダヤ教を柱として建国された国ではありますが、とても世俗的な国です。テルアビブでは毎年盛大なゲイパレードが開催されますし、男女平等に徴兵されるため、ネットではキュートな女性兵士の産地として知られていたりと、まあそれくらい性差別のない開かれた国であり、イスラエルの強さはそこにあるわけです。

ところが、近年伸長している超正統派ユダヤ教徒と呼ばれる原理主義者たちはとても頑迷で、とくに女性差別は徹底しています。たとえば女性が原理主義者とバスに乗り合わせると、後ろの席に座れと言われ、無視して前の方に座ると、「売春婦め!」だの「身の程を知れ!」などと罵倒されるのだそうです。なぜなら、彼らによれば、女性の姿は男に邪心を抱かせるからです。

広告に女性が出るのもご法度で、へたに女性を使おうものなら、原理主義者から激しくバッシングされます。おかげで広告屋の自主規制により、今やエルサレムの広告は、キッチン用品だろうと育児用品だろうと男性モデルを起用し、女性モデルの姿は消えたそうです。

奇矯な原理主義者は昔からいました。しかしかつては世間から「アブナイ人たち」扱いされて、所詮それだけの存在でしかありませんでした。ところがいつの間にか勢力を増して、いよいよ社会のあり方を変え始めているのです。なぜだと思いますか?

彼らの繁殖力がハンパないからです。

原理主義者たちは、女性を家に閉じ込めて、子作りに専念させます。だから彼らの出生率は、世俗的なイスラエル人の3倍にもおよぶ10パーセントにも達し、猛烈な勢いで増殖しているのです。現在、全人口における原理主義者は1割ほどですが、小学1年生に限れば3割近くが原理主義者という状況で、年々人口比率を拡大しているのです。

イスラエルは建国の経緯から、原理主義を弾劾できない(原理主義を否定すると自らの存在意義を否定することにもつながる)という特殊な事情を持ちます。また、人口も700万人程度と小ぶりなことで、原理主義者の繁殖アタックの影響を受けやすいのだと思います。しかし考えてみれば、イスラエルで起きているようなことは、イスラエルほど急激ではないにしろ、世界中で起きています。

女性の社会進出が進むオープンな社会は一様に出生率が低く、その一方で、女は成人したらすぐに親が決めた相手に嫁にやり、子作りマシンとなることを強制するような文化の人たちは、ばんばん増殖します。少子化は先進国に共通する悩みで、ヨーロッパ各国は子育て援助に力を入れていますが、それで一番繁殖するのは、増えて欲しくない異文化の方々だったりします。

結局あまりに寛容でものわかり良すぎるのは、種を保存するうえでマイナスであり、淘汰される運命なのかもしれません。

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