2012年02月24日

移民問題に対するドイツ人の本音

この木曜日、ドイツの首都ベルリンでネオナチの犠牲者を追悼する式典が行われました。式典にはメルケル首相をはじめ各界の有力者が顔を揃え、全国で黙祷が捧げられました。

独首相、ネオナチ殺人犠牲者を追悼 遺族には謝罪

2000年から2006年にかけて9人のトルコ人移民を殺害した犯人グループは3人。外から見ると、ネオナチというよりは異常者による連続殺人にしか見えませんが、去年の11月に事件が発覚すると、マスコミは連日事件を大きく伝え、警察は大がかりな捜査を行い、全ドイツを揺るがす大騒動になりました。

メルケル首相は式典で、事件を「ドイツの恥」と呼び、極右を糾弾し、国民に不寛容との戦いを呼びかけました。

過去に学び、外国人差別と真摯に向きあうドイツの図です。こういうのを見ると、エネルギー政策でも同様ですが、必ず「日本もドイツを見習わなければ」と言い出す人がでてきます。しかし、一見立派なファサードは、決してドイツ人の本音ではありません。

式典を伝えるフランクフルター・アルゲマイネ紙の記事によせられたコメントの中から、読者の支持が高いものを紹介します。

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◆どうして移民に殺されたドイツ人の追悼式はないんだ?ドイツ人は永遠に悪者でとにかく反省しろってか?

◆ドイツ人が移民に殺されると犯人はドイツ人扱いされて移民であることは隠されるのに、ドイツ人が移民を殺すと犠牲者は異民族扱い。あきれたダブルスタンダードだよ。

◆この事件は「ドイツの恥」なんかじゃない。責められるべきは犯人と捜査当局で、8千3百万人のドイツ人には何の罪もないよ。式典で善人面する捜査責任者たちは盗人猛々しいな。

◆ただの連続殺人を大げさにとらえすぎだろ。アフガンで死んだドイツ兵には黙祷なんか捧げないのに。

◆移民によるドイツ人犠牲者は無視して、極右の犯罪には大騒ぎ。長年の「右=悪」の刷り込みの効果だな。まるで宗教だよ。

◆右翼が犯罪を犯すと大騒ぎだが、左翼が犯罪を犯しても「若者の悪乗り」扱い。過激派は右も左も変わりなく社会の脅威なのに。

◆ドイツに表現の自由はない。みんなが本音で議論していれば、エリートの甘言に騙されて移民なんか受け入れなかったし、事件も起きなかったのに。こんな感傷的な式典開いたって、なにも解決しないよ。

◆極右の犯罪は許されないが、移民に正当な異議を唱えただけで極右扱いされる雰囲気がある。言論の自由が侵されないか心配だ。

◆この国は「東ドイツ2.0」だよ。家族の前でも本音を話すと告発されかねない。

◆オレの出身校はオレがいた頃はイスラム系の生徒は一人だけだったが、いまは3分の1がイスラム系だ。多元主義は美しい理想だとは思うが、この国は極左の団塊世代に壊されたと思わざるをえないな。

Merkel: Sie stehen nicht länger allein mit Ihrer Trauer
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実は先日おきた大統領の辞任騒動の裏にも、移民問題が見え隠れしていました。ヴルフ前大統領は、「イスラム教もドイツの一部である」と発言するなど、イスラム移民よりの存在と見られていました。トルコを訪問したときなどは、「アンカラに指令を受けに行く」と揶揄されたりしたものです。

もともとパッとしない人柄にくわえて、深刻な移民問題を教科書的にしか語れないところが、彼をより国民から遠ざけたことは間違いありません。

それに比べて次期大統領に内定しているヨアヒム・ガウク氏は、2年前に移民の脅威を告発する著作「ドイツは滅亡する」を出版したザラツィン元ドイツ連銀理事について、「勇気ある行為」として理解を示した過去を持ちます。

そんなガウク氏は、ドイツ国民から圧倒的に支持されています。



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