2012年09月26日

「過去と真摯に向き合うドイツ」の実体

韓国で、日本とドイツの過去対応を比較したウェブマンガが人気なのだそうです。ドイツは反省しているのに日本は…というやつです。最近は中国もことあるごとに似たようなことを口に出しており、どうやら中韓で仲良く流行しているようです。

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しかしこれは事実とは違います。現に今ギリシャでドイツに戦時賠償を求める動きが加速していますが、この出来事は、ドイツの戦後処理の実体を如実に示しています。

ギリシャ人を過去問題に走らせたトリガーは、言うまでもなく国家破産危機です。スローライフでズボラなために借金まみれになり、返済を迫るドイツに「払うのはお前のほうだナチス野郎!」とやり返しているわけです。恥知らずな態度です。

しかし、そうした背景を別にして見れば、実のところギリシャ人の主張にも一理あります。

というのも、ギリシャは第二次大戦で最も被害を受けた国のひとつです。イタリアの独裁者ムッソリーニは、同盟国ドイツのギリシャ占領政策を評して「ドイツ人は靴紐まで持ち去る」とあきれたそうですが、ドイツの苛烈な収奪により人口のおよそ1割が餓死しました。またドイツは「占領融資」として、ギリシャの中央銀行に無利子での融資を強制し、35億ドルのゴールドを持ちだしました。

こうした被害に対し、戦後ギリシャは100億ドルの賠償を請求しました。しかし、巨額な賠償請求によりドイツ人をナチスに走らせた第一次大戦の戦後処理への反省に立ち、なるべく賠償金はとらないというアメリカの方針で、ギリシャの取り分はわずか2500万ドルに抑えられてしまったのです。

慰安婦問題などで、よく「ドイツは個人補償をしているのに日本は…」と日本政府の対応を責める人がいますが、その理由はここにあります。各国と交渉して国家賠償で決着をつけた日本とは違い、ドイツの場合は、そもそも対象となるドイツという国家(ドイチェス・ライヒ)が1945年に滅亡したこともあり(現在あるドイツ連邦共和国は1949年に新たに建国された国なのです)、戦勝国の配慮で事実上国家賠償を免除され、その見返りとして強制労働の被害者などに個人補償しただけなのです。

しかしギリシャ人からすれば、ドイツの戦後復興と欧州の安定のために、個人補償とは比べものにもならない莫大な賠償金を諦めたという気持ちは残ります。ましてや、金庫から持ち去られた35億ドルくらいは、賠償とは別に返して欲しいと訴える気持ちは痛いほどわかります。

ではドイツは、そんなギリシャ人の訴えにどんな対応をしているのでしょうか?「日本とは違い過去を真摯に反省しているドイツ」のことですから、血も涙もない「倭猿」のお手本となるような、慈愛に満ちた対応をしているのでしょうか?

とんでもありません。黙殺です。肩をひそめてため息をつき、軽蔑と哀れみのこもった眼でギリシャを見下して、「国際法上すでに解決済みだから」でおしまいです。

イギリスのラジオに出演したギリシャの閣僚は、「ギリシャ人が求めるのはカネではないんです。ドイツの戦後復興のために賠償をあきらめたギリシャに、一言感謝して欲しいだけなんです」と述べました。しかしそれすらドイツはせず、政治家からマスコミから一般民衆まで、ひたすらギリシャを問題児扱いするばかりです。

被害を受けた各国にきちんと賠償金を払い、毎年のように繰り返される謝罪の回数はドイツをはるかに凌駕し、証拠がなくても責められればとにかく頭を垂れる日本の姿をギリシャに周知すれば、ギリシャ人たちはうんうんと頷いて、「ドイツは日本を見習うべき」と言うに違いありません。ぜんぜん嬉しくありませんが。

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