2012年11月17日

今回は選挙ではなく裁判である

野田首相はやるなー、と思いました。

民主党の選挙課題は自民党に勝つことではなく、反自民票をいかに取り込むかです。相手が自民党だけなら、いくら民主党が信任を落としたところで、それなりの反自民票を得ることができます。しかしもし「第三極」ができてしまうと、反自民票はそちらに流れてしまいます。ならば座して「第三極」が結集するのを待つのではなく、バラバラで油断している今叩いてしまえ、というわけです。

なかなかの計算力と行動力で、軍の軍団長にでもしたいような、民主のトップにしておくのは惜しい逸材だと思います。

党利党略として果断なのに加え、日本という国家にとっても、今解散するのは悪い話ではありません。もし任期満了まで解散しなければ、中国の新体制も第二次オバマ政権も、下野確実な民主政権と何ら交渉できず、風雲急を告げる世界で、日本は8ヶ月以上宙ぶらりんになってしまいます。2013年末に大きく動くだろうユーロ情勢についても、ユーロ後を睨んだ交渉に出遅れてしまいます。

今年中に新政権が発足すれば、どこの党がどんな政策でのぞむかに関係なく、日本の外交空白は最小限ですみます。

しかしナイスなのはそれくらいです。いかに野田首相が有能だろうと、解散が歓迎すべきことだろうと、選挙として見るなら、今回の選挙は最悪です。詐欺集団を下野させるのは当然としても、積極的に応援したくなる政党が存在しないからです。自民党は何も変わらないどころか劣化してしまい、それに変わる政党はまだ育っていません。

ただしそれは、選挙として見た場合です。今回の選挙は、次の政権党を選ぶ選挙ではありません。政治理念だとか、マニフェストで選ぶ選挙でもありません。今回の選挙は、国民対詐欺師の勝負であり、詐欺師たちを裁く国民裁判です。

まずは詐欺を働いた実動部隊を裁かねばなりません。民主党については、いかに正しい主張しようと、いかに野田氏が有能な人間であろうと、話を聞いてはいけません。過去3年、涼しい顔でありとあらゆる約束を反故にした彼らはサイコパス集団であり、同じ手がまた通用すると思わせたら、国民は未来永劫舐められ続けます。

ただ民主党を負けさせるだけでなく、民主党と民主離党組の賊議員たちを衝撃的なレベルまで駆逐せねばなりません。小選挙区では、個人の趣向を捨てて民主の対立候補に投票し、一人でも多く路頭に迷わせるのです。国民を舐めるといかに恐ろしいことになるかを目の当たりにした政治家たちは、次の選挙では多少なりとも誠実に振る舞うようになるはずです。

そして詐欺の本丸、マスコミに鉄槌を下さねばなりません。民主党などという、少し冷静な眼で見ればすぐに見抜けるパペット集団に権力を預けたのは、マスコミの煽りあればこそでした。あの過ちを二度と繰り返してはなりません。マスコミは選挙のテーマをそれらしく提示してくるに違いありませんが、今回は普通の選挙ではないので徹底無視し、マスコミの主張は逆が正しいのだと肝に銘じ、マスコミの面目を丸つぶれにするのです。

そうすれば、新聞とテレビの方を向いて政治をしてきた多くの政治家は、次からは有権者の方を向いて政治をするようになります。政治家から一目置かれなくなったマスコミは、いよいよ裸の王様です。

理念や政策を抜きにして選挙するなんて、と呆れる人もいるでしょう。しかし今回の選挙は、理念や政策で選ぼうとすると選びようがなく、結果として民主党とマスコミを利するだけです。

今回の選挙で唯一国民が得する選択は、民主党とマスコミを徹底的に叩くことであり、そうすることで、次の総選挙で選挙らしい選挙ができる可能性が膨らむのです。

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