2012年11月27日

歪んだ多文化主義

イギリスで、非常に興味深い事件が起きました。

里親として、7年前からマイノリティの子どもたちの面倒を見てきた50代の夫婦が、当局から突然里親不適格と判断され、一緒に暮らしていた子どもたちを取り上げられてしまいました。

Foster parents 'stigmatised and slandered' for being members of Ukip

その理由は、彼らが「イギリス独立党(UKIP)」の党員と判明したから。イギリス独立党は、EUからの離脱と移民の制限を訴える政党です。

問題の夫婦は、過去7年模範的な里親として活動していたといいますが、市当局から思想的にふさわしくないと判断されてしまったのです。

いかにも現代のイギリス、ヨーロッパらしい出来事です。この程度の出来事はヨーロッパでは日常ですから、これまでならニュースにすらなりませんでした。

ところが今回は違いました。この事件をニュースサイトが伝えると、イギリスのインターネッターは激しく反応し、BBCの当該記事は1000を超えるコメントを集めています。

私はUKIPの支持者ではないが、合法的な政党に勝手な烙印を押す地方政府は何様のつもりなんだ?子供から引き離すべきはこの里親ではなく、当局の方だ。

親による子供虐待は平気で見逃すくせに、里親の政治思想には即座に反応して子供を取り上げるとは…。イギリスの社会福祉は歪んでいると言わざるをえない。

私は白人で妻は黒人。間に2人の混血の子供がいる。移民問題に憂慮しているので、選挙では保守党かUKIPに投票しているのだが、私も子供を取り上げられてしまうのだろうか?

ニュースを読んで調べてみたら、案の定この町は労働党支配だった。労働党の地盤でよく見られる典型的な歪んだポリティカル・コレクトネスだな。

左翼の信奉する「多文化主義」は、実は所属する文化だけで人を測ろうとする単眼的思想だ。そんなものは実際には人種間の軋轢を深めるばかりで社会を分断し、犯罪を誘発するばかりなのに。

明白な政治的迫害だ。市当局は左翼的な開かれた社会を実現しようとするあまりに反動化し、下手なファシストよりもファシスト化している。

私はUKIPの支持者ではないが、UKIPは移民制限を主張しているだけで、人種差別的な主張などしていない。政治思想の違いで子供を取り上げるとは、この国の状況は深刻だ。

人種や宗教や政治理念で人を差別するのは違法だ。市当局は裁かれねばならない。偏狭な差別により、彼らは法を犯したのだ。

というわけで、コメント欄は当局への怒りと、多文化主義への批判で埋めつくされています。これほどワンサイドな左翼批判は、過去にはありえない現象で、「人が犬を噛んだ」ようなニュースと言えます。

ヨーロッパ各国の政治は、英労働党のような社民勢力と、保守勢力の綱引きで表向き動いています。しかし近年、社民と保守の政策にほとんど差はなく、ともに「ポリティカル・コレクトネス」という理念に囚われた同じ穴の狢と化してしまっています。

ポリティカル・コレクトネスというのは、人種差別を悪とし、ナショナリズムを危険視するような、20世紀の政治的常識のようなものです。「差別は悪」だけならいいのですが、時とともにそれは、「差別を糾弾するのは絶対正義」というドグマへと転化し、それに異を唱えるのは悪とする、抑圧装置へと変質してしまいました。

イギリス独立党は、左派系メディアからは「極右」と呼ばれることもありますが、コメント投稿者の指摘にあるように、彼らは極右ではありません。イギリスの真性極右「イギリス国民党(BNP)」の政策=国粋主義×移民排斥×保護主義を極右の三大条件とするなら、愛国主義×移民制限×リバタリアニズムのイギリス独立党は、右左では語れない斜め上を行く反ポリティカル・コレクトネス政党、異端と呼ぶにふさわしい性格を帯びています。

左右接近による政治選択肢の消滅と、それに伴うUKIPのような異端政党の登場は、イギリスだけでなくヨーロッパ各国で共通して見られるトレンドです。UKIPは今回の一件で全国的に名を轟かせましたが、ポリティカル・コレクトネスに対する違和感は、予想以上に広くコンセンサスを得つつあることを再確認させられました。

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