2012年12月02日

中国は世界で平和を最も愛する大国

中国の新華社が次のように報じていました。

ドイツ紙は29日、「ここ数年、中国は自国軍事力の増強に乗り出しているが、中国は世界で平和を最も愛する大国であり、中日両国間で衝突が起こることは懸念していない」とのドイツのヘルムート・シュミット元首相の談話を掲載した。

同氏によると、「中国は大規模に軍備を拡張しているが、戦争する野心はない」という。11月29日、ハンブルクで開かれた独中経済会議でシュミット元首相は、「中国は世界で平和を最も愛する大国であり、これからのこの伝統は変わらない」と語った。

過去数年間、中国は軍事力の増強に取り組んでいる。先ごろ、初の空母「遼寧」を就航させたが、同氏は、「中国は他国を侵略した歴史もなければ、他国を殖民統治した歴史もない」と強調する。ドイツ国防長官を務めた経験もあるシュミット氏は、中日両国の領土紛争に懸念を抱いてはいない。

今夏、シュミット元首相は計12日間にわたって中国とシンガポールを訪問し、現在は中国に関する新書を執筆している。



伝えているのが新華社で、しかも当該記事に添えられた写真がシュミット元首相ではなく、なぜかシュレーダー前首相だったりするので、記事は捏造なのではと疑わしくなります。

しかしこの記事は事実を伝えており、シュミット元首相は確かに「中国は世界史上最も平和的な国だ」と発言し、ドイツでそう伝えられています。

"China ist das friedlichste Land der Weltgeschichte"

ドイツで最も尊敬されている、94歳になる御大のこんな発言を聞くと、「やはりドイツは反日親中か」と溜息を付く人もいるかもしれません。

というのもかつてのドイツは、明治維新以来の日本のドイツ愛にもかかわらず、基本的に日本に懐疑的で、ヒトラーの一存で日本と同盟を組むまでは、常に中国大陸の政権に肩入れして日本を困らせた過去を持つからです。

シュミット元首相は、そんなドイツの伝統を引く一人かもしれません。上にあげたDie Welt紙の記事にもあるように、彼は在任中から親中国として知られ、今年2月には、天安門事件について中国政府の対応を擁護する発言までしています。

The-Hamburg-Summit.jpeg
シュミット元首相といえばタバコです


しかし、ドイツ人の名誉のために強調しておきますが、シュミット元首相の姿勢は、決してドイツ人全般の声を反映していません。

かつてリニアモーターカー絡みで技術だけ盗られて馬鹿を見た経験を持つドイツは、ビジネスパートナーとしての中国に根深い不信を抱いていますし、ダライ・ラマ訪独の折には各地で大歓迎するなど、中国の覇権主義を容認しているわけでもありません。

「中国は世界で最も平和を愛する大国」というシュミット元首相の発言に対する読者の意見はこんな感じでした。

中国の膨張主義的ナショナリズムは、オスマントルコ復活を夢見るトルコのナショナリズムと同じくらいひどいものだ。シュミットのボケは痛々しいレベルだな。

シュミットは部分健忘症に違いない。中国は平和国家でなんかないよ。今の中国が戦争をしかけないのは、しても利益にならないからにすぎない。

ドイツ政界の長老なんて肩書きも風前の灯だな。シュミットのボケはもう堪えられない。年寄りが賢人とは限らないんだよ。

シュミットの戯言を神の言葉のように扱うマスコミに、王様は裸だって誰かそろそろ言ってやれよ。

シュミットは表に出てくるのをやめるべきだな。この前もテレビで、ギリシャ救済でドイツの納税者の負担はゼロだと主張してたぞ。完全にイカれてるだろ。

毛沢東が7000万人殺した国を世界一平和な国とはね。こんな主張聞かされると、他の発言も疑わしくなるな。

banner_03.gif