2012年12月19日

右翼は保守で保守は左翼

維新の会の橋下氏が、選挙後の記者会見で、アメリカ人記者に息巻いたといいます。

《在阪記者から質問が相次ぐ中で、「ジャパンタイムズ」所属の米国人記者からも質問が出る》

−−海外でこの選挙が注目を浴びている。海外のイメージは日本維新の会は右翼というイメージがある。外交はどのように考えているか

橋下氏「日本維新の会が右傾化しているというが、核兵器もって軍隊もっているアメリカとどっちが右傾化なのか。ビンラーディンを殺害したときは他国の主権の中にどんどん踏み込んでいっている。それと日本維新の会と比べてどう右傾化しているのか。核兵器についてどういうことになるのか頭の片隅に入れるというのは当たり前のことだと思う。どこが右なのか最初の前提を教えてほしい」

「米国に右傾化と言われたくない」 橋下氏、米記者に論戦挑む

橋下氏は「右翼」と呼ばれることが不満なようです。

日本では、右翼という言葉は非常に悪い響きがあって、ネットで右翼的な主張をする人たちも、「オレたちは真正保守だ」とは言いますが、「オレたちは真正右翼だ」とはまず言いません。

日本における「右翼=危ない奴」という先入観は、橋下氏の返答にもよくあらわれています。橋下氏は、右翼と名指しされたことに対して、「アメリカのほうが好戦的だからよほど右翼だ」と切り返しましたが、好戦性に右翼左翼は関係ありません。「右翼=タカ派」と思い込んでしまうのは、左翼のプロパガンダに毒されている証なのです。

アメリカでもヨーロッパでも、「クオリティ・ペイパー」に左翼が多い関係上、右翼は悪い意味で使われがちではあります。しかし、右翼に極がつかない限りは日本ほど危険な響きはなく、あくまで政治的位置づけを表す言葉としてとらえられています。

では、維新の会はどう位置づけられるかというと、紛うことなき右翼です。より正確に言うなら、「右翼ポピュリスト」です。日本でこう言うと、「極右衆愚政治」という感じで最低の称号です。しかし、海外でRight Wing Populist と呼ばれても、必ずしも悪ではありません。

アメリカとヨーロッパでは呼称が一致していないので、混乱を避けるために、ここではアメリカでの呼称で説明します。アメリカで右翼というのは保守のことであり、米共和党的な政治姿勢を指します。すなわちそれは、「政治権力は人々の営みをなるべく邪魔しない」という姿勢です。

維新の会は、ときにリバタリアン的ですらある自由主義を掲げているので、ずばりこの範疇に入ります。また、ポピュリズムというのは、必ずしも衆愚政治のことではなく、「既存の体制を、大衆の支持を背景にして刷新する」という姿勢を指すので、これもずばり維新の会に当てはまります。

従って維新の会は、右翼ポピュリスト以外の何物でもありません。橋下氏は、今後はこうした事情を理解して、冷静に対処すべきです。今回のように頓珍漢な対応をしていると、基地外極右のレッテルを貼られるだけです。

ところで、海外と日本の政治カテゴライズの差が最も珍妙に表れるのは、自民党です。此度の選挙結果は「自民党圧勝で保守政権奪回」などと海外で伝えられていますが、アメリカ人からすると「???」です。

なぜならば、自由民主党を英語にするとLiberal Democratic Partyであり、アメリカでは「リベラル=左翼」を意味し、また「リベラル=民主党」だからです。だから自民党は「左翼主義左翼党」ということになり、それを保守と言われるとどうにも違和感があるのです。

しかもこれは、ただの言葉遊びではありません。今の自民党は、中央銀行の独立を犯して金融緩和し、公共事業拡大により景気回復すると訴えていますが、これは米民主党の中でも最左翼の発想です。自民党は、名称も政策もガチガチの左翼なのに、なぜか日本では保守と呼ばれているのです。

昔からよく言われるように、日本は世界で最も成功した社会主義国家であり、中国の保守がゴリゴリの共産主義者であるように、日本の保守は模範的社会主義者ということなのかもしれません。

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