中国外務省の洪磊報道官は11日の定例記者会見で、安倍晋三首相が沖縄県・尖閣諸島の国有化を受けた反日デモで日系企業が襲撃された昨年の事件を踏まえ中国を批判したことに対し「中日間の困難な局面は日本が招いた。日本は現実を直視して適切に問題解決を図るべきだ」と反論した。
安倍首相の批判に反論 中国外務省「現実直視を」
そんな中国で、今密かにブームを呼んでいる本があるそうです。それは、19世紀フランスの歴史家、アレクシ・ド・トクヴィルの「旧体制と大革命
Tocqueville classic becomes Chinese bestseller
トクヴィルといえば、日本では「アメリカのデモクラシー
そんなトクヴィルが今中国で流行している理由は、改めてアメリカを研究しようとしているのでも、民主主義を学習しようとしているのでも、ましてや共産主義国として革命の元祖であるフランス革命に思いを馳せようとしているからでもありません。
国務院副総理の王岐山氏が推薦したことに端を発し、とくに指導層の間で熱心に読まれているという理由は、フランス革命分析におけるトクヴィルの次のような考察にあります。
悪い政府にとって最も危険な時期は、改革を始めたときである。
(大変動の到来は)誰の眼にも明らかであり、しかし同時に誰にも予測できなかった。
トクヴィルは、フランス革命は民衆の貧困ではなく、総体的な豊かさと絶望的な社会格差により起きたとします。そして汚職まみれのフランス政府は革命のはるか以前から民衆の支持を失っており、ただ経済発展することで気持ちをつなぎとめ、景気の停滞とともに思いもよらぬ形で暴発したと分析します。
中国の状況とあまりに似ています。だから指導層はトクヴィルを読み、そこから教訓を得ようとしているのです。
ではトクヴィルの処方箋は何か?残念ながらトクヴィルは、旧体制の問題点を指摘するばかりで、その解決策は提示していません。それどころか、改革に乗り出したときに危機は到来するとします。改革は不可避、しかし改革すると危険。ではどうすれば?…海外に資産を移す高級党員たちの気持ちもわかります。