2013年01月22日

「国家ブランディング」は国を滅ぼす

まもなく退任する韓国の李明博大統領が、韓流ブームによる国家ブランドの上昇を自画自賛していました。

李大統領は、国のブランド価値が上がれば有形・無形の相乗効果が絶大としながら、「今や『コリア・プレミアム』時代であり、韓国の商品価値も上がった」と力説した。

李大統領 韓国の「格」上昇を協調

この考えを改めないかぎり、韓国は大変なことになると思います。

韓流最大の成果としてあげられる「江南スタイル」のヒットは、ケーポップ路線から逸脱した計算外の出来事であり、「ニューヨーカー誌」の指摘する通り、むしろケーポップの「文化テクノロジー」という哲学を真向から否定します。

また、韓流が韓国製品の価値を高めるのに貢献しているというのも俗説の域をでません。韓国製品躍進の理由は、高品質の製品を安く提供できたからに尽きます。韓流が韓国製品のイメージアップをもたらしているとするなら、世界最大の韓流消費地である日本で、サムスンとヒュンダイはオシャレ企業としての地位を確立しているはずです。

「国家ブランド」という概念を最初に提唱したのは、イギリスの政策アドバイザー、サイモン・アンホルト氏ですが、以前にも書いたように、彼は国家ブランドという言葉を広めたのを後悔していると繰り返し述べています。なぜならば、国家ブランドという言葉は、国家のイメージをマーケティングで変えられるという誤解を生みやすいからです。

アンホルト氏によれば、「国家ブランド」は確かにありますが、「国家ブランディング」はできません。つまり、国家イメージはマーケティングにより操作できるものではないのです。しかし「国家ブランド」というキャッチコピーは政治家と官僚の間にそのような誤解を広めてしまい、おかげで広告屋のカモにされていると嘆きます。

下の映像で、アンホルト氏は国家ブランディング行為の無意味さを強く主張し、「ブランド」という意味曖昧な英単語は使用禁止にすべきだとまで述べています。アンホルト氏によれば、国家ブランディングというのは、自分の華々しい血筋や学歴や職歴を他人の前で滔々とまくしたてるのと同じであり、そんなことをしてもまわりから性格破綻者と認定されるだけなのです。



日本の嫌韓ムードは、典型的な反日左翼政権である盧武鉉政権時代に激しく高まりました。しかし、李明博政権の成立とともに急速に減退しました。盧武鉉政権とは違い「まともな政権」である李明博政権は、ファナティカルな反日姿勢を見せませんでしたから当然の展開です。

しかし2010年頃から再び嫌韓は強くなり始めました。日韓の間に感情的な政治問題は存在しないというのにです。この不可解な嫌韓復活の背景に、2009年に設立された「韓国コンテンツ振興院」による、国策としての韓流ゴリ押しを見ようとしないのはどうかしています。

今日の日本の嫌韓は、李明博大統領の竹島上陸や天皇土下座発言により突如として噴出したのではありません。むしろあの事件は、韓流ゴリ押しにより醸造されていた嫌韓ムードに、爆発の契機を与えただけにすぎないのです。

韓国の新政権は国家による韓流ゴリ押しを継続するそうですから、韓国の自傷行為はまだしばらく続くことになりそうです。この愚かな行為は、韓国という国家の未来に致命的な損害を与えるに違いありません。日本の政治家と官僚には、広告屋の口車に乗せられて韓国の轍を踏まないように願うばかりです。

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