しかし、今自民党(とその他もろもろ)のしようとしているイメージ戦略の方向と、小泉劇場のベクトルは、完全に逆を向いています。
どういうことかといえば、今の自民党は、テレビをはじめとするマスコミに作られた人気者の尻を追いかけ、いわばテレビにひきずられていますが、小泉劇場というのは、テレビをひきずっていたということです。
テレビや新聞には、ニュースの作り方が2通りあります。ひとつは、誰もが求める情報を探して提示するやり方。もうひとつは、情報機関としての自らの信用を利用して、「これが今一番大事なニュースだ!」と提示するやり方です。簡単にいえば、金鉱から金を採掘して売る方法と、道ばたの石を高値で売りつける方法があるということです。
マスメディアにまつわるほとんどすべての問題は後者に起因します。そしてこのやり方により、マスメディアは社会を恣意的にコントロールする力を持つのです。
小泉氏は、そうした“情報の格付け”をマスメディアに頼りませんでした。ときには自分自身がゴールドとなり、またときには、小泉氏が尊敬する織田信長のように、変な形の茶器に途方もない価値を与えるなど、とにかく自らゴールドを提示し続けました。
だからこそ、小泉氏は社会のあらゆる層にアピールしたのです。上から提示される価値観を無批判にありがたがる“情弱層”はもちろん、比較的リテラシーの高いネットユーザーは、長い間やりたい放題だったマスメディアを無力化した小泉氏に拍手喝采しました。
しかし今の自民党(とその他もろもろ)は、小泉政権誕生以前に逆戻りしています。彼らは、テレビや新聞が売る石ころをありがたがり、次から次へと高値でつかまされているカモ同然です。「そんなのただの石ころじゃないか!本物の金とはこういうものだ!」と店先でぶちあげた小泉劇場とは雲泥の差です。
そういう小泉氏のパワーを可能にしたのは何か?そこには、緻密なメディア戦略もあったに違いありません。しかしより重要なことは、「そんなのただの石ころじゃないか!・・・」と遙か以前からバカのひとつ覚えのように訴え続けてきたということです。自分の中に軸があるからこそ、マスメディアの営業トークに惑わされることもなく、多くの人々をマスメディアの引力圏から、自分の引力圏へと惹き付けることができたのです。
小泉氏のような芸当を、今の自民党(とその他もろもろ)に求めることはできません。なにしろ彼らは、「格差」をはじめとするマスコミの提示する商品を買うことによって力を得た人たちです。2年前、参院選で大敗した自民の古賀氏は、「構造改革の見直しを求める国民の声だと思う」などと、負けたにもかかわらず得意気な表情で語りましたが、マスコミに与することで力を得るということは、自らの殺生与奪権をマスコミにあずけるのと同義で、都合よく途中で抜けることはできないのです。
民主が勝とうと、自民が持ちこたえようと、次の政権はマスコミ政権になるのは避けられそうもありません。その意味で、「ぼくが行けば自民党は負けない」という東国原氏の自信は誇大妄想とはいえず、むしろ彼こそ、マスコミ政権に相応しい顔といえます。
その人が流れの中心にいるかどうかという事でしょうか。
ひょっとするとその小泉氏のスタイルに一番似てるというか近いのは大阪府の橋下知事のような気もします。
今とほんの数年前との違いの理由がすっきりした感じがします。ありがとうございました。
目的を達成する手段として政権を維持しようとした当時の小泉さんと
政権維持を目的としている現政権(敢えて麻生さんとは云わない)と。
勿論、野党も政権の奪取しか考えていない様ですが。
そのまんま東の「ぼくが行けば自民党は負けない」発言も政局です。
政策、即ち「政権を取ってこういうことがしたい」という話ではない。
これは要するに国民が舐められてますね。
国民にとって意味があるのは誰が政権を握るかではなく、
その政権で何をするかであるにも関わらず、政治家(とその候補)は
はばかりもなく政局の話ばかりを大声でしているのですから。
殺生与奪権?
はばかりもなく政局の話ばかりを大声でしているのですから
おっしゃる通りなんでしょうが、本当に国や国民のためになる政治をしようとした政治家は今の現状では選挙に落ちる訳でして。。。。
魑魅魍魎の世界を生き抜いて、我慢に我慢を重ねて、やっと頂点に上り詰めたポジションを簡単にポイッと捨てられる人もまずいない訳でして。。。。
そう考えると、小泉氏ってTPOが奇跡的に合致した近代稀に見る時代の寵児とも言えるかもしれません(引き際がこれまた絶妙ですし。。。)。
> やっと頂点に上り詰めたポジションを簡単にポイッと
> 捨てられる人もまずいない訳でして。。。。
どうなんでしょうね。実は僕はココが良く判らないのです。
国会議員にもなれば、まして、首相まで昇りつめられれば、
まず辞めたとしても、生活に困る事はないと思います。
いや結構ハイレベルな暮らしが維持出来るでしょう。
人生の達成度も俗物的な基準ではMAXに近いし、年齢的に
寿命も7割方は消化しているので暗殺されても大したことじゃない。
自分だったら、無難にもう任期を数年延ばしたりするよりかは、
手持ちの全力使って「純粋に理想(ワガママ)を追求する」という
究極の娯楽に突入しますね。日本の命運も玩具にします。
例えば「再軍備&北朝鮮潰す」とか極端なテーマで国民の支持を
取り付けるべく解散総選挙という博打を楽しみます。負けても可。
数年長く務めてどうでもよい評価を貰うより、一代の奇人として
最高でなければ最低の金字塔を打ち立てる方が痛快ですしね。
そこまでやらんでも首相にまでなっておいて柵に縛られるのが
判らないですね。恩知らずの悪名を着ても、権限の限りトコトン
納得のいくことをやった方が余程気持ちが良いはずです。
彼等がそういうことを考えないのは、歴代首相や国会議員てのは
非常に出来た義理堅い人種なのか・・・等と思ったりもしますね。
そんなわきゃないですが。。。
“生殺与奪権”では。内容に関して異論はありません。
つかあの話って、どっちが勘違いしちゃった
んでしょう。両方なのかなぁ。
入閣どうのこうのってのは、変態新聞の飛ばしだと
思ってましたが。
記憶にある限りでは、この当時の状況と似てるかなと。
・55年体制の崩壊→細川内閣誕生(支持率75%)
・森内閣の超低空支持率→小泉フィーバー(支持率85%)
どちらもアメリカの政権交代があった年でした。
気のせいかな・・・
世論操作という意味ではより重要な点があります。
すなわち、そこに金鉱(誰もが必要とする情報)があっても、それを無視して全く報道しないという方法です。これを前提にして初めて、二つ目の「道ばたの石を高値で売りつける方法」が効果を発揮するのです。
>小泉氏は、そうした“情報の格付け”をマスメディアに頼りませんでした。…
それは必ずしも当てはまらないでしょう。小泉氏の主張は、かねてからマスコミが主張してきたことと一致する点が少なくありません。そして、それを巧みに自らの主張に組み入れていました。
小泉氏が、一見するとマスメディアを翻弄しているように見えても、それは小泉氏の主張がマスコミにとって「美味しいもの」であった結果に過ぎません。現実には、暗黙の共犯関係があっただけのことです。そして、過去の独裁者の手法も、基本的にはこれと同様のやり方でしょう。
>比較的リテラシーの高いネットユーザーは、長い間やりたい放題だったマスメディアを無力化した小泉氏に拍手喝采しました。
しかし、これも小泉劇場に引き込まれ、単なる観客に成り下がっただけのことかもしれません。本来の意味でリテラシーを身に付けるためには、マスメディアが報道しないことであっても、的確にその重要性を判断し、自ら調べるノウハウを獲得する必要があるのでしょうね。