2009年07月08日

殉教者

なぜか最近、世界で立て続けに似たようなことが起こっています。

イランで大規模な反政府デモが起きたかと思えば、中米のホンジュラスで“クーデター”が起き、そして中国で大量に死者を出す騒乱。群衆が集まり、そこで暴力が振るわれ、そしてその写真や映像がインターネットで飛び交います。

イランの騒乱では、デモ参加者の女性、ネダさんの射殺映像が世界を駆け巡り、改革派はネダを合い言葉に団結を強めました。

nedascreengrab.jpg


デモ参加者は、もちろん政府の仕業だといい、イラン政府は、デモ参加者の仕業だといい、なかには、西側諜報機関のイメージ戦略だなどという人もいます。ネダさんの場合、被弾時にたまたま近くにいて介抱した人がイギリス在住イラン人の医者で、事の始終をBBCとのインタビューで語っており、話の内容からしてバシジ(強硬派民兵)に殺られたのは間違いないと思いますが、それすらできすぎた偶然だといえば、もう何が真実なのかわかりません。どの立場に立つかで、真実はいかようにも解釈できます。

ホンジュラスの“クーデター”(独裁制を目指したセラヤ前大統領の行動を裁判所が憲法違反としているため、軍の行動はクーデターとは呼べないとする意見も多い)では、政権の再奪取を狙うセラヤ前大統領の帰国にあわせてセラヤ派のデモがおき、そこで19歳の青年が射殺されました。

woundedprotester.jpg


反米左翼を中心とするセラヤ大統領擁護派は、「平和的なデモに対して軍が発砲した。クーデター派の無法ぶりを物語るできごとだ!」などと気勢を上げています。しかし一方反セラヤ派は、デモはほとんどの参加者が報酬を受けてのヤラセで、空港施設を破壊するなど暴力的なものであり、しかも軍はゴム弾しか使用しておらず、遺体に残る銃痕とは合わないと訴えています。

あらゆる抗争は殉教者を求め、一方に殉教者が生まれそうになると、敵対する勢力はその正当性を否定しようと躍起になります。情報戦において、殉教者ほど人々の感情に訴える武器はないからです。

中国のウルムチで起きている騒乱は、上記ふたつの騒乱を遙かに凌駕する大事件です。

当局は、過激派勢力に煽動されたウイグル人グループの犯行とし、海外のジャーナリストはそれを疑い、そしてウイグル人たちは、平和的なデモに先に手を出したのは当局だと訴えています。

urumqiriot.jpg


しかし殉教者はいまだ生まれていません。多くの死者を出し、その無残な死体の画像はたくさんありますが、殉教者となりうるキャラクターを帯びたものはなく、殉教者を生もうという意志もあまり感じられません。


なぜウルムチで殉教者が生まれないのでしょうか?

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この記事へのコメント
> なぜウルムチで殉教者が生まれないのでしょうか?

ウイグル人が「殉教者」の映像や名前を出すと、
その家族・親族・友人の生命・財産等が中共政府や漢人によって
危機にさらされるからではないでしょうか?
Posted by MUTI at 2009年07月08日 20:23
>MUTIさん
同意。その周りの人が狩られるからだと思います。

かの国ではニダさんが(ry
Posted by OOIOO at 2009年07月08日 21:28
韓国のニュース映像(グロあり)らしいです。
後半から路上に遺体がゴロゴロ・・・
http://www.youtube.com/watch?v=giyDWIZtUOE
Posted by ミツ at 2009年07月08日 22:22
ホンジュラスのセラヤ対保守派(便宜上そういう分け方します)の騒乱もわけがわからないですね。

理由はどうあれセラヤは憲法の規定を踏みにじるような脱法行為やろうとしたからいったんクーデターで追いだされて最高裁だの議会だのが追認したわけですが、なぜかいつのまにか「かわいそうなセラヤたん対悪辣な国軍・保守派」って構図になってますな。
可笑しいのは、いつも日本で憲法護持、保守右派が改定を唱えただけで「違憲」認定したがる連中が、思いっきり違憲だったはずのセラヤを支持してるんですwww

八木とかいう南米サヨカブレババアとか。

Posted by 鈴木高次 at 2009年07月08日 23:23
私もMUTIさんに同意見です。


それから、チベットは早い時期から国際活動をしていたのに、ウイグルの方は相当に遅れて国際活動を始めたようです。
ユーゴ内戦の時、セルビアとボスニアとクロアチアが三つ巴で民族浄化をやっていたのに、ボスニアが情報戦に長けていたために
セルビア一国のみが民族浄化を行っているという誤った報道が世界中でされ、遂にはセルビアのみが国連から追放され、NATOからの爆撃を受けました。

ウイグルでは、なかなか、情報戦におけるスターが生まれないのは、セルビア同様、情報戦が苦手だということも理由のひとつだと思います。


・・・世界中で似たような情報戦が行われるようになったのは、ユーゴ内戦でみなさん、お勉強されたのでしょうね。
当時、既にボスニアは『やらせ砲撃』をやっていました。情報戦に勝つためなら、同じボスニア人の子供や女性やその他の罪のない民間人が死んでも構わないという訳です。
昨日のミツさんの情報によると、中国も『やらせ』を行っているようです。

>官製暴徒がウルムチを蹂躙…ウイグル人抹殺計画の実景
http://dogma.at.webry.info/200907/article_4.html
>Posted by ミツ at 2009年07月08日 17:25

リンク先

>官製暴徒である証拠写真がある。
>▼ウイグル商店を襲撃する漢族(AP通信)
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/007/421/23/N000/000/004/124700584429916331573.jpg

>写真の左端上部に、武装警官が映り込んでいる。両手で構えているのは銃器だ。そして、その武装警官は、至近距離で繰り広げられている狼藉には眼もくれず、なぜか、別の方向を監視している。
>まるで暴れる漢族を護衛しているかのようだ…
Posted by SilentVoice at 2009年07月09日 12:21
どんなに人の心を揺さぶる感動的な物語も、多くの人々の目に触れる機会が無ければそれは存在しなかったのと同じですからね・・・。

今後世界最大の市場に成長すると目されている中国の機嫌を損ねることを恐れる多くの先進国とそのメディアは、中国に都合の悪い情報を流す事には非常に気を使っているように見えます。普段人権平和平等をスローガンに掲げているはずなのですが。
Posted by 権兵衛 at 2009年07月09日 20:05
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