ビートたけしの「テレビ界の世代交代が進まない理由」
この記事に対するはてぶのコメントを読むと、ビートたけしの若手芸人に対する謙虚さと懐の深さに感心する人が多いようですが、ぼくはちょっと違う風に受け取りました。
弱肉強食の芸能界で生きてきた人はけた外れに負けず嫌いです。歳なんて関係なくみんなライバルで、「古い人」とは絶対に呼ばれたくない。ただそれでも時代には逆らえずに若手に追い越されてしまい、仕方なしに「最近の若いのは」と愚痴る。それがあるべき姿だと思うのです。
ところが、もう何十年も芸能界のトップに君臨し続けている超ベテランの口から若手を賞賛する言葉しか出てこない。これは若手にまるで脅威を感じていない証で、本当に芸能界は世代交代が進んでいないし、その気配すらないのだなと、改めてそう感じさせられました。
ではなぜそうなのか?それについては、同じ記事の中でたけし自身がヒントを出してくれています。
ある時期さ、走り高跳びで「ベリーロール」とか「ロールオーバー」とかやってて、「背面跳び」になった瞬間のすごさってあるじゃないですか。あれでオリンピックでぜんぶ背面跳びで世界記録出したでしょ?
でも、最初に背面跳びやった奴は、それだけだよ。記録があとぜんぜんこんなに違うから。でもその人が歴史に残る。だから実力的に今の人のほうが絶対に上だけど、「あ、それオレやったことある」みたいな、優越感だとしたらそこの部分くらいだね。で、やっぱり今のほうが上じゃない、そのアレンジしたやり方だったら。
つまり、背面跳びとは違う跳び方をする選手がでてこないのです。
技術的にいくら前の世代を凌駕しても、手法が変わらなければ前の世代は「古く」なりません。たけしがカントなら、今の若手はカント哲学の枠内で哲学を語っているようなもので、そうである限りは、カントはいつまでもリアルタイムで大御所であり続けます。ヘーゲルになり、ショーペンハウアーになり、ニーチェにならなくては、カントは古くなりません。
テレビ芸能というのは、まさにそうした手法の進化でダイナミックに世代交代してきたのですから、たけしのこの発言は、今の若手芸人たちに対する、下手な苦言など比較にならないほどに辛辣で厳しいものだと思います。
その根源的な理由は、おそらくテレビ局が若手に活躍の場を与えないからではありません。突き詰めれば、もしたけしが今野心に溢れた20歳の若者だったら、テレビタレントを目指しただろうか?ということだと思います。
はてなー諸氏の読み取り方がなんか変というか脊髄反射的というか。
単純に「今の若いやつはダメ」というんじゃなくてほんとに「なぜダメなのか、それはこうだからだ」を真面目にクールに分析されちゃった、て意味ならまだ賞賛もわかるんですが。
賞賛するのもなあ。
「○○系とか、××ブームとか、最初に大ブレークしたアーティストが売れなくなる頃には、後続の人間もみんな売れなくなってる。なんで?」
という記事があり、言われてみれば、と思った事があります。
それにしてもSMAPが30代後半になっても男性アイドルのトップでいるとは想像できませんでした。最近は失速気味とは言え、光ゲンジが「最近ではすっかりSMAPに仕事を取られて」とボヤいてから、もう15年くらい代謝が起きていないような。
このたけしの話は「クメピポ」の最終回で出てきたものですが、ニュースステーション終了後、久米さんのTVバラエティもことごとく短期間で打ち切りになってるわけです。選挙の開票速報やラジオは割と好評だったのに。
あとマンガや小説も異様に長く連載が続くようになりました。何年も続けるうちに読者のほうが世代交代してしまい、最後まで読みきった人間は1巻を読んだ人間の何分の一なんだろう?みたいなシリーズがありますね。
取り分け、年寄りが主力になっているわけなんで、たけしやさんま、タモリで一息。午後は水戸黄門でも見るかと言うのは、定番でしょ。
韓流を見るかと言えば、爺は見ないので、TBSの改変は、お笑いの部類かな。
久米は、若さと歯切れの良さが売り物でしたから、古くなった刺身なんか,もう誰も食べないでしょ。
もちろん死んでくださいは冗談でしょうが、しかし半分本音も隠されているような気がします。
ボクはこの話を聞いたときにもちろん笑いはしましたが、一方で、こんな考え方ではたとえタモリが引退してもタモリの代わりはつとまらないな、と思いました。
oribeさんがおっしゃるように、たけしさんやタモリさんはそのあたりの若手芸人の本当の力を見越して発言しているように感じることが多々ありますね。
先日の生放送番組で、もうベテランの部類に入る島田紳助さんがこの中堅芸人とまったく同じことをタモリさんに向かって発言していたそうです。
ギャグで言っていることを祈ります。
古くからの顧客である中高齢層を引き付けるための大御所頼みか、多趣味で飽きっぽい若年層のために、一発屋とキャラ芸人を薄く広く提供するかのどちらかしか番組制作者側には選択肢がないのでは?
http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h17/html/H2701300.html
>図表[2] 性別・世代別1日当たり平均メディア利用時間(平成16年、利用者平均)
これを見ると、10代から60代までで、最もテレビの視聴時間が短いのは40代のようです。
確かに若くなればなるほど、ネットの利用時間は増えていますが、テレビもわりあい見られており、忙しく働く40代と定年を迎えて時間にゆとりがあるだろう60代の差は1時間強くらいです。
ビデオリサーチ
週間高世帯視聴率番組10
2009年 7月13日(月) 〜 7月19日(日)
その他の娯楽番組
http://www.videor.co.jp/data/ratedata/backnum/2009/vol29.htm#etc
各番組の世代別視聴率を見てみないと断言出来ませんが、上位番組の視聴率を押し上げてるのは高齢者世帯なんでしょうか?
年代別、時間帯別テレビ視聴率
http://pvpmtfv.blogspot.com/2009/05/blog-post_4449.html
によると、今の話題で焦点になるであろう 19−23時の時間帯における視聴率は、男女ともに20代のほうが40代よりも低いようです。関東地区限定ですが。
単身世帯だと、静寂を嫌ってテレビをつけてるだけで、まともに観てないという人も多いのでは?
>各番組の世代別視聴率を見てみないと断言出来ませんが、上位番組の視聴率を押し上げてるのは高齢者世帯なんでしょうか?
小さな子供がいる、親が40才前後の家庭向けのものや、中年夫婦が観そうなものも多いように思います。
これだと、一日のテレビ視聴時間も相当低くなっていないとおかしいですね。うーん。
小さな子供のいる家庭の視聴行動に親の好みが強く作用するのはわかります。
かつて民放で午前中に放送されていた幼児向け番組は、70年代の終盤に曲がり角を迎え、次々終了していきました。
しかし、この頃は団塊ジュニアが幼児期だった事もあり、ターゲットである子供の人口はとても多かったはずなのです。
なんでも、母親がワイドショーにチャンネルを合わせるようになってしまったのが原因だとかで・・・
最近の仮面ライダーシリーズなどは一緒に見ている親世代をモロに意識してますね。