2012年01月07日

マーケティング・リテラシー

食べログの「ステマ業者」発覚を、テレビ各局がいやに熱心に伝えていました。今さら感溢れる報道で、今どきあの程度の安易なステルスマーケティングにホイホイ釣られる無垢な人などいるのだろうかと思いますが、まあテレビ局からすれば、ネットの闇をステマするいい機会なのかもしれません。

それはともかく、ステマはウザいです。ユーチューブで数千万ビューを稼ぐKポップアーティストを見るたびに、哀れみを感じるとともに、なんとか掃除する方法はないかとため息が出ます。でも、根絶する方法はありません。各サイトがいくら警戒しても、ステマ業者はウラをかいて、対症療法にしかなりません。

結局ステマをなくすには、その大元である、モノを売りたい側、ステマ業者に発注する側に、マーケティング・リテラシーとでもいうものを身につけてもらうしかないのだと思います

どういうことかというと、ステマというのは、バレたときの反動が極めて大きい、愚策中の愚策だということです。今回の食べログの件でも、ステマ業者に発注した店は、もし店名が表に出たなら、廃業は必至です。それまでコツコツと築いてきた客の信頼を、瞬時にして半永久的に失うことになりかねないステマは、万が一バレたときのリスクを考えると、とても割りに合わないのです。

一昔前なら、お店の経営者にできる広告展開は、せいぜいチラシとかサービス券の配布くらいで、マーケティングに関するリテラシーはそれほど必要ありませんでした。しかし今は違います。いかに小さな店の主でも、ネットを利用するのであれば、宣伝の基礎を知り、客の信頼を裏切る破滅的宣伝をしないように気をつけ、悪徳業者にそそのかされないようにしなければならないのです。

ぼくがレストランのオーナーだとするなら、いくら食べログのランクをあげるのが至上命令だとしても、絶対にステマ業者など使いません。自力であげるチャンスはいくらでもあるからです。

たとえば、ネットを通じて新メニューのテスターを募集します。何組かカップルでディナーに招待して、店主直々に新メニューとサービスについての意見を聞き、それを店の改善に取り入れると約束するのです。そうすれば、テスターのうちの何人かは、必ずやランキングサイトに投稿してくれるはずです。しかも、ステマ業者などにはおいそれとマネできない、情熱に溢れた推薦をしてくれるに違いありません。

これはホーソン効果という心理学の手法を使い、ザッと組み立ててみた宣伝方法です。ホーソン効果とは、人は自分の意見を重視されたり、特別なサービスを受けたりして、一般ピープルとは違う扱いをされると気分が良くなり、自分をそう扱う対象に親近感を抱き、その対象を喜ばせようと積極的に動くようになる、という心理効果です。

商品開発のテスターに選ばれた人が、報酬度外視で活動するようになるというのはよく見られる現象で、クチコミ宣伝に長けた近頃の広告屋の常套手段でもあります。これも広義にはステマといえますが、クチコミを広める当人は誰から要請されたわけではありませんし、店が実際に彼らの意見を取り入れれば、もはや広告の枠を超えたサービス向上の一環にもなるわけで、店も客も得をする「良いステマ」だと思います。

ツイッターにうかつな書き込みをして炎上する人が跡を絶ちませんが、それと同様に、悪質ステマをめぐる騒動は、情報を発信する側のリテラシー不足に起因する問題です。ネットの時代には、情報を送るときも、受けるとき同様に、それなりのリテラシーが必要とされるのです。面倒くさい時代ではあります。しかしネットは怖いと考えるのは誤りです。ネット登場以前は、あらゆる情報がすべてステマだったわけですから。



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