2012年01月23日

著作権は何を守るためにあるのか?

アメリカでは、ネット検閲法案SOPA/PIPAが、激しい抵抗を受けてお蔵入りしました。しかし、日米欧で交渉が進んでいるACTA(模造品・海賊版拡散防止条約)など、ネット検閲を目論む動きに止む気配はありません。むしろ、あせる既得権者たちは、さまざまなレトリックを使い、いよいよこれからネット検閲に本腰をいれてくるに違いありません。

そもそも、はたして著作権は必要なのでしょうか?よく、「違法コピー」は万引きと同じだといわれたりします。しかし、それは詭弁です。スーパーでリンゴを盗めば、スーパーからリンゴがなくなりますが、いくら音楽をコピーしても、音楽は誰からも奪われません。

あるいはこんな主張もされます。「違法コピーが蔓延すると、クリエーターが稼げなくなり、創作活動する動機が失われ、文化産業の発展が妨げられる」。そういわれると、そんなものかなと思えます。しかし、実情はそうではありません。

たとえばAV業界。AVといえば、ネットに落ちているものの代表です。ほとんどあらゆるアダルトビデオが、乱立するエロビデオ共有サイトや、ファイル共有サイト、トレントなどでダウンロードできます。AVにももちろん著作権はありますが、もともと後ろめたい業界であるせいか、音楽、映画、テレビ業界のように堂々と著作権保護を訴えられず、また訴えたところで焼け石に水なので、ノーガード状態でやられまくりです。

しかし、そのせいでAV業界が衰退したようには見えません。それどころか、Internet Pornography Statistics によれば、AV業界は活況を呈しまくっています。たとえば、アメリカにおけるポルノビデオの発売本数は、ネットの普及とともに爆発的に伸びています。

uspornvideo2005.jpg


また、ポルノ産業の各国収入を比べると、中国と韓国が他を圧倒していますが、中国と韓国といえば、言わずと知れた違法コピーのワイルドウエストです。違法ダウンロードでいくらでもタダで楽しめるというのに、そういう傾向が強ければ強いほど、なぜか男たちは懐をゆるめ、産業は潤うのです。

pornrevenue2006.jpg


では、質はどうでしょうか?違法ダウンロードにより、AV業界は粗悪品の量産を強いられ、年々質が低下したりしているでしょうか?そうとは思えません。AVの質はひとえに女優の質で測られますが、聞くところによれば、最近のAV女優の質はとてつもなくレベルアップしています。

というように、著作権がないがしろにされて違法ダウンロードが蔓延しても、しっかりとカネはまわり、産業は発展するのです。これはなにも現代のポルノ産業だけについていえることではありません。歴史的に見ても、そういう実例はいくらでもあります。

たとえば19世紀のアメリカでは、外国人に著作権はありませんでした。19世紀中庸に活躍したディケンズのようなイギリス人作家の本は、著者に著作権料を支払うことなく、いくらでもコピーして販売できたのです。しかし、おかげでイギリス人作家は大損したのかといえば、そんなことはありませんでした。

アメリカの出版社は、ライバルに先駆けて出版するために、イギリス人作家に多額のフィーを支払ったのです。そのためイギリス人作家は、著作権で守られたイギリスでの出版よりも、アメリカでの出版でより儲けることになったといいます。アメリカの方が人口が多いからではありません。当時の人口は、両国とも同じくらいでした。

著作権がないために、安価なコピー本が出まわり、それが読者層を開拓し、著者の知名度をあげ、著者の収入アップにつながったのです。安価なコピー版が出まわっても、著者にフィーを支払った「正規版」はしっかり売れ、読者も出版社も著者も、みんなハッピーでした。

というわけで、著作権が侵害されると、文化産業が育たないというのは「神話」でしかありません。泥棒でもなく、文化産業を衰退させもしない違法コピーは、ならばなんのために駆逐されねばならないのでしょうか?著作権を柱に構築された利権構造を守るため、ただそれに尽きます。




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この記事へのコメント
AVや19世紀イギリスの例は確かにそうなのかもしれませんが、それだけで著作権不要説を唱えるには弱いような気がします。

下のような例もありますね。
「違法ダウンロード横行に「まいった」 韓国DVD事業からハリウッド勢全面撤退」
http://www.j-cast.com/2008/11/12030235.html
Posted by nanoshi at 2012年01月23日 11:19
You Tubeと音楽業界の関係もまさにそうですよね。
Posted by JFK at 2012年01月23日 13:08
「抜け駆け」であるが故に効果を発揮しているものを、安易に一般化するのは危険だと思います。
Posted by P at 2012年01月23日 17:32
韓国でのDVD事業は単純にDVDがダウンロードに利便性で劣るが故の結果という気もします、
AVも19世紀のアメリカの場合もフィーを支払っていない商品の隣に「正規版」も並んでいましたから。
韓国の実例をAVや19世紀の事例と同列に語られるべきなのか?と考えてしまいます。
Posted by an at 2012年01月23日 19:10
侵害されて初めて著作権のありがたみに気付く。。。なんてことにならなければいいんですけどね。
金の問題じゃないですよ。例えば幼稚で下品なパロディとか替え歌とか誤訳だらけの下手くそな翻訳とか、そういったものが勝手にばらまかれたら困るし悲しいじゃないですか。
Posted by . at 2012年01月24日 00:16
最近更新が多くて嬉しい限りです
違法ダウンロードに始まるネットモラルの問題、確かに解決しなければならないのですが
その陰に金やら権力やらの臭いがするのは嫌ですね
この件に限らずそういった大衆に訴えかける正義感や倫理感を錦の美旗に、裏で自分達の為だけの主張を通そうとする輩が多くて参ります…今の政権与党とか
アメリカのアップローダ閉鎖問題もレコード会社に反発するアーティスト達がアップローダ中心で作品を発表していくと言ったのが発端だと聞きました。
Posted by 名無し at 2012年01月24日 00:39
配信関係ないどうでもいい反論ですが。
今は、昔みたいな中高生に有名なアイドル女優とかいないでしょ。

いかにも飛びつきそうなHDやら3Dへの
進出とかも別にやってないようだし。

文化的には廃れてると見るのが妥当では。

大体、女優をどういう経路で引っ張ってるのかわかんないから、
市場原理と人材獲得の相関関係がわからない。
前述の通り、おそらく育ててはいない。

そもそもポルノ系ダウンロードにはリスクがあるし。
Posted by a at 2012年01月24日 01:22
各種団体には、著作権法の目的・精神を再確認して欲しいところです。
著作権法にも「この法律は・・・文化の発展に寄与することを目的とする。」と明記されています。
逆に言うと、クリエイターの利益など、著作権法の精神から言えば二義的・三義的なものです。仮に著作者の権利を一切認めずに海賊版を横行させたほうが文化の発展に寄与するのであれば、著作者の権利を認めないよう、著作権法を改正すべきかと思います。
Posted by itoishi at 2012年01月24日 10:35
要するにビジネスの仕組みを変えないといけないのだと思います。任天堂やソニーにとっては違法コピーは頭痛の種ですが、ゲーム産業という括りではグリーやモバゲーのような課金ビジネスが伸びてます。

ジャニーズ事務所はネットに画像を流さない方針のようですが、韓国アイドルはステマとしyoutubeを使い世界進出しています。

ネットをどう有効活用するかです。
Posted by SH at 2012年01月24日 13:19
韓国の非ネットゲームは違法コピーのせいで全く発展しませんでしたけどね。
結局クリエイターたちはネットゲームに逃げ出したとさ。

Posted by 蜃気楼 at 2012年01月25日 13:22
中国韓国のポルノ産業と違法DLが活況なのは
男女比が大きく男性多数に偏っているため
根本的に需要が大きいという解釈も出来る
男女比が偏っているのは、男尊女卑と
一人っ子政策で女児が間引かれるから。
Posted by littlefox at 2012年01月28日 11:07
中国韓国のポルノ産業と違法DLが活況なのは
男女比が大きく男性多数に偏っているため
根本的に需要が大きいという解釈も出来る
男女比が偏っているのは、男尊女卑と
一人っ子政策で女児が間引かれるから。

一方で、無料視聴によって、ファンの裾野が広がり
一部が有料サービスを利用する熱心なファンになるという
構図も間違いなくあると思う。
Posted by littlefox at 2012年01月28日 11:08
前に黒執事の作者のやなさんが、ブログで思いっきり痛烈に違法ダウンロードを批判してましたよ。
「収入がなくなり私やアニメのクリエーターさんたちが食べていけなくなる」そうです。
実際に著作権を行使している人がこういっているのですが、さてさてドウ思われます??
あとなんでAVなんかと一緒にするんですか?
Posted by おりが at 2012年05月29日 05:12
いやAVは買わなくなったな
yourfile時代ならともかく今はねw
日本のAVって絶対に消えないからさ
Posted by   at 2013年08月30日 18:24
 著作権の侵害と訴えているのは利権団体。けれど、本来であれば、それは作者が言うことだ。作者が「良いんじゃないの? 金でやってるわけじゃないし。必要最低限は稼げてるし」って言えば終わりなんだけどね。
Posted by てきとう at 2013年11月06日 15:49
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