著作権を守り、違法コピーを取り締まるのは、正しいことのように思われます。しかし、実際にそれを取り締まろうとすると、ネットの自由を制限せざるをえないのです。どちらも大事という選択肢はありません。どちらかひとつなのです。
1月24日に発表されたラスムッセンの世論調査は、この件に関して興味深い結果を示しています。調査によれば、アメリカ人の67パーセントの有権者は、「映画をネットでタダでダウンロードするのは泥棒行為である」と考えています(「泥棒ではない」が18%、「わからない」が15%)。しかし、「違法ダウンロードと政府によるネット検閲のどちらを脅威と考えるか」の質問に対しては、71パーセントの有権者が、ネット検閲をより大きな脅威と考えると答えています。
違法コピー撲滅法反対運動により、新たな争点の存在を認識した人々は、今度はACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)への警鐘を鳴らし始めました。なぜACTAは危険なのか?なぜ今ACTAなのか?彼らの主張をQ&A形式でまとめてみました。
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Q:ACTAってなに?
A:日本が発案した、知的財産権保護のための国際通商条約です。中国などで横行する偽ブランド品の撲滅を大きな目的としているため、「偽ブランド品規制条約」とも呼ばれます。日米欧の主要国はすでに署名済みで、各国の議会で承認されると発効します。
Q:ACTAが発効されるとどうなるの?
A:ACTAは、ネットにおける「違法コピー」を模造品と同様にとらえているため、「違法コピー」を実行、幇助した個人は、偽ブランド品製作会社と同じ扱いを受けます。そしてACTAには、通商条約としては異例の、罰則規定が盛り込まれており、違反者は、巨額の罰金や禁固刑に処されます。
「違法コピー」するのはもちろん、著作権のあるデジタルデータにいかなる改変を加えることも違法となり(ファイルネームを変えるだけで違法となりえます)、そうした違法行為を行うサイトにリンクを貼るだけで、たとえ違法サイトと知らずにリンクしたのだとしても、共犯となります。BBSやSNS、サービスプロバイダは、共犯者とならないために、データ検閲の強化を強いられるようになります。
表現の自由とイノベーションを著しく侵害しかねないACTAに対し、「国境なき記者団」は、「著作権保護の名のもとに、ネットにおける表現の自由と情報へのアクセス権を犠牲にしてはならない」と反対を明らかにしています。
Q:なぜそれほど重大な条約があまり話題にならないの?
A:ACTAが通商条約だからです。ACTAの内実は、基本的人権にかかわる重要な問題を含んでおり、本来であれば各国の議会で議論されるべきですが、通商条約であるばかりに、議会をスルーし、密室で協議されてきました。いわばACTAは、裏口から密かに導入されようとしているネット検閲法といえます。たとえACTAの内容に賛成だとしても、非民主的なやり方を認めるべきではありません。
→ACTAに反対する署名サイト
Stop the biggest threat to Internet freedom
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/acta/index.html
each Party's enforcement procedures ... shall be implemented in a manner that avoids the creation of barriers to legitimate activity ... and, consistent with that Party's law, preserves fundamental principles such as freedom of expression, fair process, and privacy.
表現の自由を抑圧したりプライバシーを侵害したり合法的な活動を妨害したりするのはむしろ条約違反になります。
each Party shall provide adequate legal protection and effective legal remedies against any person knowingly performing without authority any of the following acts knowing, or with respect to civil remedies, having reasonable grounds to know, that it will induce, enable, facilitate, or conceal an infringement of any copyright or related rights ...
知らずにうっかり著作権侵害してしまった場合はセーフです。
実際に正規のCD売上がコピー品の売上よりも上回っていたのは、この二国だけだとされているからです。
理由は二つあると思います。
一つは自国でコンテンツを生産していることで、ナショナリズムではないですが、同国民・仲間が作ったものだからと、正当な対価を払ってあげようという考えが働くから。それ以外の国だとどうしても自国のコンテンツの競争力が弱く、外国から来たものだからと倫理観が働きにくくなっているのではないでしょうか?
もう一つは、日本とアメリカが経済的に最も成功しているからだと思います。
金銭的余裕がなければ、仲間の作ったコンテンツでも金を払うことはできませんから、海賊版を買ってしまうということでしょう。
この二つの理由から、著作権を保護したければその国の国民の経済力を向上させ、同時に洪水のようにやってくる他国のコンテンツに負けない文化力(?)を付けるしかないと思います。