たしかにアメリカでは、「食べログ」事件で見られたような明確なやらせクチコミは、2009年以来規制されています。去年の春には、アマゾンでやらせ投稿をしていた企業が摘発されました。
Legacy Learning Settles With FTC Over Phony Online Reviewers
しかし、ステマというものを、文字通り「宣伝であることを隠して宣伝すること」とするなら、それはアメリカで普通に行われています。どうも日本では、このあたりが混同されている気がします。
アメリカはステマ天国です。たとえば映画の宣伝では、さかんにステマが用いられます。古くは1999年の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」。にせのウェブページを立ち上げて、映画がドキュメンタリーであるかのように見せかけて大ヒットしました。
最近では、2009年に公開されたパニックアクション「2012」が手の込んだステマを活用しました。「IHC(人類維持研究所)」という架空の団体を作り、地球滅亡時に「箱舟」に乗る人を募るテレビコマーシャルを流し、それらしいサイトも立ち上げました。
コマーシャルは、注意深く見ていれば映画の宣伝とわかるのですが、CMを身構えて見る人などそうたくさんいるわけもなく、真に受ける人が続出し、映画は世間の注目を集めることに成功しました。
去年公開された「リミットレス」は、さらに巧妙でした。「リミットレス」という映画は、脳を100パーセント活性化する薬を飲んで超人化する男のストーリーです。その映画がどんなステマをしたのかというと、ユーチューブにウソの動画をアップしました。それがこれです。
あらゆる街頭モニタをハックできる送信機を開発したという内容で、開発者本人がNYのタイムズスクエアで、iPhone で撮影した動画を街頭モニタに転送するデモンストレーションをしています。
本当だとすればすごい発明なので、この動画は一気にアクセスを集め、「ありえない」「いやありえる」と、コメント欄で真剣に議論されました。ところがその後投稿された続編の動画で、発明の裏側が明かされます。「この薬を飲んで脳を活性化したら発明できたんだ!」というわけです。
こうしたステマにより、「リミットレス」は、ウソ動画により直接注目を集めただけでなく、ユニークな宣伝をしたということも話題となり、飛躍的に知名度を上げたのでした。
日本では、このようなステマはほとんど行われません。法律の問題もあるのかもしれませんが、こういうステマをしても、消費者の反感を買うばかりで、逆効果だというのが一番の理由ではないかと思います。「2012」のようなコマーシャルを流せば、注目を集めるどころかパニックになるかもしれませんし、「リミットレス」のようなウソ動画を作れば、コメント欄は罵倒で埋め尽くされるに違いありません。
一方アメリカでは、上記のようなステマに対し「うまいことするなー」という賞賛が大勢です。なぜ日米の反応が違うのかというと、情報の接し方に大きな違いがあるからです。アメリカでは、宣伝や情報メディアをプロパガンダととらえて警戒する傾向が、日本より強いように思います。いわば宣伝とはそもそも「騙しのテク」なのだというところからスタートしているので、騙そうとする行為自体には寛容で、クリエイティブな騙し、ウィットに富んだ騙しを賞賛する態度が生まれるわけです。
それに比べて日本は、宣伝や情報メディアを信用するところからスタートします。だから、へたな騙しだろうとうまい騙しだろうと騙しは騙し、許せない、となります。日本的な感覚に従えば、あらゆるステマは消費者を愚弄する悪の行為と見なされるのです。
アメリカでも、ステマを消費者への愚弄と受け取る場合があります。その代表は、2006年にソニーが行ったステマです。プレイステーション・ポータブルの宣伝のために、にせのファンサイトを立ち上げたのですが、ヤラセを暴かれたあげく、ソニーブランドを著しく貶めることになりました。
ヒップホップ好きな若者が立ち上げたサイトという設定で、「ダチが親にクリスマスプレゼントでPSP買ってくれっつってんだけどヨー、親がPSPの魅力をぜんぜんわかってねーわけ。つーこってみんなでヨー、PSPの良さをダチの親にわからせてやろーぜー」という調子で仲間を募り、次のようなPSPを賞賛する「自作ラップ」などをユーチューブにアップしました。
ニセのサイトや動画を使ってステマをする点においては、「2012」や「リミットレス」とそう変わりません。しかし消費者は激怒しました。なぜか?ずさんだからです。とってつけたような若者言葉に、若者というわりにはおっさんにしか見えないPSPラップの演者、そして曲のセンスのなさ。すべてが目も当てられぬほどにダサくて適当だったからです。
ステマという行為それ自体への怒りではありません。「これほどまでに低レベルなステマで人心をつかめると考えているなんて、ソニーが消費者をどう見ているかよくわかった。人を愚弄するにもほどがある!」というわけなのです。
アメリカで「やらせクチコミ」が規制されている理由もそこにあります。やらせクチコミは、ステマだから悪いのではなく、ステマとして外道中の外道と見られているから、そしてそういう共通認識を前提として法運用できるから、禁止されているのです。
だから日本では、やらせクチコミは法規制できません。「許されるステマ」と「許されないステマ」が区別されていない日本では、やらせクチコミを禁止すればあらゆるステマが禁止されることになり、ひいてはあらゆる宣伝を違法とすることにつながりかねないからです。
賞賛にあたいするw
ヲイヲイ、どこまで飛躍してんだよw
宣伝であることを隠して宣伝する→違法
宣伝あることを隠さないで宣伝→合法
十分に区別がつくじゃね〜かアフォ
いつもながら冴えてるよ。
賞賛にあたいするw
アメリカさんは洒落を洒落として受けとってくれると言うことですか。世界の田舎者だったり、粋人だったり、アメリカという国は中々懐が深いです。
けど、あの教育・教養レベルで、ほんとなんですか?
B教養のある日本人とC教養のない日本人、
AとCの声(数)がでかすぎるからヤラセ騒動に発展するのかなと思います。
と言ったら教養を定義しろと絡まれるんですよね・・・。
全文ちゃんと読めよ。読解力ないの?
宣伝であることを隠して宣伝しても、アメリカではやらせ口コミだけが規制の対象で、手法によっては称賛の対象になるっていうのが全文の趣旨だろ。
気づかないほど巧妙なステマなら、好き嫌いは関係ないし。
ひょっとしたら、上手いステマが叩かれたという事例が実際にあるのかもしれないけど、作り手が受け手の反応を勝手に予想して勝手に自粛してるというのが、一番ありがちな真実のような気がする。
「実際に存在しないもの」が伝言ゲームの過程でいつのまにか存在感を強めるというのは、日本社会によく見られること。
「隠しておいてネタばらしする(または自然とネタバレする)ことで話題を集める宣伝」なんだからステルスじゃねえじゃん。
実は宣伝でした、って最初からやるつもりなのが明らかなんだからステマじゃないし、だからこそ叩かれないんであって、今日本で話題になってる「広告であることを隠しきるつもり」でやってるものを同列に扱うのは意味がわからんよ。
これは昨夏のフジデモに絡んで既にネットで広まっていた「テレビのステマ」に対する弾幕だと思いますよ。
朝日新聞がムスタンのやらせをスクープしたり、KYを「空気読めない」で浸透させようとしたように。
ステマは規制出来るだろ。筆者はプロなのにステマを理解できていない。
アメリカの例は一般ユーザーに成り済ましていないし、後でネタばらしするのだから、ステマじゃなくいわゆるドッキリに近いものだろう。
騙す方も騙される方もムカつく
法律で規制してほしい
(CMはステマじゃないでしょ?)
それにしても、ポジティブなステマはまだともかく、自分が高く評価されるために競合を攻撃しまくる逆ステマはやめてほしいもんです。(やられたことあり)
記事を書く前に用語の意味を理解してからのほうがいいですよ
ソニー以外にもステマやってるのにヒドイ!って?
お金を取る前に、嘘(ジョーク)ですよ、と宣言した例を挙げて、アメリカでは宣伝とはそもそも「騙しのテク」などという、デタラメな事を言わないで欲しい。
NGかどうかは、結局、バレた時に騙された側が笑って済ませることの出来る内容かどうかってことでは?
個人的には、ステマは売り手としても買い手としても、非常に迷惑なので、根絶して欲しい。
なんでもかんでも世の中が綺麗に見える素直な子に育てなければいけないのか。
広告が汚いとは全然思いませんが消費者として情報リテラシーの教育を受けていないのはフェアではないです。
道徳なんかやめて代わりにプロパガンダの教育はすべきですね。