2012年02月08日

呪われた国ドイツ

デフォルトの危機に瀕するギリシャに、ドイツは最後通牒を出しました。厳しい緊縮策を呑まなければ、債務軽減と援助はしないという内容で、木曜日にも結論が出るということです。

破綻するにせよ援助するにせよ、浪費家のために損害を被ることになるドイツ人からすればたまりません。しかしどうしたわけか、ギリシャ人はドイツ人に憎悪をたぎらせています。

財務を監視する「総督」を置くことを条件とするドイツの要求を、第二次大戦のギリシャ侵略の再来ととらえ、ドイツ人観光客を冷たくあしらい、メルケル首相をヒトラーに模した風刺画を量産しているのです。

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ドイツ人は、男も女も軍服がよく似合うなーということはおいておいて、ドイツを侵略者と見るのはギリシャだけではありません。やはり破綻の危機に瀕するイタリアも同様です。

客を見殺しにして逃げた沈没船の船長にかけて、危機と向きあおうとしないイタリア人のヘタレぶりを匂わす記事を書いたドイツのシュピーゲル誌に対し、イタリアの新聞は、「なるほどオレたちゃダメ船長だ。だがオメーらはアウシュビッツをやったじゃねーか!オメーらの方がずっと問題なんだよ。昔も今もな!」とブチ切れました

遊び人たちの借金を肩代わりしてやろうというのに、感謝されるどころか逆ギレされるドイツ人の気持ちを思うと、不憫でなりません。しかし、実のところギリシャ人やイタリア人の主張にも一理あります。

ユーロというのは、これまでは月限度額20万円のクレジットカードしか持てなかった人に、限度額500万円の家族カードを与えてしまったような制度です。生まれついての遊び人である南欧諸国は、それでついつい使い込んでしまいました。ーードイツの製品を買うためにです。

ドイツは、浪費癖のある国々にカネを貸して、それでドイツ製品を買わせて、自国の経済をぐるぐるとまわしていたのです。おかげでドイツは、このご時世に失業率がとても低く、税収も史上最高レベルです。いわばユーロはドイツが他国を搾取するためのシステムなわけで、あげくに国家主権まで侵されたら、侵略者とも呼びたくなるというものです。

しかしユーロというシステムは、なにもドイツ人が望んでまわりに押し付けたものではありません。それどころか、強大なドイツの復活を防止するために作られたシステムです。それなのに、なぜかドイツは一人勝ちし、優等民族きどりの危険国呼ばわりされるはめとなってしまったのです。

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この記事へのコメント
欧州を衰退させた二度の大戦の立役者、ホロコーストを企んだ張本人という汚名のために、萎縮したようにまで見える様子で、欧州の善き一員たらんとしていたドイツがまた悪者になってます。
第三帝国の滅亡後はずいぶん赤くなってまで優等生を演じてます。
今でも一番ユーロを守りたがっているのがドイツです。

それで儲かってるんだからまったく同情する気はないですけど(笑)
Posted by 大山田 at 2012年02月08日 18:19
返済能力の怪しい借り手にいい加減な審査で金貸して焦げついた、ってだけの話です。
「大動乱」後のヨーロッパの若い世代は、「なぜ祖父母の世代は、こんなバカなことをしたのか?結果は分かりきってたろうに・・」と頭を悩ますことでしょうw
Posted by 昭和青年 at 2012年02月08日 23:06
ドイツを擁護する気にはとてもなれないよ。
昭和青年さんが書いてるとおり、「返済能力の怪しい借り手にいい加減な審査で金貸して焦げついた」ってことだからね。
それなのに「自分は悪くない」とか信じ込んでるドイツ人気質がキモすぎて寒気がする。「優等民族きどりの危険国」というのはまったくもって正しい言い方だと思う。
Posted by a at 2012年02月09日 08:16
例えば日本円がタイやベトナムを抱き込んだら、円安になって輸出が超伸びるでしょう。
ドイツがやったのも同じこと。記事の内容と合わせてまさに失業の輸出だし
ドイツの主張はまさしく不当だよ。
Posted by マグ at 2012年02月09日 10:09
枝葉末節を削ぎ落とし、冷徹に眺めた時ユーロを救えるのはドイツしかいないのです
ドイツ人の気持ちも、ギリシャ人の気持ちも関係ありません
そこにあるのはひとつのヨーロッパという美しい言葉と一時の宴に酔いしれた後に突きつけられた、経済原理に基づく冷酷な現実です
Posted by ogihiro at 2012年02月09日 13:42
ノーベル経済学賞受賞者 ポール・クルーグマン氏 の、 米国 ニューヨーク・タイムズ紙 での 経済講義 : 2011年 10月7日 : 【 あの悪(わる)どもと、大胆に対決する Confronting the malefactors 】 : 熟練した組織家 にして、 社会運動の歴史家でもある、 Rich Yeselson 氏 は、 アメリカ人労働者たちへの【債務からの救済】を、抗議の中心的な主張にする事を提案している。 私も賛成だ。 こうした債務救済は、経済的な公正にかなっている上に、 経済全体の回復にも、大いに役立つ。 私としては、 抗議者たちは、 【インフラ整備】 ( : 鉄道系やバス路線系などの交通網や、病院や発電所やダムなどといった、社会基盤【 : インフラストラクチャー】を拡充するための投資 ) も、 要求 すべきだ、と思う。 更なる減税とかではなくて、 雇用創出 ( : 社会全体における、一定の所得付きの仕事らの総量を増やすべく、仕事口らや就職口らを創り出す事) に役立つ、 【 インフラ投資 】 ( = 公共事業らの実施 ) を 要求すべきなのだ! 今のアメリカの (そして、日本の) 政治情勢では、 どちらも、議会で、可決されそうにないが、 【ウォール街を占拠した】抗議運動の存在意義は、 まさに、この政治情勢を変えることにこそ、存在する。 ここにこそ、 本当の政治的な好機というべきものがあるのだ。
Posted by ブログ 経済参謀 シャーロック at 2012年02月09日 14:17
個人レベルでの話なら、ナチス何がし悪徳金融とでも罵ることも出来るだろうが、こと国家レベルの話になれば別問題。返済能力無いなら破綻するか戦争でもしかけなさいって話。

現代版ポストロマーナと考えた方がしっくり来ると思うのは私だけでしょうか?
Posted by アキ at 2012年02月10日 00:00
言葉が足りなかったんですけど、ドイツを批判しているわけではないのですよ。
ギリシャをユーロに参加させなかったらさせなかったで、ドイツは罵倒されていたでしょうから。

ただ、欧州大乱のツケ を払わされた世代は、「なんで?なんで?」と果てしない自問自答に陥ることでしょう。
Posted by 昭和青年 at 2012年02月10日 12:56
悪くないもんは悪くないんだよ。そのお人よしな戦後日本人気質がキモすぎるよ。甘すぎる。

あと
ーー
↑これ――と打ち間違えてるよ>oribe
Posted by at 2012年02月10日 19:16
ドイツに対抗するためとか欧州はそんなに狭い視野でEUROを統一したわけじゃないよ。米$機軸通貨の一人勝ちに対抗するためだったのは明らか

イラクは$ではなくEUROで取引きすると宣言し実行した途端に米国に潰されました。その後$に戻っています。あの戦は欧州vs米国でもあり中露vs米国でもあった

機軸$とEUROの攻防戦を突っ込んで知ると始めから$に対抗するためのEU統一だったことが解りますよ。結局EUROは上手く行きませんでしたが
Posted by R34 at 2012年02月24日 14:32
PIIGS死ね。 日本までトバッチリ来てんじゃねーか!! マジカス

PIIGSはEU追放当然だろ。
Posted by   at 2012年03月27日 01:37
これ、日本の教科書に「EU制の裏側」みたいなタイトルで載せて欲しいです。
Posted by lily at 2012年05月29日 04:29
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