2006年10月12日

極東は19世紀末2

現在の極東が19世紀末の情勢に似ていると言えば、朝鮮半島だけでなく、北の元締めである中国もそうです。どこかで読みましたが、世界経済における中国のプレゼンスが今日ほどに大きくなるのは、19世紀末以来だとか。

19世紀後半の中国というと、西欧列強に蹂躙され、腐敗宦官が跋扈する頽廃の極地というイメージがあります。独立心旺盛な幕末の志士から見れば、確かにそれ以外の何ものでもなかったでしょう。しかし西欧人の目から見れば、無尽蔵な労働力と資源、広大な市場を有する中国は、「世界の列強としての尊敬に真に値する、唯一のアジアの大国」でした。社会的な矛盾と汚職を抱えつつ、「中国の時代」が喧伝されている現在の姿と重なります。

こうしたアジア秩序を破壊したのは、朝鮮半島でした。朝鮮の政情不安を契機に起きた日清戦争で中国は完敗し、大国としてのメンツは丸つぶれになり、中国は真に西欧の草刈り場へと没落していくことになるのです。

日清戦争開戦から112年、再び中国は、「属国」の情勢により岐路を迎えています。歴史は繰り返すと言いますが、歴史というものはそのままの形ではなく、その時代の人の想像を超えた、異なる形を取って繰り返されます。その経済力を背景にして、一見強固であるように見える中国共産王朝は、朝鮮半島をめぐる今後の展開で弱体さを露わにし、かつての清王朝同様に、滅亡への道を転がり始めるかもしれません。

清王朝、ロシア帝国と、一世紀前に朝鮮半島に関与した勢力は、その後ことごとく滅びました。日韓合邦により朝鮮問題を解決したかに見えた日本帝国も、結局はその延長線上に続いた中国、ロシアとの抗争により滅亡しました。

今日、朝鮮問題に軍事的に関与する可能性があるのは、一世紀前同様に中国、ロシアと、日本の代役とも言えるアメリカです。

幸いにも自らの軍事的関与を正当な理由で拒否できる日本が、三国のうちいずれかに北を叩かせることに成功すれば、それにより日本の安全は守られ、同時に中露米の三国は、朝鮮半島というブラックホールに飲み込まれていくことになるでしょう。

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この記事へのコメント
英語の苦手な私としては
ネットで様々な情報に触れ、説得力のある話をされるoribeさんを信じたいですし
本当にそうなればいいなと思うのですが。
そんなに上手くいくのでしょうか?
日本にそれら大国から漁夫の利を得るようなことが。

何の根拠もないので言うのも憚られますが
中露米は牽制し合いつつ自分の利益の為には裏で手を組むことも憚らない
駆け引きに長けた国々ですし
それに比べて国民も政治家も脳天気過ぎる日本はババを押しつけられるのではと
現状ではヒヤヒヤしつつ何もできない無力さに打ちひしがれるしかありません。
多くの政治家は朝鮮半島に関わるリスクを感じてないようですし。
ネットではさんざん言われていることの何十分の一かしか
現実には理解されていないようですから
そのリスクから日本が逃れられると楽観視できずにいます。
Posted by ゆみ at 2006年10月12日 19:00
今回のエントリは、oribeさんがお書きになるものとは、何か少し違うような印象がします。

いよいよきな臭くなってきたのでしょうか。
Posted by ぽんた at 2006年10月12日 19:05
>朝鮮半島に関与した勢力は、その後ことごとく滅びました

これって「法則が発動した」ってヤツですね。

今回の件では中国に発動しそうですね
Posted by とんとろ at 2006年10月12日 19:22
いつも楽しんで読ませていただいております。

私もぽんたさんと同じ印象を受けました。

日本にもそれなりにリスクがあると思います。
漁夫の利、ということにはなかなかならないのではないかな、と。
Posted by あせとん at 2006年10月12日 19:25
半島の北も南、そして中国が国際的な流れに乗れてないのは、100年前と同じですね。

そういった意味でも北に本当に戦争する覚悟があるかどうか疑問ですね。

米国に 本土攻撃が成功してアメリカの世論が動けば、旧日本やアフガニスタンのように完膚なきまでに 北朝鮮を叩き潰すでしょうから…
Posted by page at 2006年10月12日 19:32
彼等の顔を見てはならない。
彼等の言葉を聞いてはならない。
彼等に触れてはならない。
彼等に機会を与えてはならない。
彼等を家に招いてはならない。
彼等の家に招かれてもならない。
彼等に何も与えてはならない。
彼等から如何なるものをもを得てはならない。
彼等を害してはならない。
彼等から害されてもならない。
彼等と関わるすべてのことを禁ずる。

呪 わ れ し 者  朝 鮮 人 !
Posted by 小野まさ at 2006年10月12日 19:51
私も違和感を感じましたね。今回のエントリはなんか変です。
Posted by とほりすがり at 2006年10月12日 20:09
今回のコメントに賛同します。
このままで進むと北朝鮮は
中国に飲み込まれると考えます。

国連安保理で中国が軍事行動に道を開く
制裁決議案に反対しているようですが、
この先、北が新たな核実験を行えば、
中国は軍事行動ができる制裁決議に賛成せざるを得なくなります。
ですが実はそれが中国の一番の目的ではないでしょうか。
国連軍として北に乗り込むことができる
錦の御旗を手に入れることができるからです。

北を飲み込んだ共産中国はしかし、
国内問題を解決できずに更なる膨張を求めて、
台湾に手を伸ばすと思います。
そこに至って、爆発した国内問題が共産中国を崩壊に導くでしょう。
Posted by 鏡に映りし者 at 2006年10月12日 20:37
エントリがいつになく断定調というか、寓話的な叙事詩的な筆運びで面白いですな。

>三国のうちいずれかに北を叩かせることに成功すれば、それにより日本の安全は守られ

このへんは首肯しかねますが、いずれにせよ選択肢はそれしかないですからね。。
Posted by qp at 2006年10月12日 21:14
>幸いにも自らの軍事的関与を正当な理由で拒否できる日本
これが半島への進出のと吉と出るか凶と出るか、それこそ来世紀にならないと。
Posted by at 2006年10月12日 21:28
>>幸いにも自らの軍事的関与を正当な理由で拒否できる日本
この軍事的プレゼンスの不在が吉と出るか凶と出るか‥。
「軍事的関与」が米中露に伍する半島への進出という意味合いだけなら、その通りだと思いますが。
Posted by コカ at 2006年10月12日 21:41
日本と関わる主な部分のみですが、

[古代]
白村江の戦い > 新羅vs百済
互いの争いに外国勢力を利用しようとする。
実質的に日本vs唐王朝、敗れた日本は九州の大宰府に防人を配置せざるを得なくなり、多大な負担に。

[中世]
元寇 > モンゴル&高麗連合軍vs日本
モンゴルの収奪から矛先をそらす為、高麗が日本侵攻をモンゴルに提案。
敗れたモンゴルは、この戦いをきっかけに衰退していく。
当時の文献を解説した本を読むと、実際にモンゴル側が日本の反撃に備えた事がわかる。
鎌倉幕府は検討したものの、反撃しない事に決定。

文禄、慶長の役 > 日本vs明王朝
腐敗していた李氏朝鮮は味方の李舜臣将軍を信用しないなど無力であり、日本軍の侵攻にスキを与える。
明王朝はかろうじて日本軍の進撃を食い止めるも多大な負担で国力低下、衰退に向かう。

[近代]
日清戦争 > 日本vs清王朝
腐敗が頂点に達した李氏朝鮮は、国内の反乱鎮圧に外国勢力を利用しようとする。
日本軍と清軍が、朝鮮半島における主導権を争う。
敗退した清軍は列強のエサに。

日露戦争 > 日本vsロシア帝国
大韓帝国は清からの独立に貢献した日本を裏切りロシアに近づいた結果、南下のチャンスを与えてしまう。
国防上の危機を感じた日本はロシア撃退に成功、
共産主義者に後方を脅かされたロマノフ王朝は滅亡。

ざっとこんな感じです。
実際には日本と関わらない部分の歴史も似たような物です。。。
詳しい解説は別投稿で。
Posted by Alack at 2006年10月12日 21:53
今昔の朝鮮の変節漢ぶりを、中華帝国版図内の異民族の反乱と考えれば、中国が延々繰りかえしてきた王朝交代の歴史に合致しますね。
そろそろ法輪功あたりの乱が起きて易姓革命?
同時代の隣国人じゃなければワクテカなんだが、、
Posted by taco at 2006年10月12日 22:26
先程の私の投稿を読めばわかると思いますが、
朝鮮は典型的な「大国に挟まれた小国」なんだと思います。
顔色を伺い、大国の力に依存する姿は、麻薬中毒のようです。
自分は努力せず、他人にやらせようと画策する文化背景を持ってるんだと思います。

「両班(貴族)はキセル(タバコを吸う道具)ですら、自分で持つことをせず、徹底して何もしないのが習わしであった。」
なんて話も聞きます。

利用された大国は昔から痛い目にあってます。
でも、時間が経つと忘れるのか繰り返す。

アメリカにババ引かせるのは止めましょう、仮にも同盟国です。
アメリカが北朝鮮の軍事解決に乗り出すなら、日本も当事者としてサポートし、ダメージを分け合うべきです。

ただし今まで非協力的だった中ロ韓には、戦後の復興や難民問題でババ引いてもらいましょう。
そっちの方が痛いはずです。
Posted by Alack at 2006年10月12日 22:28
どういったらよいか迷いながら書いています。

記事を読ませていただいている分で申し訳ないのです
が、最近妙な力が入っていらっしゃるように思います。
元気になる記事を昔みたいに読みたいなぁ。
Posted by やま at 2006年10月12日 22:50
アメリカがババを引く決心がつかず、NPT条約における非核兵器保有国の保護義務を放棄すると想定します。
その場合、日本は通常兵器による単独軍事解決か、核武装による対峙というババを選ばなければなりません。
あるいは両方かも。
もし単独解決せざるを得なくなったら、アメリカの裏切りを激しく非難しましょう。
日米同盟が終わるかもしれませんね、単独で安全保障できるなら意味無いし。

朝鮮半島や中国の要求を無制限に受け入れ、平和を保つという選択肢はありません。
「奴隷の平和」なんぞ真っ平です。
耐え難い犠牲を伴うでしょうが、仕方ありません。
Posted by Alack at 2006年10月12日 23:08
>やまさん

そりゃ仕方が無いですよ、非常時だもの。
その話題にどうしたって集中します。
周り中から軍靴の足音が聞こえてくるのに、のほほんとしてられませんよ。

ずいぶん昔に中東で、ドンパチやってるなか観光に現れた日本人アベックが話題になったっけ。
呆れるの通り越して哀れに感じたのを覚えています。
Posted by Alack at 2006年10月12日 23:15
>やまさん

音楽でも聴いたらどうです?
当分は物騒な話題が続くと思いますよ、どこの掲示板も。
確かに神経すり減ります。
Posted by Alack at 2006年10月12日 23:22
>やまさん

ここはどうです?
ttp://pws.prserv.net/metha/home.htm

既に知っていたらごめんなさい。
外国の面白い話題がありますよ。
私のお気に入りです。

Posted by Alack at 2006年10月12日 23:33
>幸いにも自らの軍事的関与を正当な理由で拒否できる日本が、・・・

問題は、その「正当な理由」なるものが、そろそろ賞味期限切れに近づいていることではないでしょうか?

確かに、大東亜戦争で日本を敗った結果、日本が果たしていた役割をアメリカが肩代わりしなければならなくなったことは、ジョージ F ケナンなども指摘するように、アメリカ自身も理解しているでしょう。
しかし、それから60年、アメリカは基本的に自国の国益のためとはいえ、その役割を充分に果たしてきたといえるのではないでしょうか(その結果、日本は自らの手を汚さずに平和を享受してきました)。

不幸なことに、朝鮮半島問題と台湾問題は、日本固有の安全保障問題です。
そろそろ他人(アメリカ)任せにするだけでは済まない状況になってきているように思います。

もっとも、そのことは必然的に戦前の歴史の見直しも伴なうでしょう。
なぜなら、外交的・軍事的手法は別にしても、日本は再び戦前と同じ目的の政策を取らざるを得なくなるからです。(戦前の日本の行動には侵略的と非難されてもやむを得ない点が多々ありましたが、本質的に自衛の目的に重点があった点は見直されるべきでしょう。そうでなければ、現在の日本国民を説得することも困難になります。)
この点は、とくにアメリカとの間での認識の擦り合わせが重要になってくると思います。
Posted by MM3 at 2006年10月12日 23:56
いくつか前のスレッド、日本を見る外国人たちの目
http://meinesache.seesaa.net/article/24533758.html
の中でアメリカ人ジェフさんが、「世界の警察である事に疲れた」って言ってましたね。

アメリカの力も無限じゃないです。
WW2直後に世界の半分を占めた国力も、他国の復興や発展で差が無くなってきました。
さしものアメリカ人も、天の重さに耐えかねる時が近いのかもしれません。

ギリシャ神話に出てくる、天を支える義務を背負った巨人アトラスみたいです。
たしか、小さなヘラクレスに重荷を押付けようとして失敗したんですっけ。
ヘラクレス >> 日本?(汗)

アメリカとの間の認識の擦り合わせにしても、国内の理解を得るにしても、やっぱり最大の敵は外国や教条主義的左派、現実無視リベラルのプロパガンダとロビー活動だと思います、きついなきっと。
Posted by Alack at 2006年10月13日 00:35
どうも今回も日本は関与せざるを得ないような気がします。核というのは厄介ですね。ただの南北の軍事衝突なら無視できるのですが...
Posted by gen at 2006年10月13日 00:44
サンクスです。見てみます。

麻生さんがいうところの日本の底力ってのを私の
知らない視点から紹介してくださっていたので、
そればかり楽しみにしていたようです。
確かに今は日本が岐路に立っていると思います。
乗り越えた後、また紹介をお願いしますね。
Posted by やま at 2006年10月13日 00:46
この場合、巨視的な見方で歴史を俯瞰するのは正しいアプローチだと
思いますが、エントリー・コメント欄含め、事あらばどうにも活き活きと
雄弁に天下国家を論じて飽くことがない男性の面目躍如といった感じですね。
日本はヘラクレスというより、シジフォス的だと思います。
Posted by nanasi at 2006年10月13日 01:14
>まつさん
ここもたいそう面白いですよ。
http://armenia.hp.infoseek.co.jp/
Posted by at 2006年10月13日 01:48
う〜ん、正に法則恐るべし・・・・

でもよくよく考えてみれば、清もロマノフ王朝も滅びましたが、我が国は満身創痍(物理的にだけで無く)ながらも辛うじて生き残ったわけでありまして・・・・

もしかしたら我が国は本当に神様に愛されているのかも・・・なんてふと思ってしまいました。

ところで「スラブ研究センター」なんてものがあるんですね、恥かしながら知りませんでした。
北大ですか・・・やっぱり土地柄?
Posted by k.c at 2006年10月13日 01:50
>nanasiさん

いや実は、ここ数日は特にワザと多く投稿してるんですよ。
北朝鮮の動きが急なので、現実を直視しない人がきっとワラワラ沸いてくると思ってね。
どこまで理詰めで受け答えできるか、どこまで食い下がられるかやってみようと思いまして。

迷惑だったらごめんなさい。m(_ _)m
Posted by Alack at 2006年10月13日 02:09
国内のロシア研究では有名なところですね。>北大スラブ研
土地柄といえば、沿海部の道産子はごくナチュラルに「ロスケに車盗まれた」とか言ってます。
Posted by 石 at 2006年10月13日 02:12
ここ最近のエントリーは、まるで中の人が変わってしまったかのような違和感を覚えるのですが、
何か心境の変化でもあったのでしょうか・・・。
Posted by dt at 2006年10月13日 02:27
ドイツ関連は静かですからドイツのエントリーがないのも当然です。ドイツ選挙も行われたばかりです。
日本も核攻撃に対抗できる装備が必要です。核より強力なものがあればそれでいいですし、無ければ出来ることをするまでです。
Posted by anion at 2006年10月13日 03:18
ここ最近のエントリで、明らかな誤読や言葉尻を捕えただけの反応が
多々あったことから、繊細なレトリックを避けてストレートに書くことに
したんでしょうか?
これまでかなり意識的・戦略的に文体を構築しておられたようなので、
勝手な憶測を。
単にきな臭い時事ネタは直球勝負ってことかもしれませんが。
Posted by 96 at 2006年10月13日 03:45
朝鮮民族がいかに自主独立性のない寄生民族であるかは今日のあの状況、在日の姿を見ればよく分かりますが、彼らはいつになったら現実を直視し、妄想から脱却する、真の国際人になれるのでしょうかw
Posted by   at 2006年10月13日 05:48
>>幸いにも自らの軍事的関与を正当な理由で拒否できる日本

一世紀前に欧米が作ったルールに基づく「正当な理由」で大陸に進出した日本は、それにも関わらず「不当な侵略」として非難されました。
湾岸戦争で「正当な理由」で人を出さずに金だけ出した日本は「Too late, too little」と非難されました。
しょせん、正当か否かは「大国」のお気に召すか否かで判断されるものではないでしょうか。
それを考えれば、例え今回日本が「正当な理由」で軍事的関与を拒否し続けたとしても、それが「正当な理由」とみなされるかどうか疑問です。
Posted by ウリ♪ at 2006年10月13日 08:50
エントリーを読んで、今の世界はタイトロープのようかと感じます。
北朝鮮の問題も、石油で盛り返したロシア、張子の虎の中国、支離滅裂な韓国、そして今ある日本に
米国の影響と微妙なバランスにあると。

今回のケースは太平洋戦争より朝鮮戦争の方がパターンに近いのではないでしょうか。
現状で軍事行動があれば、朝鮮戦争のように日本が安全である事は難しいかと思われます。

歴史は繰り返す・・・何となく頭を過ぎりましたが、そうならない事を願います。
Posted by R at 2006年10月13日 09:43
国連軍として人民解放軍に北へ駐留してもらう。

北の国民(難民)を上手にコントロールできる国は中国を除いてないと思います。
そのまま中国に併合するのもありでしょう。
六カ国協議の当事国中、韓国以外は全く困らない結構いい手だと思うんですが。
Posted by Remote at 2006年10月13日 11:04
いい加減、金だけ出して惰眠をむさぼろうとするジャップのために血を流すのはごめんだ。

・・・と言われかねない。
Posted by ヤンキー at 2006年10月13日 12:43
たった今、在日朝鮮人が国内でテロをやらかすかもしれん
この時期にきな臭い話から逃げててどーするん?

・・・と、コメント欄を読んだお母さんは思いました。
Posted by おっかあ at 2006年10月14日 06:27
独立国は、国土の保全、経済の発展、国防の増強、国際的発言力の強化を目指す。
山賊は、自己保身、富の強奪、力による他勢力の牽制を目的とする。

北朝鮮が独立国であれば、日本外交が弱気なうちに交渉の場に引きずり出して物資を引き出し、市場を開放して「漢江の奇跡」を再現すればよいわけです。別に民主化せずとも、「改革解放」に倣えば、日韓中に挟まれた立地条件で少なくとも今よりは発展するはずでしょう。国力に合わせた軍備増強をすれば、少なくとも今よりはましな軍備を整えられたでしょう。
ではなぜ国力増強よりも無理に軍備を増強してきたのか。市場を開放せず駄々こねによって物資を引き出すことに終始するのか。国際的発言力よりも軍事的圧力を重視するのか。朝鮮半島統一路線をなぜいまだに継続するのか。それは目的が国体の維持ではなく、権力の維持だからではないでしょうか。つまり、山賊。
そう考えるといろんな事に説明がつきます。北朝鮮は、朝鮮半島の統一を阻むアメリカ、日本という絶対的な敵を作ることで郎党をまとめ、中国やソ連という宿木に寄生することで権力を維持してきましたが、ソ連の崩壊と共に物資は底をつき、縄張りからの搾取も難しいので、ドスを利かせて他国から物資を脅し取ろうとした。中国の不興を買っても内部の荒くれどもの手前軍備増強をやめるわけにも行かないし、軍事行動は常に継続しなければならない。
だとすれば北朝鮮の行動の目的は朝鮮半島の統一ではありません。権力者の保身ということになります。するここうなります。

・北朝鮮の行動の表向きの目的は全て朝鮮半島の統一である。(有効であるか、あるいは可能であるかどうかはこの際問題にならない)この名目は、国内における権力を維持するために必要な措置である。
・核武装は、軍事力によって国内的権力基盤を確保した上で、その体制を国際的に認めさせる(手出しできなくさせる)ために有効である。
・これらの政策は中国の後ろ盾があって初めて成立するものであるが(山賊は自分の足で立つことは出来ない)、核を持つことによって中国のオプションとしての価値を高めることができる。(国の維持が目的ではないので)
・全ての軍事力は自己保身のための道具であり、国家としての北朝鮮のために使われるとは限らない。
 
米軍の朝鮮半島における影響力が弱まった時点で北朝鮮が日本に核ミサイルを発射。その後国内の軍事クーデター勃発という名目で幹部らは中国に亡命し、中国は正統な名目を得て朝鮮半島を制圧、傀儡政権の樹立と人民軍の駐留。後に残ったのは被弾した日本と混乱した東アジア。
これは私が以前から懸念している最悪のシナリオなのですが、これには条件があって、つまり中国が台湾を組み入れシーレーンを確保した後でないと成立しないだろうということでした。アメリカの影響力を拭えないからです。しかし最近の情勢をみると、そんなことも言ってられないような気がします。
Posted by chivas at 2006年10月14日 23:57


一方、中国の目的は、東アジアにおけるアメリカの影響力を払拭し、「失地」を「回復」して東アジアにおける覇権を握ることです。今のところは国際社会との協調を謳いその間に刺激を与えないよう注意しながら軍備を増強、経済力と軍事力がアメリカに匹敵する規模となった時点で台湾を侵略しシーレーンを確保、アメリカの関与を徹底的に牽制しつつ、もしアメリカが邪魔をするなら核戦争という態度で東アジアの主導権を握る。しかる後に朝鮮半島を制圧し、日本を封じ込めて従わせれば、後は侵略も干渉も思いのまま、という戦略であろうと認識しています。もちろんこの通りに進むとは私は考えていませんが、彼らの「つもり」は多分こうだと思います。
北朝鮮が核実験を断行→核保有することは、中国にとってもまずいことだ、というのは一致した見解ですし、私もそう思います。しかし何がまずいのか、を具体的に考えたとき、それは外交的に肩身が狭くなるとか、威信と大儀の問題だとか、その程度のものでしかないのではないか、と考えもします。北朝鮮が核保有国になることで、彼らが中国に対して物申せるようになるとは考えにくいからです。なぜなら中国は彼らにとっての宿木であり、中国の後ろ盾がなければ自分の足で立つことなど不可能だからです。中国はそのことをよく知っていますし、万が一実際に打ち込まれればそれを口実に各所で戦端を開いていくくらいの事はするでしょう。北朝鮮が核武装するということは、一方で中国にとってのオプションとしての価値が上がるという見方も出来るのではないでしょうか。

アメリカの基本的なスタンスについて考えるとき、私は、「北朝鮮は一切の利害関係に絡まない」という事実を前提に置く事を心がけています。アメリカにとって北朝鮮に軍事行動を起こすということには、一切のメリットがないのです。また、アメリカの東アジアにおける基本政策は昔から「日本を軍事的独立国にさせない」ことです。これは民主党・共和党を問いません。アメリカにとって一番怖いのは、やはり日本なのだ、と考えて置くべきだと思います。この意識を中国に向けさせなければならない。そうでなければ、「東アジアの覇権をある程度中国に任せるよう方向を決め、当地の米軍を縮小する」という方向に進むこともありえると思います。だからこそ中国は、アメリカの世論に直接訴えかけるようなパフォーマンスを行い、工作員による日本バッシングの誘導を行っているのではないでしょうか。北朝鮮が核武装することでアメリカが危惧するのは、むしろこれによって日本に核武装の可能性が生まれることではないでしょうか。ですから、日本の核武装推進論にはにわかに賛同しかねているわけです。

以上の様な理由で、今回の核実験でアメリカ軍が動くことはない、と私は考えています。中国は出来る限り米軍の介入を避けるように動くでしょうし、アメリカにもメリットがないからです。そして、山賊に対する経済制裁など、どれほど厳しくしたところで実質的な効力はないと思います。もちろん、他国に叩かせて漁夫の利を得る、という戦略に異論はありませんが、それは中国主導であってはなりません。そしてアメリカに軍を出させることは、予想以上に難しいのではないでしょうか。

と私はこのように考えておりますが、できれば諸氏のご意見を伺いたいと思っています。どうでしょう。
Posted by chivas at 2006年10月14日 23:58
> chivas さん

おおむね賛成ですが、一部に反対です。

まず人の事を言えないのですが、もう少し要点をまとめて下さい。
ガチガチに理論武装してると思いますが、言葉尻を捕らえて文句言われる事は少ないです、この掲示板。
そういう奴がきたら、皆で反論しましょう。

アメリカの基本的スタンスに関する話は、アメリカ民主党内のリベラル左派がやりそうな事に読めました。
今は共和党政権です、だから言いすぎだと思います。
民主党でも右派は違うでしょう。

それでもアメリカ軍に出てもらうのは、予想以上に難しい事は同意します。
理由はどうあれ、アメリカ兵の命を危険にさらすし、今イラクに展開中だし。
確率としては5割位では?

最後に、想定だけでなく対策に関して、
あなたの意見を聞きたかったです。
Posted by Alack at 2006年10月15日 14:18
>Alackさん

要点がまとまってないというご指摘には、言葉もありません・・;気をつけてるつもりなんですが、いや、すみません。。

アメリカのスタンスに関しては、どうでしょうか。色々資料を提示することはできますが・・そういうことよりも・・。まず前提として、今後長いスパンで考えた時、アメリカ経済の衰退と軍備の縮小、アジアの市場価値の上昇は既定路線だと考えています。(もちろん、近く米ドルが元に基軸通貨の地位を明け渡す、なんて事を言ってるわけではありませんが。)既にアメリカはこの情勢に対応し、各地域をある程度それぞれの国の軍隊に任せるというようなフォーメーションにシフトしていってます。(もちろん米軍再編は、冷戦型フォーメーションから21世紀型フォーメーションへのシフトという側面があることは承知していますが、経済的な要因があるのも事実でしょう)民主主義の同盟国としてアジア地域を任せるのなら、アメリカにとってそれは間違いなく日本でしょうが、ではアメリカは日本を軍事的独立国として認めていくようなことをするでしょうか。それは少し楽観的に過ぎるのではないかと考えています。一方で中国脅威論が高まるような傾向は、今のところアメリカには感じられません。日本としてはもう少し危機感を持って、この情報戦に力を注ぎ、中国に対する注意を喚起すべきだと考えます。

また、目下の北朝鮮問題への対応という視点で考えた時、現に日本は軍事的独立性を有していないのですから、アメリカが利害の絡まない北朝鮮問題に対して「基本的に中国に委ねよう」と考えたとしてもそれほど不思議はないのではないでしょうか。とりあえず日本の立場としては、北朝鮮が中国の飛び道具として機能する前に、国連軍の介入を誘導しなければなりません。米軍の介入を促すために何らかのカードを切ることも視野に入れるべきでしょう。(例えばアザデガン油田)またそのために必要な措置は、中国が北朝鮮を擁護できない状況を維持し続けること、つまり、中国に対する態度の追求を怠らないことが重要と考えます。
少なくとも、北朝鮮に対して軍備の増強や核武装にはほとんど意味がないと思います。もしそれをやるなら、もっと長期的展望に立って、つまり対中国を想定して行うべきです。
Posted by chivas at 2006年10月15日 19:10
> chivs さん

句読点の後に、適当に改行入れると良いと思いますよ。
偉そうな事いってすみません。

アメリカの東アジアにおける負担を、日本が一部肩代わりする場合、日本単独で安全保障を行う必要は無いと思います。
同盟国のアメリカに協力を要請しつつ行われるべきだと思います。
日本が核武装した後に、核兵器の維持管理をアメリカに協力してもらうとか、弱点を押さえられてもかまわない。
陸上自衛隊は数少なすぎるし、米軍の支援がないと辛いと思う。

アメリカにとって競争相手が日本であり、中国ではないのは分かりきった事です。
日本が昔のように独自安全保障に向かうなら、あなたの言う通りですが、そうならないでしょう。

北朝鮮問題を中国にゆだねる可能性があるとしたら、中国が北朝鮮に侵攻する場合だけです。
北朝鮮の核を放置するならNPTが崩壊しますから、他のカタチではあり得ないと思っています。

北朝鮮は時間が経てば、核付弾道ミサイルを手にするでしょう。
制裁される恐れを無視して、核実験を行ったと発表した国です。
あの国の行動にタブーなどありません。
手にしたら脅しに使うと考える必要があります。
当然、日本の軍拡が必要です。
安部政権は増強に取り組むと思いますよ。
Posted by Alack at 2006年10月15日 20:38
>Alackさん

少し整理します。
東アジア情勢の分析と、日本の採るべき道筋について、
A、長期的展望に立ち、東アジア全体を視野に入れた対応。
B、目下北朝鮮の核開発問題に対する対応。
上の二つにまず分けます。
当然二つは密接に関係してくるので、切り離した議論は出来ないと思いますが、話はしやすくなるかと。

まずアメリカの動向予測について。

A・この場合、十年単位でアメリカの政権交代も視野に入れる必要があるでしょう。アメリカは駐留軍を縮小しつつ、東アジアにおける影響力を確保するよう画策すると思います。その肩代わりの相手が日本だとすれば、ご指摘の通り、安保体制を維持したまま、同盟各国の協力の下に安全保障のシステムが構築されるでしょう。
が、仮に中国の国力伸張がIMFの予測どおりに進む(とは私は考えていませんが)とすれば、肩代わりの相手国が中国になる事だってありうるということです。私はそれを懸念しています。考えすぎでしょうか?この場合中国は東アジアの覇権を目的としていますので、アメリカの意図する体勢にはなりえないでしょうが、今のところアメリカにその危機感は感じられません。しかしまあ、これはまた別の議論です。

B・アメリカにとって北朝鮮への派兵には何のメリットもありません。必要性があるとすれば、ご指摘の通りNPTに絡む問題だけでしょう。しかしアメリカにしてみれば中露に配慮する名目で先延ばし、日本の核武装論には外圧で牽制、あるいは中国主導の派兵という選択肢もあり得るのではないでしょうか。実際、中国の傀儡政権を置いて大人しくなってくれた方が都合がいい、と思っている節もあります。その場合中国の危険性を考えなければなりませんが、アメリカにとって怖いのはやはり中国より日本なのだと思いますし。

軍拡について

A・日本の軍拡は急務です。要はそのやり方なので、単純に数を増やせばいいという問題ではないかもしれませんが、予算を増やす必要はあるでしょう。今回の北朝鮮問題をダシに使ってもいいから、軍拡は進めるべきでしょうし、確かに安倍政権はそれを実行すると思います。
核保有についても、実際保有するかどうかは別としても、その準備は進めるべきでしょう。核武装をシステムとして完成させるには、最低15年から20年が必要だと言われていますから、今からでも遅いくらいです。実際進めているのかもしれません。

B・北朝鮮にとって、日本の軍拡、あるいは軍拡の決定にさしたる意味はありません。北朝鮮が日本に成しうる攻撃は、核ミサイル攻撃かテロ以外にないし、彼らは日本一国の軍事力を相手にしているわけではないからです。強いて言えば、空母を至急配備し、いつでもF−2を平壌上空に飛ばすことが出来るようにすることくらいでしょうか。
仮に北朝鮮から「経済制裁を解除しなければ、今から48時間以内に東京に核ミサイル攻撃を行う」というブラックメールを送りつけらたと想定します。この場合必要なのは、核を打たれた場合の報復攻撃、あるいは打たれる前の先制攻撃を可能とするように法整備を行うことです。

私が懸念しているのは、初めに書いたように、中国が北朝鮮の核を飛び道具として利用することです。
以前なら、これは中国が本格的にアメリカと事を構えるような状況下、要するに台湾制圧後にしか考えられないと思っていたのですが、最近の状況を見るとそうも言ってられないと。
ただし、今回の件でこの懸念を現実のものとするにはいくつかの条件が必要です。

1・北朝鮮が小型化を完成させるまでこの後も核実験を続け、それに対して国連軍が介入しないこと。
2・中国が北朝鮮擁護の立場を貫くこと(北朝鮮の軍事クーデターの際、北朝鮮首脳の中国亡命を容認させうる態度を守ること)
3・中国主導による北朝鮮派兵が行われること。

1の期間にもよりますが、アメリカが「ある程度中国に任せる」ということは、上の三つの条件が揃うということです。そして、最初の核実験である今回の核実験では、アメリカは恐らく動かないだろうと予測しています。
以上のような考察を基に、日本が採るべき対策は、中国に対する追求と、アメリカの誘導だと考えています。

とまあこのような状況は我ながら「考えすぎかな」と思わなくもないのです。
ですから、こちらの皆さんがどう受け取られるか聞いてみたかった、というのが本意です。
少しは整理されたでしょうか。
分かりにくいですね;すみません。
Posted by chivas at 2006年10月16日 00:08
> chivas さん

アメリカの動向予測について。

>> A
アメリカ民主党の政権なら、確かに中国が戦略パートナーに選ばれる可能性に同意します。
人権無視の国家がどこまでやれるか、お手並み拝見ではあります。
中国は常任理事国だし、大義名分は十分ですね。

>> B
日本に外圧をかけて放置なら、ヤバイ事になります。
日米同盟に危機が訪れ、北朝鮮の脅しにさらされ続ければ、孤立覚悟で核武装論が主張されると思います。
日本の領土が灰になるよりマシだしね。
中国主導の派兵は、確かにあり得ると思います。
それで北朝鮮の核が除去されるなら、日本は文句ないですね、韓国にとっては悲劇ですが自業自得。

軍拡について

>> A
宣伝したくないけど、
日本の民生品には応用できそうな物が結構ありますね、すでに。

>> B
怖いのは、日本側の即応体制が無い事だと思います。
北朝鮮の核から防御していられる貴重な時間を使って、迅速に無力化する手段が必要です。
核付き弾道ミサイルが最も、即応性が高いと思います。
通常兵器の空爆だけだとキツイかもしれません。
米軍は湾岸戦争で、スカッドの移動式発射台に苦戦しました。
地上軍だと手遅れになるかも、やらんよりマシだけど。

傀儡化された北朝鮮の核兵器が、中国による先制核攻撃に利用され得るという意見は、私も知っています。
北朝鮮が打った後に中国がしらばっくれれば、1度だけ報復なしで核攻撃できるって説ですよね。
中国にある程度まかせるといっても、核査察は受けてもらわないと。
当然それは主張する必要があります、北朝鮮の核を温存したまま「人民を開放」じゃ意味ありません。

いいえ、ちっとも考えすぎではないと思います。
予想できるシナリオの1つだと思いますよ。

理由がどうだろうと、北朝鮮の核兵器が放置されたなら、日本はWW2レベルの大戦争を覚悟しないと。
今から国民の間で、議論して整理しておくのは重要だと思います。
Posted by Alack at 2006年10月16日 04:19
>>この時期にきな臭い話から逃げててどーするん?

皆さんの言ってる違和感は、話題の是非というより、それを取り扱う手つきについてですよね。
ここhttp://scott.seesaa.net/article/18247772.htmlに書かれてるようなことかな?と思ったんですけど。

本筋とは離れますが、母親なんてちょっとお花畑なくらいでいいんじゃないかな。
Posted by 0 at 2006年10月17日 05:12
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