文化庁メディア芸術祭実行委員会が、「日本のメディア芸術百選」をネットアンケートで選んだところ、マンガ部門の1位が「スラムダンク」で、2位が「ジョジョの奇妙な冒険」で、3位が「ドラゴンボール」だったそうで、呉さんはその結果に大衆の愚かさを見て、大衆が舵を握る民主主義の限界を嘆いています。
読んでいて軽いめまいがしました。というのもこれ、100年前のインテリがしていた議論そのものです。一体我々はこの100年間に何を学んだのか、100年前と同じ議論をする人が堂々と「評論家」の看板を掲げているとはどういうことなのか、ほんとに悲しくなります。
100年前のインテリたちは、当時の欧米で時代を謳歌していたアングロサクソン型デモクラシーの低劣さに飽き飽きし、より正しく、より美しく、より効率的な社会を模索して、その挙げ句に共産主義とファシズムという全体主義に突き進んで行きました。まあ当時は、全体主義を実際に試したことがなかったわけですから、幻想を抱く気持も分からないではありません。しかし、その誤謬を嫌というほど見せつけられた20世紀を経て、まだこんなことを主張する「評論家」がいるとは・・・。
確かに「スラムダンク」が日本のマンガを代表する名作かどうかは疑問です。しかし呉さんの言うように、「専門家の見識は一般人より確実だ。大衆芸術を衆愚芸術にしないよう、文化庁は一考すべきだろう」というわけで、もし50年前から「専門家」の先導で大衆の悪趣味を排斥していたとしたら、そもそも今日においてマンガが大衆芸術に数えられることはなかったはずです。
私はここに全体主義の「本質的不可能性」を見る。
呉さんは勘違いしているようですが、民主主義というのは、正義とか美とかを追求するシステムではありません。多様な考えを持つ個々人が、多様性を保持したまま共存するための制度に過ぎないのです。
もし自分の考える正義と美を訴えたかったら、言葉と行動で好きなだけ主張すればいいだけのこと。民主主義という制度それ自体は、どう読み解いた所で正義も美も示してくれない、何も書かれていない本みたいなものなのです。
大衆芸術とは娯楽です。美を追求する行為ではありません。美の追求は美術家に任せればいいのです。大衆芸術とは突き詰めれば暇つぶしであり、気分転換のためのつなぎに過ぎません。それそのものにいかなる崇高な目的も存在しないのです。それを勘違いしている人が未だにいるんですね。ハリウッドの映画なんかも同様です。ハリウッドの映画を見て「芸術性がない」などと嘆くのは大衆芸術の目的を見誤っている勘違い野郎ですということを公言しているに等しい行為なんですけど、それに気がつかない人が多数います。
コロッセオの時代から、いやそれ以前から大衆芸術・娯楽の中心はエログロナンセンスであり、これからもそうであり続けるでしょう。
さしずめ呉氏は通好みの『自虐の詩』あたりを、ありがたく押し戴けということなんでしょうか。
個人的にホームランでした。
どこかの月刊誌に、団塊の世代擁護論を書いていたのを読んだときにも感じましたが、この権威主義的な“文人趣味”は、この世代の特徴なんでしょうかねぇ。。。
この手のアンケートは得てしてただの認知度調査になってしまうものです。ランキング上位は誰もが知っている有名なものになるのが基本です。これは大衆の無知とは関係ないといえます。
また、コラムでは「一九八〇年代以降のものに限られており、この半世紀を代表するベストストーリーとは言いがたい」などと文句を言ってますが、ネットができて、この手のアンケートに積極的に答える世代が80年代にこれらの作品をよく見ていたのだから仕方ありませんよね。
「なにも書かれてない本」というよりは
「いろんなことを書きすぎて何やらわけのわからん寄せ書き」みたいなものかと思います。
美しい台詞からラクガキまで書き込まれた寄せ書き。
そんな野蛮で野性的な民主主義が好きです。
JOJOもドラゴンボールもいい作品だけど、呉氏は読んだこともないんでしょうね。
4位の鋼の錬金術師は本当に凄い漫画ですが。食わず嫌いしてる人はとりあえず読むことを勧めておきます。(<今ごろはまった奴)
問題は、一個人である評論家やらコメンテイターとやらを無批判の対象、アンタチャブルにしている現状が問題でしょう。
かつてのアンタッチャブル、朝日・岩波文化人に小林よしのりと共に異を唱えた功績は評価すべきですが、自らの批評が批評に晒される事も甘んじて受け入れるべきかどうかが、彼の評価の分かれ目でしょう。
批評家など、大衆の支持が無ければ単なる独り言にすぎない。
なんて決まりは無いと思うけどね
より優れた方法を提示するのでなければ
わかり切った事を書いただけで意味の無い文章であると感じました。
>100年前のインテリたちは、当時の欧米で時代を謳歌していたアングロサクソン型デモクラシーの低劣さに飽き飽きし、より正しく、より美しく、より効率的な社会を模索して、その挙げ句に共産主義とファシズムという全体主義に突き進んで行きました。
具体的にどういう歴史的事実を指しているのでしょうか。意味不明だと思います。インテリの具体的名前は? 徳富蘇峰だけだと怒りますよ。
というか、歴史を単純化しすぎています。共産主義とファシズム、それぞれに関して、きちんと論じてください。日本にどういう事実があったかを。
軽薄な戦後左翼歴史学に頼らずに提示してください。
日本にどういう事実があったのかご存知なのであれば、
あなたが簡潔にコメントで書いていただくのが
一番早いかと思われますが。
私もどんなことがあったのか興味ありますので。
彼は、早くから大衆文化としてのマンガについて水準の高い評論をしてきた人です。また、石ノ森章太郎『マンガ経済入門』などのように、マンガを何かの手段としたり、あるいは文学の代用品として評価したりという教養主義的な風潮に、一貫して厳しい批判を加えてきた人でもあります。
ヒットラーが究極の形でしょう、同時進行で一国平和主義のアメリカの存在が有り、ヒットラーを黙認したイギリスの存在も有る。
それぞれが、当時の価値観、単なる流行で短絡的な批評をし判断を行いました。
文化人や批評家は、自らの発言に無責任に雰囲気だけで好きな事を言っているに過ぎません。
逆に聞きますが、ヒットラーの増長に警鐘を鳴らした文化人がイギリスに居たでしょうか?
(続き)
呉智英氏が評価する漫画家には、谷岡ヤスジ、みなもと太郎、永井豪といった「美」とか「正義」とかとは無縁のところで大きな業績を残した作家たちがいます。
今回のネットアンケートではそうした重要な作家があまり評価されず、ここ10年前後の人気投票になってしまっていることに意義を唱えているのだと思います。
せっかく文化庁がマンガを「文化」として評価するなら、もっとちゃんとやれと。そういう話ではないでしょうか。
その程度のことはブログ主だって分かってるだろうに・・・「封建主義者」を自認する呉智英の言い回しに騙されちゃダメだよ。
民主主義云々のくだりがあるけど、選挙の時には、テレビでやるような好感度調査とか「寝たい男」みたいな人気投票とは違う気持ちで臨むだろう。
そういう単純なことだよ。
もっとお勉強風にいえば、民主主義と衆愚政治は違うということ。中学か高校で習うよね?
この時期、アメリカの一国平和主義を「孤立主義」と呼び…
同時期、アメリカの偏狭な国家主義は「アメリカニズム」と云うとかや。
>> 逆に聞きますが、ヒットラーの増長に警鐘を鳴らした文化人がイギリスに居たでしょうか? <<
ジョージ・オーウェル。
>正義とか美とかを追求するシステムではありません。
oribeさんは呉智英の本を一冊も読んだ事ないんだね。
20年以上前から「民主主義を疑え」「民主主義は政治制度に過ぎない」「ファシズムや共産主義の絶対条件は民主主義である」と喝破している呉智英に、ズレたお説教は読んでてこちらが恥ずかしくなるよ。
>oribeさんの以下の発言。「意義あり!」
と書きましたが、「異議あり!」です。
意義!もありますけどね。oribeさんのエントリー。議論を広げるというか、視点や視野が私たちより遥かに広いんですよ。だから、多様なコメントが集まるのではと思います。(少し褒め殺し風?)
>takashi さん
相当詳しい方とお見受けしました。
是非、その辺コメントしていただければ。
ヒトラーを批判したイギリス人ですか。ジョージ・オーウェルはどうですか。50歳に至らず亡くなりました。食えないおっさん、チャーチルは。
失礼なお願いですが、ご教示ください。
これまでの呉智英の一連の著作での主張をもって、このエントリへの反論とするのは(呉読者として気持ちはわかりますが)見当違いだと思いますよ。彼独自の見識の欠片もない愚痴コラムですからね、これ。
何かえらそうなことを言いました。そういうことがスイスイと書けるようなら、私の今の現状、体たらくはないでしょうね。(泣
ただ、日本は歴史に関しては、左も右も史料を重視します。様々な本が出ていますが、まともな歴史書は史料の典拠を明らかにしています。その辺は、中国(支那)、韓国との大きな違いです。
oribeさんが言われた、共産主義とファシズム。
「共産主義」に関してはほぼ明らかになっています。「ファシズム」ですが、これが何を指しているのか疑問です。日本はドイツと違って、終戦直前まで「戦時議会」が存在しました。「翼賛選挙」と言われますが、選挙も行われていました。鳩山一郎は、「大政翼賛会」の推薦を得ず立候補し当選しました。日本はドイツと違い、最低限の民主政治が機能していたんだと思います。
日本の「政治軍部」は日本の立憲政治を歪めましたが、決してファシストではありません。それだけは勘違いしないでください。
私自身の程度が低いんで、この辺で。ごめんなさい。
何か自分の主義主張を無理やり披瀝している(したがっている)
印象を受けてしまうんですよね>該当コラム
「メディア文化とご大層な銘を打ってはこそいるが
その出自(ネット投票)を踏まえると
ただの人気投票に過ぎないではないか。
投票者も投票者で、もっと漫画という文化、
大衆文化というものを深く考えた上で投票して欲しいものだ」
みたいに、もっと直接的かつ分かりやすく批判すれば
よかっただけの話なんじゃないでしょうか。
(「」内の内容は適当ですので悪しからず(笑))
単純な投票だけでは、知名度のある作品ばかりがクローズアップされて、あまり知名度はないけど優れた作品が埋もれてしまいますよね。
そういう意味では、文化庁が『芸術百選』と銘打っておきながら、決めるのに衆愚的な人気投票をもちいたことへの呉さんの憤りはよく分かります。そのあとの、民主主義うんぬんにはついて行けませんでしたが(笑)
「マンガなんぞ大衆娯楽なのだから、人気投票で何が悪い!」と言う人もいるでしょう。でも、マンガもずいぶん歴史を積み重ねましたから、人気作品だけでなく、歴史的文化的に意味のある過去の名作を、後世に伝え残すことも考えるべきだと思います。
そういう意味で、文化庁が無責任に安易な人気投票だけで作品を選んだことへの呉さんの憤りは、本当によく分かります。
僕はドラゴンボール世代ですから、上位3つの作品とも夢中になって読みましたし、今でも好きです。まあ、3作品とも日本を代表するマンガの一つであることは確かでしょう。「では、日本で一番優れた作品か」と問われれば、「それはちょっと・・・」と答えますが。
ポケットモンスターは世界で一番有名な日本のアニメですが、あの作品を日本で一番の名作アニメだと思ってる人は少ないでしょう。それと同じですね。
しかし、あまり突っ込むと、信教の自由に抵触してしまう恐れがあるので、文化庁にはスラムダンクあたりが限界なのだということも理解しています(笑)
ちなみに僕のオススメ作品は、平田弘史傑作集第一巻『おのれらに告ぐ』です。
茶筅髷禁止令とか、吉田松陰、秘砲抱え大筒、介錯、日陰者の死、それがし乞食にあらず等、どれも日本のシェークスピアと呼びたくなるほどの物語です。
ご興味のある方は、ぜひ一度読んでみてください。面白いですよ!
結果発表には一応、専門家のみのランキングコーナーもありますけど・・・こちらのほうはいかにもという感じの顔ぶれですが、それでも『ドラゴンボール』は10位以内に入っており、永井豪はありませんね・・・
でも100選のほうも真に大衆的なのかどうか、とにかく「???」なランキングです。
少年マンガは詳しくないのでなんとも言えませんが、少女マンガのトップが『のだめ』、『ベルばら』が別格なのは別としても、リアルタイムで読んでいた者としては『あさきゆめみし』『日出処の天子』ってそんなに人気あったかな?
文化庁のアンケートである事をなんとなく意識した投票に見えます。
アニメ部門も『宇宙戦艦ヤマト』と『オネアミスの翼』がほぼ同順位だったり・・・投票者の年齢層、男女比、どんな人達がこの企画に気づいたのか分かれば納得できるのかもしれませんが。
呉氏は評論家としてそこの所にもっと注目しても良いのではないでしょうか。彼にとっては物足りない作品であったとしても、大衆が何故その作品を支持したのかという点を調べる事で何か重要な事を発見できる可能性もあるでしょうに。
文化庁が日本を代表する芸術アニメを教えてくれって
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1156313694/
民主主義、と大上段に行くにはネット投票はちょっとアレなネタですな。そこも文化庁への突っ込みにした方が良かったかも。
まあ概ね妥当なんじゃあ?
トップ作品は内容も画力もセンスも外貨獲得力も(笑)充分。
大家である外務省のゴルゴ13麻生氏にも見解を伺いたいな。
呉氏はもともと反民主主義者、封建主義者を自称しており、大衆批判がスタンスですから、民主主義を最良とした価値観からの批判は、あまり意味を持たないでしょうね。
『日出処の天子』は、連載当時、少女マンガ読みの間での反響は凄いものでした。先の展開が読めない、連載されるたびに内容が話題になる。媒体は違いますが、エヴァンゲリオンの放映当時の感覚に似た感じでした。
『あさきゆめみし』も入っていておかしくない、むしろ入っていなければおかしい作品だと思いますよ。
あとこのあたり突っ込みどころですかねぇ。
評価の基準がそこしかないのかと。
時代性、普及貢献、形式美、後世作家への影響、印象、手法の確立
評価基準はそれこそ星の数ほどあって、
ネット上での投票という手法を使ったこの投票結果は
印象や普及貢献、時代性などを反映した結果が現れている、
と前向きに解釈する事だって出来るわけですし。
あと、アンケート概要を見ると
特に海外からの投稿を弾いてるという記述も様子もありませんし
一定数、海外の方の票もあるのではないかと思います。
>先の展開が読めない、連載されるたびに内容が話題になる。
そうだったんですか・・・私の周りでは中高通じて山岸涼子のファンという人にすらお目にかかった事がなく、独り寂しく「LaLa」を立ち読みしておりまして、単行本が出た時も大量入荷していた記憶がないんですね。
同じ白泉社なら『エイリアン通り』『綿の国星』『パタリロ!』『スケバン刑事』ランク入りした『ガラスの仮面』などのほうがよく読まれていました。
より万人受けしていたのは『生徒諸君!』『キャンディ・キャンディ』『はいからさんが通る』、マニアな人は『百億の昼と千億の夜』『地球へ・・・』とか。
『あさきゆめみし』は「古文の勉強になる」と皆で廻し読みしていたのですが、藤壺と源氏が池のほとりで初対面とか、明石から戻った源氏を髪を振り乱して迎える紫の上とか「これってありえないよね・・・」とヒソヒソ話。
その後どんどん当時の風習に忠実に、マンガチックな表現は減っていき、大和絵のようになった画力の向上は認めますが、漫画として優れているのかどうかはよく分かりません。
最近の作品では美大・音大が舞台の『ハチクロ』『のだめ』が上位にあって、あれほど売れてつい最近ドラマにもなった『花より男子』が影も形もないのは、マンガの人気投票というより、その下敷きになった「芸術・歴史・文学」の要素を意識したのではないか・・・と思ってしまいます。
『BANANAFISH』は男性票もかなり入ってそうですし。
そういう意味では少年マンガの結果のほうがむしろ納得いくかな、と。
なるほど、そういう意味でおっしゃっていたのですね。
ならばおそらくOribe氏のおっしゃってたこととは次元の違う話かもしれませんね。
氏の指摘は「当時のインテリ層」に流れていたムードのことで、その後の政治体制のことではないでしょう。
政治がインテリ層の影響を多少なりとも受ける側面はあるかもしれませんが。
評論家が「衆愚」を嫌う感覚はわからないでもないですが、
「愚」って字を意識した時点で「自分はその中にいない」って意味を含めてしまうのがいやです。
百・・に入ってないだろうなあ
私にとっては少女漫画の名作なんだが(三原順の作品は知名度低いが読んで損は無い!…と思う)
この部分だけにしておいてくれれば、非常にわかりやすい。その意味で、秋秋氏の2つ前の書き込みに僕も一票。
迂闊且つ安易に綴ったコラムて感じですね。
そして、この百選自体も随分迂闊に実施されたものだと思います。まず、匿名のネット投票で、何の作為も無く扱うには近50年てのは広く取りすぎですね。
そして、「ネット」の威力が発揮され過ぎかと。「よつばと!」「あずまんが大王」「HELLSING」「エマ」に加え欄外の「ARIA」・・・・・・どれも面白い漫画には違いないんですけども、果たして此処に名を連ねるに相応しいかと言われると・・・・・・。JOJOの順位も、まず間違いなくネット効果ですねw
ていうか、一考すべきも何も文化庁が決めること自体がおかしいような。
呉さんは、oribeさんの仰るように、「民主主義というのは、正義とか美とかを追求するシステムでは」ないから、百選を選ぶという文化事業において、専門家の意見を重視すべきだ、と主張しているのでは?
私は呉さんの著作を2冊ほどしか読んでいませんが、彼は80年代のマンガ評論の質の低さを嘆き、マンガについて専門的に語る人が多く出てくることを望んでいました。
著作を少し引用しますと、
「日本文化のうち、諸外国に見られないほどに特異に発達した民族の遺産というべきものは、たった二つしかない。…略…第一に、膠着語の特性を生かし、表意文字と表音文字を混用する漢字かな混じり文、第二に、きわめて高度に発達した表現ジャンル、マンガである。二つのうちでもマンガこそが日本の世界に誇る最高の文化である。むろん、最高の文化とは、俗悪も通俗も高尚も高踏も含んでいるが故に最高なのである」(現代マンガの全体像より)
この著作によると、呉さんはマンガ評論における「啓蒙」にも注意しなければならないと述べています。彼は民主主義を疑っていますが、全体主義を良しとしているわけではありません。
>研究者、評論家、編集者が選べば、量的にも質的にも重要な作品を全時代にわたって満遍なく選んだはずだ。
>当の大衆自身はその全容も核心もつかんではいないのである。
と書かれてますが、その専門家が選んだ上位作品は50年代−80年代のものばかり、満遍なく選ばれてないし、やはり全容を掴んでいるとは言えないと思います。
そもそもマンガとかアニメは、既存の価値観に囚われない子供や若者に支持されて戦後異常とも言えるスピードで変革、進化を遂げてきたのだし(一部青年誌の作品は除く)、大衆受けはしなくても魅力的な作品ならオタクが高価な関連商品やDVDを買って支えてきたのが実情じゃないかな。
専門家という人達がどういう人種なのか分からないけど、ある程度の地位を築くようなトシになれば子供が熱狂してる感覚がさっぱり理解出来なくてもおかしくないし、世に流通するマンガを満遍なく読んでかつ評価出来る人間にヲタの趣味は理解しがたいのでは?
より民主的に、という事であれば世論調査のように無作為に抽出した人間、それこそ幼稚園児から年寄りまでアンケートすればいいと思うけど、文化庁はそうしなかった。
ネット投票が最良の方法だったとは言わないけど、若いもんやヲタが集まってきやすかっただろうこの結果にもそれなりの価値があると思う。
「大衆芸術を衆愚芸術にしないよう文化庁は一考すべき」と云う一文からすると、
呉氏は政府に「もっと関われ」と云っている様ですな。
文化庁が漫画とかアニメとかに関わること自体、そもそも、よくないと思うねえ。
文化や芸術は受け手の主観が全てなのだから、原則として市場に任せるべきであって、政府機関が関わってランキングとか、値札を付ける様な行為はするべきではないのです。それは政府主導の価値観の制御や果ては「創造」に繋がる怖れがある。それは全体主義に・・・はともかく、汚職・・・は確実として、まんず、規制と保護で、対象となった文化や芸術は陳腐化しツマランものになるでしょう。
官僚と文化芸術は合わないのです。彼等が仕事をすればするほど、文化芸術の類は無難でクソの様なものになるに違いない(偏見による断定)。政府関係者の方々は是非「汚いものを見る様な目」で漫画やアニメを見下して放置して頂きたい。韓国の様に政府が金を出すなど以ての外。やる気無さげに若干蹂躙する位がよい。美少女エロ漫画の類は90年代の規制によって却って表現が進歩したと僕は思います(真顔)。
勿論「市場や発表の場を失いかけている文化や芸術」は、政府が保護したり公営美術館を建てて収める必要があります。伝統文化は放置すると廃れるし、美術作品などは(取引は盛んでも)放置すると市民の目に触れないですし、多少の取捨選択はあっても、内容には踏み込まない施策ですから。漫画・アニメは市場も露出も現在バンバンです。政府が関わる必要はないでしょう。
今回の「百選」の目的(何も考えとらんのかも)は判らんのですが、単に発行部数に近い結果が出たのは、政府機関というものが文化芸術を本質的に理解出来ないか、正しく扱えないことを表わしてるだけと思うんですけどね。
邪推ですが、呉氏は本人が気付いてない自意識や矛盾(「俺は漫画の判る気さくなインテリ」×「大衆的なものに対する嫌悪感」)を刺激されてトンチンカンな事を言ってるだけでしょう(何かペンネームの付け方に鼻持ちのならない人間性が出てる気がするのですよ)。
それにしても「百選」に、現代の社会問題に激しく踏み込んだ
田丸ピロチ先生の「らぶやん」が無いとは如何なものか。俺は認めん!
直接民主主義の危うさがよく出ていますね。
おそらく本当にアンケートそのままなんでしょう。
アホです。
(これが見られないところが、私がこのブログを好きな理由の1つ)
の悪目立ちしがちな呉智英ですが、著書での人権思想に対する懐疑的な
主張なんかは意外とMeine Sacheに近いのではと思います。
「民主主義は正義や美を追求するためのものではない。」・・これは、お見事。
なんて、上で言ってる人もいるが、呉氏のことを知らなさすぎ。
また、ほかの批判にも、見当違いのもあった。失礼ながらoribeさんのも含めて。いっぽう、わかってらっしゃる方もいて少し安心した。
呉氏の言ってるのは、【大衆はものがわからない。その上ものがわからないことすら
わかってないから、傲慢だ】という、つきつめれば、ただそれだけ。
その主張の根本は「封建主義 その論理と情熱」のころからぜんぜんかわってない。
今回は、それがかれのもうひとつの得意分野であるマンガ批評に対して
発揮されたというだけだし、「民主主義」に対してその主張が適用されれば、
「盲目的な民主主義者(「進歩的文化人」に多かった)」に対する皮肉になる。同じような
主張はオルテガに古典的な著作があるし、現代日本でも西部邁などにもみられ、
別に呉氏のオリジナルでもないが、主張の奇矯なまでの徹底と豊富な例示が彼の
持ち味だ。まずはそれはそれだけのもので、別に呉氏は、哲人政治やらアリストクラシー
やらに戻れと積極的に主張しているわけではない。
しかし、政治や経済から車や女の子まで、価値序列をつける行為
には、現代においては、「大衆がどう考えるか」の要素が抜きがたく付着
している。それとおもってなくても、もう、無意識にまで及んでいるかもしれない。
そのことに、【】の内容を加えあわせれば、少なくとも、謙虚さ、という徳を
おもいだせるでしょう。