少し前に、超巨大旅客機A380の相次ぐ納入延期により混迷を深めるエアバス社について書きましたが、170機の販売契約と抱き合わせで、中国に組み立て工場を作ることになりました。
エアバスの経営を傾かせたのは、欧州の社会事業とも呼ばれてきた半官半民の体質です。それだけに、政府の支援に頼らず、人件費の安い海外に工場を作ることで経営を立て直そうというのは、企業として好感の持てる態度です。エアバスがお役所体質を強めて弱体化すると、大型旅客機の建造はボーイング社の独占となり、そうなれば世界全体にとって不幸なことですから、とりあえずはいいニュースだと言えます。
でも、ドイツは不安で一杯です。
ドイツのハンブルクには、フランスのトゥールーズと並ぶエアバスの拠点があります。中国に工場を作るからといって、さしあたりハンブルクの工場を閉鎖するわけではありません。しかし今回の発表を聞いて、「雇用も技術も中国にとられてしまう!」という声が圧倒的なのです。
ドイツ人がそういう不安を抱くのには理由があります。それは、「リニアモーターカー・ショック」です。すでに上海に短い区間でリニアモーターカーを設置しているドイツは、上海ー杭州間175キロのリニア線敷設を鼻先に吊されて、特にシュレーダー前政権時代は、情けないほど中国におべっかを使ってきました。しかし中国は、ドイツの技術を盗んで独自のリニア開発を開始した挙げ句、リニア線敷設を棚上げしてしまったのです。
それに追い打ちをかけるように、9月に起きたリニア実験線での事故により、ドイツにおけるリニア開発は支持を失い、将来的にも採算に合わないものになりつつあります。リニアを開発しているシーメンス社らは、抱えている技術を中国に売り払って事業から撤退するのではとまで囁かれ、そうなれば、リニア線敷設を検討しているミュンヘンには、中国製のリニアモーターカーが走ることになりかねません。
そういう経験をしたドイツ人が、エアバスの中国進出に不安を覚えるのは当然です。フランスのシラク大統領と一緒に中国を訪問したエアバス社の首脳が、中国政府とどんな約束を交わしたのかはわかりませんが、藁にもすがる状況だったエアバスは、航空産業育成を目指す中国にとって、カモだったはずです。2、30年後には、エアバスを食べて育った中国の航空機メーカーが、エアバスに代わってボーイングと覇権を争うことになるかもしれません。
それにしても、政治の力で守られてきた欧州大陸の先端事業が、なぜこうも易々と相次いで中国にあしらわれ、ヨーロッパ最大の武器である知的財産を危険にさらすのか。それは皮肉と呼べるような現象ではなく、必然なのではないでしょうか?
ところで、欧州の希望どころか、欧州没落の象徴になりつつある超大型旅客機A380は、今月19日に、初めて日本にやってくるそうです。
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特にリニアの一件は、日本の東急車輛が過去そっくり同じ事を地下鉄車両で
やられてる。少し調べりゃ解かっただろうに、みごとなお花畑っぷり。
そういやパリに大型中華街が出来るって聞いたが、正気か?と問いたい。
一度中国人に土地なりビルなり売ってしまったら、二度と地元民の手には戻らない。
そこを足がかりに、中国人街が増殖していく。アラブやアフリカの比じゃない。
中華儒教文化圏の正体に気付いてからじゃ遅いのにね。
なぜ「必然」なのか、(過去ログには、あるのかも知れないが…)私には合点が行かない。
それはそうと、A380という飛行機は、どデカイ飛行機だ。
あんな物が、よく空を飛ぶと思う。
機体強度の方は大丈夫なのか?
欧州から見れば、中国にない技術を売ることで儲ける。
中国から見れば、欧州が知らない中国の商習慣(というのか)で儲ける。
WIN-WIN?
馬鹿にされてるのはどっちでしょうか。
エアバスの経営はどうなのでしょうか。これでは潰れても仕方がないし、こんなに完成が遅れるようでは使えない。日航(JAL)みたいなもんですかね。
日本は山梨でやっているリニアどうするつもりなんでしょう。
それより台湾新幹線。もう少し率直に真面目に協力したらどうでしょうか。JR、偉そうにするなって。「情けは人の為ならず」だよ。
小泉さんの台湾訪問、新幹線開通祝典への参席の実現を期待します!
さぬきうどんさん、
確か、台湾新幹線はまるっきり日本製では無かったと思います。JRとしては、完全日本製にしたかったそうですが、台湾がコストの都合上、日本製以外パーツも使うということを主張したからです。JRは純正品のみの使用で生じた問題に対しては責任を負えるけど、それ以外の場合は台湾の自己責任になるし、問題解決に全面協力できない可能性もあると説得したけれども、台湾は折れなかったそうです。今回の問題の原因を知らないのでなんとも言えませんが、JRが偉そうにしてると結論付けるのは早急な気がします。
大陸で一旗あげて・・と単純な妄想を描いている輩が多いのはなぜ?そして、失敗しても失敗してもまた大陸に舞い戻ってくるのはなぜ?さらに、彼らはなぜあれほど中国が好きなのか?
宮崎滔天、頭山満、石原莞爾、チャイナスクールに至るまで、中国大陸への美しき思い入れや幻想を抱いて散っていった日本人の系譜も相当なものですけど。
中華四千年の手練手管はさすが。
とりあえずフランスとイスラエルには、とっとと中国の餌食になってもらって、兵器を売り捌くのを考え直してほしいところ。
この技術開発の不振ぶりは、WWU前後の相次ぐ頭脳流出が、まだ尾を引いているからなのか。
先の大戦で欧州から亡命してきた科学者たちのおかげで、理系研究の拠点がドイツから米国に移ってしまったそうですが、そう考えると焦土の日本に踏みとどまって尽力してくれた技術者たちには感謝ですね。。
アジアをヨーロッパに置き換えれば、発展しているとは言え日本は所詮イギリス一国にしか相当しません。
それに引き換え中国の存在感たるや、その歴史・国土・人口の点でイタリア・フランス・ドイツを合わせたほどのものがあります。
だから、アジアと言えばやっぱ中国でしょ、となるのも当然ではあるのです。それが錯覚であっても・・。
あと、中国製飛行機がアフリカに大量に売られたor売られる…と言う記事を見た気がします。
欧州と(旧植民地)移民で軋轢の残るアフリカに手を出し、抱き込もうとしているようですね。
資源面もあるし、国連での組織票もありますし。
今後、シナが自己の内部矛盾でどのようになるかは分かりませんが、崩壊するまで世界は十分引っ掻き回されるでしょう。
あと、中国製飛行機がアフリカに大量に売られたor売られる…と言う記事を見た気がします。
欧州と(旧植民地)移民で軋轢の残るアフリカに手を出し、抱き込もうとしているようですね。
資源面もあるし、国連での組織票もありますし。
今後、シナが自己の内部矛盾でどのようになるかは分かりませんが、崩壊するまで世界は十分引っ掻き回されるでしょう。
台湾新幹線は独製軌道の上を日本製新幹線が走り、仏製駅に止まる…。軌道の一部は韓企業施工…。
だったかな?
ごちゃ混ぜになっちゃったので、日本も部分的にしか関われんでしょう。
日本みたいに厳しく規制しないし、外資もどんどん入れるし市場も開放するし、租界状態、人民が労働力の植民地になっても平気。
一旗あげたい人達にとってはずっと魅力的であり続けると思う。
> R2D2さん
うろ覚えの半可通な知識で申し訳ないですが、台湾新幹線が完全な日本製にならなかった理由は、WTOか何か国際的な取り決めのせいで、すべてを日本製で独占させることができなかったためと聞いた憶えがあるのですが。本来であれば、台湾側もすべて日本製にしたかったという話も聞きましたが・・・
『新幹線』と呼ぶので誤解があるように思うのですが・・・
台湾新幹線は、初めドイツ(軌道)とフランス(車両)の欧州システムを基準に進み、後から日本が参入するという変則的な形で進行してきました。このため台湾新幹線は、日・仏・独のシステム・規格・技術が混在する、とっても複雑な高速鉄道になっております。
大雑把にいうと、欧州規格のシステムで新幹線を走らせようというわけですが、なにか問題が起きると、日本の車両のせいか、欧州のシステムのせいか、はたまた台湾のインフラが悪いのか…で紛糾し、問題の解決が難しいようです。
各社の利益が複雑に絡み合って紛糾しているわけですから、それを総てJRに解決しろというのは、さすがにちょっと酷なような・・・
↓複雑なので読んでもよくわからない台湾新幹線の経緯はこちら。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93
欧米のマスコミ報道が反日親中なので、「欧米人は中国好き」だと思ってしまいますよね。
でも、新聞記事やマスコミの報道ではなく、一般人の意識調査などを見ると、中国はそれほど欧米人に好かれてないんじゃないかと思います。
http://www.globescan.com/news_archives/bbcpoll06-3.html
↑例えばコレ。欧米での好感度は日本のほうが高いし、中国はネガティブな評価が多いです。
CNNが報じた、主要15カ国に対するアメリカ人の意識調査でも、日本の好感度は英国・豪州・カナダに次ぐ4位だったのに、中国は調査対象国中最下位に近い14位(15位はイラク)でした。
マスコミ&知識人は中国好きでも、一般国民はあまり好きじゃない・・・日本と似てますね。
似たような傾向は欧米にもあるのかな、と思いました。
「台湾新幹線」の件は、『諸君』の11月号に掲載された酒井亨さんの論文を参考にコメントしました。ネットで調べてみると、彼の論考に対していろいろな意見があるようです。ただ酒井氏が書いたような傾向は日本企業にあるような気がしました。それでそういうコメントをしました。
ご存知かもしれませんが、酒井亨さんのブログです。
『むじな@台湾よろず批評ブログ』:
http://blog.goo.ne.jp/mujinatw
改めて小泉前総理の「台湾新幹線」(新幹線じゃない、台湾高速鉄道だ、というクレームが付いていますので、「」付きにします。)開通記念式典への参列・参席を願います。
台湾新幹線は日本以外にもいろいろ関係しており
なかなかうまくいきません。
自分も関係者なので言い訳になっちゃいますが、
各国の習慣とか考え方の違いがあって2歩進んでは1歩下がる状態ですわ
自分とこはブレーキ担当なんですがブレーキだけでもいろいろ問題があったり。湿度が高いゆえ、
日本では起こりえなかった錆の発生とかいろいろ。日本人とは違うから感がえられないような所を触る可能性もあるからどうにかしろとか。
JRと人くくりにしても実際は三菱や日立とかその他社も絡んでるわけだし、、、
向こうの人たちはいい人たちばかりですがね。
ダンピング判定とかも増えるだろうし。
大丈夫か中国・・・ちゃんと代金払ってあげてね。
新しい大統領になるのではと目されているサルコジという男も、スモウはどうしようもないとか、中国は最高だとか、馬鹿な発言を繰り返しています。シラクが親日ということに対抗しているのでしょうが、よく考えるとフランスと支那は似ています。フランスも中華思想みたいな考え方をしますし、料理がうまい割に衛生観念が欠けているところもそうです。
まあ、北京五輪が終わってから対支那進出を本格化させて、ユーロを暴落させればいいでしょう。ただ、ポルトガルやらギリシャはともかく、優等生であるドイツまで付き合わせるのは酷でしょう。支那や朝鮮に戦時中のことを蒸し返して、金をせびられる日本と似た構造を感じます。
×支那や朝鮮に戦時中のことを蒸し返して
○支那や朝鮮に戦時中のことを蒸し返されて
東方幻想のようなものも昔から貧しく弱かったころのヨーロッパからあります