2013年01月17日

過去を反省しない日本の原点

オリヴァー・ストーンの「Untold History of the United States」という本を読みました。20世紀初頭から現代にかけて、いかにアメリカが悪事を重ねてきたかを滔々と語る本です。



オリヴァー・ストーンは、リベラルというより急進左翼、社会主義者なので、内容は大いに偏っています。本書で語られる悪はアメリカ右翼の悪、すなわち軍産複合体の悪であり、逆に社会主義化を進めたF.D.ルーズベルト大統領時代はバラ色の時代として描かれます。

実際には、ルーズベルト時代のアメリカは平均40%の高関税で国内産業を守り、そのくせ外国に対してはアメリカ製品に門戸を開けと迫るジャイアンであり、世界に保護貿易レースを仕掛けた主犯でした。世界の自由主義者たちに死刑宣告を下し、「持たざる国々」を決起に追い込んだ張本人でした。

そうしたアメリカ左翼の悪も暴けば、この本は党派を超えて説得力ある「アメリカ黒書」の決定版となれたかもしれないのに残念です。

さて、そんな米帝バッシング本を読んだ後にこのような報道を目にするとあきれてしまいます。

旧日本軍の従軍慰安婦問題は「20世紀に起きた最大規模の人身売買だ」として、ニューヨーク州上下両院の議員が16日までに、被害女性らへ謝罪するよう日本政府に求める決議案を両院それぞれに提出した。…

決議案は、2007年に連邦下院で可決された日本政府に公式謝罪を求める決議を支持し「歴史的責任を認め、未来の世代にこれらの犯罪について教育する」ことを日本政府に求めている。

日本政府に謝罪要求 慰安婦でNY州決議案「最大規模の人身売買だ」

盗人猛々しいとはこのことです。米帝に他国の過去を断罪する資格などありません。たとえ日帝が組織的に性奴隷狩りをしていたとしても、米帝はそれ以上の罪を犯して頬かむりし続けています。原爆投下の罪です。

日本人が原爆について口を開くと、アメリカ人は「戦争を始めたのは日本の方だ」とか「悪虐な日帝に原爆に文句を言う資格はない」とか「本土決戦を避けるため仕方なく落としたのだ」とか反論してきます。しかし、原爆投下には日帝の悪も戦争も関係ありません。

1945年8月にはすでに戦争の帰趨は決しており、日本はひたすら敗戦交渉のテーブルにつく道を模索していました。当時の日本政府が降伏の条件としていたのは「国体護持」、すなわち天皇制存続の保障のみでした。しかしアメリカはそれを認めようとしませんでした。アメリカはただその一点だけのために、「消化試合」を何ヶ月も続け、瀕死の日本を殴り続けたのです。

そのくせアメリカは、終戦後は余裕で天皇を恩赦しました。アメリカ人からすれば、天皇制の存続など些事にすぎぬという証です。アメリカ人は、彼らからすればどうでもいい「国体護持」カードをチラつかせれば日本がひれ伏すことを知りつつ、あえてそうせず、戦争を引き伸ばしたのです。戦後の国際秩序において主導権を握るためです。

ドイツとの戦闘をほとんど一国で引き受け、ドイツを轢き潰したのはソ連です。欧州戦線の終結にあたり、ロシア人の発言権は圧倒的になりつつありました。しかし原爆投下により、米ソの立場は劇的に逆転しました。アメリカは、ただ国益のために数十万人の市民の命を吹き飛ばしたのです。

このような空前絶後の国家犯罪を、アメリカはいまだに認めようとしません。国際社会においてモラルなど存在しないことの何よりの証拠です。冷酷なレアルポリティークのダシにされた日本人は、国際政治をモラルで語ることの無意味さを思い知らされました。もし日本人が過去に対してタンパクであるなら、その理由は、広島、長崎という戦後日本の原体験にあるのです。

日本人に、「歴史的責任を認め、未来の世代にこれらの犯罪について教育する」のを求めるのであれば、日本人をモラルなき虚無的な国民としたあの出来事についてモラルが示されなければなりません。アメリカ人が「歴史的責任を認め、未来の世代にこれらの犯罪について教育」し、オバマ大統領が広島と長崎で頭を下げてはじめて、日本人はモラルの存在を目の当たりにし、請われなくても自分を鞭打つようになるのです。

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この記事へのコメント
東洋史の宮脇淳子女史曰く、日本はアメリカに原爆を2発落とす権利がある。独立回復後は国際法無視の東京裁判に縛られることなどないのです。
Posted by 名無し at 2013年01月17日 22:42
 おりべさんこんばんは、ネットを渉猟して居る裡、懐かしいお名前を見出しました。

 一時期寄らせていただきましたが、更新がされない時期が長かったので、どうしたのかと思っておりました。 その後、3度に亘る転職、転勤があって、すっかり忘れて居りました。

 FDルーズベルトこそ、米国の利益の為に、日本をとことん利用した大悪人だと私は思っております、まぁ、彼の同世代には、チャーチル、スターリン、毛沢東、ヒトラーといった大物から、李承晩と云う小物まで、殺人鬼ダラケですがね。
Posted by ナポレオン・ソロ at 2013年01月20日 19:05
うれしいな、良く言ってくださいました。
日本人までもが戦争終結の為の交渉と、原爆投下の関係を、
無視しがちなんですよね。
原爆投下後、(一週間で)終戦。と、さらっと言っちゃう。
いくら何でも外交交渉を一週間で終えるか?とは考えないままで。
終戦交渉中に、原爆で非戦闘員を十万単位で虐殺されたのに。
ただ、日本人が過去に対しタンパク、ってくだりは、
私の個人的意見としては、熱心な「平和」教育の賜物かと思います。
泣き叫ばんばかりw の「帝国主義日本がアジアを蹂躙した!」教育は、子供の心に自国の現代史に対する無関心と罪の意識を植え付けました。
戦争とは何か、ルールがあるのかと言う事も教えず、刷り込みました。
しかし今思えば、教師も本当は何ひとつ知らなかったんだと思います。
知らない者が知らない者に刷り込むのが教育でした。
無関心で当然ですね。
Posted by ohsui at 2013年01月22日 03:00
私は日本は反省するべきだと思います。

私は正直、ドイツが謝ってるのに
とかより、

日本人として一人の人間として、過去の歴史をどう思いますか?

亡くなった東アジアのかたたちも
そして、戦争で亡くなった日本のかたたちも悲しい想いをしています。

そしたら明るい未来をつくるために
教科書に正しい認識を学び書く必要がありませんか。

教科書を正し書いて学んで
正しい認識を持つ。

過去の謝罪や賠償をいくらしたって、未来に正しいことがされてないと、過去の首相の正しき行動はだいなし。

もう一度考えなおしませんか。

Posted by るる at 2014年05月18日 22:37
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