これまでの皇室外交というと、当たり障りのないものばかりでしたが、今回は旧ソ連圏初の訪問で、しかもタイミングがすごい。何しろバルト三国のエストニアは、ロシアとにらみ合いの真っ最中で、首都タリンは、数週間前に起きた過去100年来最大という争乱の傷跡がまだ各所に残っている状態でした。
ナチスからの解放を記念して建てられた旧ソ連兵の銅像を、「抑圧者の像が首都のど真ん中にあるのはおかしい」(表向きの理由は、銅像の下に埋葬された遺骨の発掘)と移設しようとしたエストニア政府に対して、「ロシアあっての弱小国のくせに、EUに加盟したからっていい気になりやがって!」(表向きの理由は、歴史修正主義への義憤)とロシアが激怒。去年の暮れあたりから、両国の関係は極度に悪化していました。
ロシアはあちこちで反エストニアデモを動員し、「経済制裁だ!」「断交だ!」と叫び、4月の下旬にエストニアが銅像の移設を強行すると、タリン市内でロシア系住民の暴動をあおり、さらには大規模なサイバー攻撃を仕掛けました。
世界で初めて国政選挙のネット投票を実現するなど、ネットの先進的活用に国の独自性を見いだそうとしている小国にとって、この攻撃は堪えました。エストニアの国防省は、「空港や銀行や国のインフラがミサイル攻撃を受ければ、明白な戦争だ。しかし同様の損害がコンピュータによって与えられた場合何と呼べばいいのか?」と事態を戦争に例えるほどでした。
天皇皇后両陛下は、そんなタイミングで、エストニア入りしたのです。
地政学的にロシアの懐にあるバルト三国は、口では連帯を表明するヨーロッパ諸国に、いざという時に見捨てられてきた歴史を持ちます。2004年にEU入りしたものの、今回の件でも、事実上ヨーロッパ諸国に厄介者扱いされていた小国にとって、日本の顔の訪問がどれほど心強く映ったか、想像に難くありません。
自国の100倍にも及ぶ国から外交圧力を受ける状況下で、多くのエストニア人たちは天皇の訪問を、国際社会で友人を失っていない証拠だと受け取っている。
「・・・この訪問は、エストニアのイメージはロシアとの小競り合いにより傷ついていないという良い例になります」とエストニア外交協会のアンドレス・カーゼカンプ氏。
隣国リトアニアの大統領も、天皇の訪問を大国日本から認められている証として受け止め、「日本に認めてもらうことは、私たちにとって非常に価値のあることだ」と語っています。
というわけで、今回の皇室外交は、単に友好関係を高めるなどというレベルではなく、積極的に世界をデザインしていこうという日本の意思を示す、画期的なものでした。
それにしても、オーストラリアと同盟は結ぶわ、中東諸国と独自に関係を強固にするわ、カザフあたりではウランの獲得でロシアに先んじるわと、最近の日本はどうしちゃったんでしょう?
最近の日本は、地味ながらやることやっているのかな、と思わされますね。
対外だけでなく、国内に対しても、もっとやることやっていただければもっともっと応援したいと思います。
銅像移設に端を発する一連の騒動との関係はある筈がなく偶然でしょうね。
しかし、それだけに天命というか巡り合せを感じてしまいますね。
前世紀に日本人が果たせなかった使命、即ち、列強(大国)のエゴから小国を平和裏に庇う役割と試練が、これから始まるのかも知れません。多分、それは忍耐と勇気が必要で、かつ面倒。でも、明治からの苦難の歩みと犠牲が、それを可能ならしめる国力・国民性・国際的立場を造るためのものであったとするならば、何処か腑に落ち、納得が行く気もします。
日本にとって幸せとは限りませんが、この流れが続く事を願います。
とすれば、なかなか頼もしいタヌキです。
両陛下が中国なんかに行かなくて済みますように。
宮内庁の害虫駆除もしっかりやっていただきたいと思います。
一度恨まれることしたら、永久にやり続けないと身が危ないということなんでしょうね、きっと。そういえば日本の周辺にも同じような大国とオマケがありましたっけw
この間のは、米国とも一緒になって防衛協力をしようという協定(と言う言葉でも強すぎるような)の様なものだと思います。
マスコミはそれを全然伝えない。
何とかならんかなぁ・・・
>ささいな点ですが、日本はオーストラリアとは如何なる同盟関係も未だ結んでおりません。
国家間の「同盟」とは共同の目的のために同一の行動をとることを約束することであるなら、先般の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」の署名は一種の同盟を結んだことにはなると思いますが・・・少なくとも日豪間では「如何なる同盟関係も未だ結んでおりません」は如何かと思います。ちなみに、その日豪共同宣言は
>日豪共同宣言は、安全保障分野における日豪協力を飛躍させる包括的な枠組みであります。日豪両国は、これまで北朝鮮の問題、イラクの復興支援、テロ対策を始め、さまざまな安全保障上の課題に対し、ともに取り組んできました。共同宣言は、協力を一層強化する基盤を与えるものであり、行動計画や外務・防衛閣僚による2プラス2を含め、日豪協力を発展させる有益な要素が多く含まれています。
http://www.kantei.go.jp/jp/abespeech/2007/03/13kyoudou.html
まぁそれは兎も角、当方最近テレビや新聞に触れる機会がめっきり減ってしまった所為かよく判らないんですが、この話題我が日本国のマスコミではどの程度取り上げられたんでしょうか?
少なくとも引用された様な現地の反応が紹介される事は先ず無かったんでしょうね・・・。
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(its smile of welcome appeared more than a little gap-toothed. )
管理人さんの示されている原文を読みましたが 上記文をみると エストニアは 天皇(日本人)を小馬鹿にしているようにも思える。本当に感謝などしているのだろうか?
下のNHK関連の記事でも相当かみついてましたが、
隣国より、自分の国の心配をした方がいいんじゃないんですか。
日本も日本人も、あなた方に心配してもらう筋合いはありません。迷惑です。
残念ながら、日豪同盟条約が結ばれたとは聞いておりません。
共同宣言であれば、日中共同宣言も日朝平壌声明なんていうものありますからそれだけで、「同盟」とは言いがたいのではないかと思います。
おバカさん!!「隣国を心配す」はHNで、れっきとした日本人!ピントはずれのコメントをする前に、少しは読解力を身につけましょうね・・・・
>下のNHK関連の記事でも相当かみついてましたが、
コメント欄が開放されているのですから異論があるなら反論されたらよろしいのではありませんか?
>共同宣言であれば、日中共同宣言も日朝平壌声明なんていうものありますからそれだけで、「同盟」とは言いがたいのではないかと思います。
国家間の相互作用には戦争、貿易、金融等様々ありますが、最も重要なものは安全保障の相互作用ではないでしょうか?日中共同宣言、日朝平壌声明はいずれも国交回復なり、それを目指すものであって、これらを引き合いにして安全保障協力にまで踏み込んだ日豪共同宣言を云々するのは如何かと思いますが・・・
its smile of welcomeのitsはタリンにかかっているので、天皇のことではありませんよ。つまり
「タリンの歓迎の微笑みは、すきっ歯に見えた」といった意味で、
暴動によって市内の各所が傷ついていることを比喩しているのだと思います。
結びで
Tallinn's smile may be somewhat wry, but its spirit seems undiminished as it awaits its imperial guest(タリンの微笑みは多少ゆがんでいるとしても、天皇訪問を待つ彼らの気力は衰えてなどいないようだ)
とも書いてありますからね。
今回も良質なエントリを読ませていだたきました。心より感謝いたします。ありがとう。
>its smile of welcomeのitsはタリンにかかっているので、天皇のことではありませんよ。つまり
「タリンの歓迎の微笑みは、すきっ歯に見えた」といった意味で、
暴動によって市内の各所が傷ついていることを比喩しているのだと思います。
確かに るるさんのいうとおり itsはタリンにかかっているのかもしれません。
しかし わざわざ 「暴動によって市内の各所が傷ついていること」を gap-toothed(すきっ歯)という人間の顔にかかわる単語をつかいますかね。
私は この「its」は タリンとともに 明仁天皇にもかけているように思えてなりません。
まぁ 最終的に 天皇陛下が小馬鹿にされていないのなら それで結構です。
記事と無関係な話で恐縮ですが、職場のフランス人にすきっ歯がチャーミングだと変な褒め方をされた者です。彼の嗜好が欧米全体か個人的なものかは判断しかねますが、こと歯並びにはうるさい米国でもすきっ歯を矯正していない映画スターを見るので、ひと昔の日本の八重歯と同じ感覚なのかもしれません。
its の主語がどちらにかかるかは私にも謎ですが、仮に明仁天皇の側であっても「彼の笑顔は可愛く親しみやすかった」と受け取れるのではないでしょうか。
それを考えると怒りとも悲しみともつかぬ気持ちになります
今回の日豪共同宣言というのは、共通の努力目標とでも言いましょうか。そういうものだと思います。
ですから、そういう宣言を発表した処で、一国を縛るものではないのです。
例えば、安部さんの次の首相の関心が薄ければ消えていくものです。
条約で裏づけされた「同盟」関係は、一国の行為を縛るものですので、そう簡単に消えてなくなりません。
私が言いたいのは同盟を結ぶ場合には、それなりの形式がありますよという事だけです。
>私は この「its」は タリンとともに 明仁天皇にもかけているように思えてなりません。
一応英語で食べているので、文法的にもタリンだけにかかっているのは確実ですよ。タリンと天皇双方にかかっている場合、their smilesになりますし、「天皇の笑み」だとhis smileですから。文脈を見ても陛下に対して非礼な部分はまったくなく、歓待していることが明らかですよ。
何にしても、日本人としては嬉しい記事ですね。
良い驚きでうれしいです。^^
今回は皇室も巻き込んでのことですから、確かに驚くべきことかと。外務省のコントロールの効く、東宮夫妻の外遊だったら、キャンセルされてたかもしれませんね。
なんらかの取り組みがあるのは間違いないようです。
自虐史観教育を受けて育った世代です
再認識アンド天皇皇后両陛下ご無事でお帰り嬉しく存じます
しかしまずは日米豪三国軍事同盟堅持