
イラクからの撤退は言うに及ばず、同姓婚を認めたり、男女の賃金格差を法律で是正したり…まあヨーロッパの中堅国であるスペインの政治など、遠く離れた日本にあまり関わりはないのですが、そんな彼の政策でひとつ、日本から見てとても興味深いものがあります。
それは、移民政策です。
先日、少子化の日本は移民を受け入れないとだめだという外国人の主張を紹介しましたが、移民のススメは、国内でも特に財界から聞こえてきます。
海外からの単純労働者受け入れ推進を、同友会が提言
日経 08年4月6日
財界人の提言を、カネの亡者のたわごと視する人たちもいますが、理想ではなく現実を相手にして、自由な商いを求める彼らの提言は、好む好まざるに関わらず多くの場合正鵠を射ています。しかし、単純労働者の受け入れについては、首を傾げざるを得ません。
日本の文化を守るべきとかそういうことではありません。単純な話、経済的な理由から積極的に移民を入れて成功した例は、アメリカやオーストラリアのような移民国家を除けば、歴史的に見てあまり見当たらないからです。短期的には成功しても、中長期的には社会に混乱をもたらすケースばかりです。原理原則ではなく経験からして、移民が富をもたらすとはにわかに信じられません。
移民をめぐるスペインの状況は、そんな疑問に「生きた教材」を提供してくれています。
要するにサパテロ政権は、もろ手を上げて移民を迎え入れました。経済が好調なスペインでは、もともと不法移民が多く働いていたのですが、100万人に及ぶ不法移民に居住権を与えるとともに、どんどん来てくれと国境を開放したのです。
おかげで移民の数は、1998年の年間5万7千人から、サパテロ政権下では年間60万人にまで膨れ上がり、今ではスペインの総人口4千4百万人のうち400万人は外国生まれで、その割合は、移民国のアメリカとも肩を並べるほどになりました。
北欧の国々に比べて「閉鎖的」だったスペインが、北欧の国々が移民に慎重になる中、移民の受け入れに積極的になったのは、経済発展のために労働力を必要としていたこともありますが、それだけではありません。そこには、少子化の問題があります。
スペインの女性は日本の女性よりも子供を産みません(移民が子沢山なため、近年は日本と同レベルにまで上昇している。ちなみにサパテロ政権は、子供を産むと2500ユーロを支給する制度を導入した)。このままいけば国力の低下は避けられず、2030年までに移民を人口の2割程度にまで増やさないと、年金システムは破綻すると予測されています。
少子化が進むと年金システムが破綻するというのは、日本とて同じです。日本の場合今はまだ、「国際競争力を維持するために単純労働者を入れたらどうか?」くらいな議論ですが、やがてより切羽詰った理由で移民の是非が問われるようになるのはたぶん間違いありません。
さて、移民に門戸を開いたサパテロスペインですが、その後しばらくはとてもうまく運んでいました。経済は相変わらず好調で世界8位まで上昇し、失業率も低いままで、去年の春ごろまでは、「移民はうまくいく」という好例として、あちこちから賞賛されていました。
移民大歓迎:国境開放による好況と社会の再興
Business Week 07年5月21日(英語)
ところがスペイン経済を牽引していた不動産バブルがはじけてしまいました。不動産業者の4割は倒産し、3パーセントを超えていた経済成長率は1.8パーセントに急落。そして真っ先に職を失ったのは、予想通り移民の単純労働者たちです。
それでもサパテロ首相は強気で、メキシコからの不法移民を取り締まろうとするアメリカを揶揄したりしていました。しかし先月行われた総選挙にかろうじて勝利し、再選されたサパテロさんはどうしたか?なんと一転して今度は、母国に帰る移民には、800ユーロを支給すると発表しました。
現金支給で移民の帰国をうながす
Welt 08年4月11日(独語)
母国で仕事を見つけられそうな東欧出身の移民たちは歓迎しているようですが、移民の大半を占める、おそらく本音では一番帰国して欲しいに違いない北アフリカ出身の移民たちは、「いくら帰国のインセンティブをつけられても、出身国の経済状況が悪ければ意味がない」と、帰る気などないようです。
スペインの実験が成功するにしても失敗するにしても、身を挺してテストケースを提供してくれる国があるということは、日本にとって幸運なことです。
ただ、「労働力不足」や「少子化問題」とは切り離して、日本にとって有益な人材を獲得するための移民、及び一定の難民の受け入れは、検討していく必要が出てくるかもしれませんね。
それはそうなんですが、問題は移民という低賃金労働者の受け入れが解決策であり得るか、ということです。
彼らが支払う年金は微々たるものでしょう。低賃金ですから。
医療、教育、治安などの負担が激増するかもしれません。移民推進論者が具体的数値、どの国から何人受け入れ、その結果社会保障制度全般がどのような影響を受けるか、を示した例を寡聞にして知りません。
より深刻な問題は、生活習慣や価値観の異なる移民が多数流入することによる社会規範の崩壊です。EUは一千万のイスラム教徒を受け入れたそうですが、各地で様々な摩擦を引き起こしています。
すでにテロや暴動が社会をゆさぶっていることは日本でも良く知られていますが、それだけでなく、英国のとある地方では教会の鐘を1日5回、イスラム教徒の祈りの時間に合わせて鳴らしてほしいという要望が出たとか、フランスでは女子学生のスカーフ禁止をめぐって論争があるとか、ともかく些細なことが積み重なって社会規範が崩壊する状況が見られます。
多数の中国人が移民として入り込む状況を想像するだけで私は戦慄を覚えます。スペインのように半島経由で海を渡ってくる不法移民が激増する可能性を否定できません。
日本は移民・難民の受け入れには断固反対という意志を世界に示すべきです。理想主義は国を滅ぼすでしょう。
まぁ、帰国を促す程度ならまだよいですが、強制的に帰国させる政策や、自国の失業者の不満の矛先が移民に向けられて民族紛争に・・・なんて事にならないように・・・
現在米国で、移民でありながら成功を収めている人のほとんどは、こういった「同化」の恩恵を受けた人たちです。彼らは母語と同様かそれ以上に英語を話せて、アメリカの文化も熟知している。やはり、移民先の多数派を相手にしないことには商売にならないのでしょう。
一方、フランスなどではバイリンガル教育等、移民の文化を尊重した教育を行っているのですが、その教育を受けた移民2世が、大きな成功を収めた例はあまり聞きません。
911テロのときには、イスラム移民から「次はフランスの番だ!」との声も聞かれたそうで、「相手の文化を尊重すること」と、「移民先に馴染めるような教育を提供すること」のどちらが感謝されるかはよく考慮する必要があります。
使い捨ての単純労働者としてならともかく、いち市民として移民を受け入れるなら、現実的判断として、「同化」は不可欠であると思います。現に、「同化」を重視してきた米国でも、英語を解さないヒスパニックの増加は社会不安を呼んでいます。
日本は完全積立方式で出発しましたが、今は、修正積立方式だと言っています。(はっきり賦課方式とは言っていません)
現時点でも、年間3〜4兆円赤字となっており、完全賦課方式だとすれば、破綻しています。
完全積立方式でシステム設計し、運用を適正に行えば、どれだけ少子化に成ろうと未納が増えようと、全く問題有りません。
年金の問題は、積立方式で設計しておきながら、逆鞘になる金額を支払ってしまい、今、其れを誤魔化そうと、支払いを本来の半分以下にしようとしている為、起きているのです。
少子化対策はすでに実験結果が続々出てると思うのですが、少子化対策に係わる財政支出の対GDP比なんか見ると頭がクラクラしてきます。これだけやってやっと0.何人か上昇するんですね・・・しかも子沢山の移民を大量に抱えた上での数字。日本にはとても真似出来そうにありません。
国策で反日教育をしている中国・朝鮮半島出身者の
「格下である小日本人から奪っても殺しても、金さえ手に入ればいい」という底流にある差別意識ではないでしょうか。
明らかに敵意を持った大勢のそれら国籍の移民が、例えばチベット紛争や台湾問題、北朝鮮崩壊などを引き金にテロリストに豹変せずに済むでしょうか。
今でさえ事件だらけなのに、これ以上不安要素を増やしてしまっては年金問題どころか社会不安でますます日本女性は子供を産まなくなるでしょう。
そうなった時、日本はもう日本ではない国になるしかありませんね。
国内しか、それも自分の興味の範囲内でしか知ろうとしない僕ですが、『世界の見方』はいろいろあるんだな〜と感心してしまいました。
表現が難しいですが単純にそう思いました。
日本も少子化で労働力が云々…てのは昨今色んなとこで聞きますが、あの経済同友会の提言とやらは、当方には「低賃金でコキ使える移民を導入しよう!そうすりゃ相対的に日本人労働者の賃金も下がって一石二鳥じゃわい」って言う風にしか読めませんでしたね。
こっちの見る目がヒネクレてるだけなのかも知れませんが。
日本として皆で、悪いときはみんなで助け合えばいいと思います。日本と日本人を守らなければ、少子化は進み、日本が滅びます。私の周りの女性は子供を生みたがっていますが、経済的問題が大きいです。
教育も個人の権利ばかり教えて拝金主義が蔓延すれば、働く気がなくなりますよ。
と、思っているので、昔から移民には反対です。
今回のエントリーで考えが間違っていなかったと思いました。
・元々男性や子供にあまり関心がない
・結婚すると親族の問題とかが恐い
・夫婦二人で好きな仕事をやって豊かに暮らしたい
・残業の多い職場で出産・育児どころではない
・30過ぎて子作り始めたが妊娠しなかった
・結婚と同時にマンションを買ってしまったので、経済的にいっぱいいっぱいだ
・仕事や趣味が楽しいから育児で寸断されたくない
・子供がいないと家庭という感じがしないので1人もうけたが、二人目を育てる気力がないetc
子供が2〜3人いるのは旦那さんが高収入で一旦専業主婦になってもやっていけるとか、親と同居していて住居費や子供の面倒を見てくれるような人ばかり。それでも独身時代に比べれば皆とてもつつましく、よくギャップに耐えてやってると思います。
育児しながら正社員(もしくはそれに準ずる収入)で働くのはまだまだ非常に困難です。
外国人労働者の受け入れ、首相が慎重姿勢(2006年2月8日 読売新聞)
小泉首相は8日午前の衆院予算委員会で、労働力人口の減少に伴う外国人労働者の受け入れについて「一定の規模を超えると(日本国内で)必ず衝突が起こる。これを事前に防ぐ対策を考えてから、外国人労働者が必要なら入れるということは必要だ。労働力が足りないから、安易にどんどん入れればいい、ということにはならない」と述べ、慎重な姿勢を示した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060208ia01.htm(リンク切れ)
通りすがりの者です。
現金支給で移民の帰国をうながす
これはドイツでもトルコ国籍の労働者に対して施行されましたし、フランスでも試されたことがあります。結果は無残でした。
給付金を貰って帰国し、偽造や親族のパスポートを使って戻ってくる。結局出身国の生活水準が上がらないときっと無理なのでしょう。
雇い主との有効期限労働契約なり、なんらかの縛りをずに、日本は安易に真似をするべきではないと思います。