よって政治家たちがすべきことは、国の都合に合わせて無理やり人口を増やそうとするのではなく、人口が伸びないという現実の方に合わせて、国の運営の形を変えることだと思っています。
しかしそうなると地方都市へのダメージは大きく、夕張市のようにインフラが維持できずに身動きがとれなくなる自治体が続出するに違いありません。それを防ぐためには、時にはそれこそアメリカのヤングスタウンのようにドラスティックな方針転換をすることが求められていると思います。
Incredible Shrinking City
CNNMoney.com 08年4月14日
かつてアメリカ第3の製鉄の街として栄えたアメリカオハイオ州のヤングスタウンは、製鉄所の閉鎖によりこの40年間で人口が半分に減少して、街のあちこちがゴーストタウン化していたといいます。そこで市は ―
思い切った政策転換で廃屋を撤去し、痛んだ道路をはがして、あちこちを緑のオープンスペースに変えている。すでに1000を超える建造物が撤去された。
プラン2010と呼ばれるこの計画では、人口が極端に減少している地区の住民に対しては最高5万ドルのインセンティブを与えることで移転を促し、無人となった地区をまとめて更地に変える。そうすることで市は、過疎地区のごみの収集や街灯の維持費用を節約できる。
…人口8万人のヤングスタウンは、少し前まで、16万5千人の人口をようした過去の栄光を取り戻そうとしてきた。
「長い間、成長政策を追求してきました」と若くて精気に溢れたウィリアムズ市長。「街の人口を再び15万人にするために、あらゆる手を尽くしました」
ばかげた計画もあった。
「飛行船の工場を作る計画もありました」と市長。「それがすべてを象徴しています。今聞くとばかみたいな話です。またクリントン大統領は、5000人を雇用する軍事施設の建設を約束しました。わたしたちは救世主を求めていたんです」
その約束は守られなかった。しかし今、ヤングスタウンのインフラ縮小政策は、凋落した他の街に再生のお手本を示すことになるかもしれない。
すでにミシガン州フリント、ウエストヴァージニア州ウィーリング、オハイオ州デイトンのような町からは視察団が訪れている。
「わたしたちは、ある程度の規模を持つ市としては、アメリカで最初に縮小を受け入れた街なのです」と市長。
奇妙なパイオニアである。「アメリカの風土では、成長なくして成功はないと考えられいます」と、プラン2010の助言者であるヤングスタウン州立大学の都市と地方学研究所所長、ハンター・モリソン。「誰も縮小について語ろうとはしません。政治家にとっても、開発業者にとっても、商工会にとっても、それはとんでもない考えなんです」
…ひとつ確かなのは、プラン2010は住民の見方を変えたことだとモリソン所長。「計画により、わたしたちは街の将来について思いをはせるようになりました。過去のことではなく」
自治体としてのメンツか、公務員の雇用か、もう他の街に引越す気力の無いお年寄りの死に場所か。最後の奴だけは守る価値があるが、インフラが機能不全になった街でお年寄りが暮らす方がマズイと思いますね。
辺り一帯潰して、機械化農業が可能な畑作地帯に変えて、農業企業による食糧生産の実験地にするのが良いと思います。
過疎地に住んでいて、都市部と同じ生活レベルを要求するのは間違ってますよね。
当たり前と言えば当たり前なんですが、これが言える政治家はいません。
人口が右肩上がり、税収が右肩上がりとなる事のみを想定して、
国や自治体の計画等は立てられて来たんでしょう。
それを否定する様な意見や発言等は勿論あったでしょうが、
それは<KY>で無視されたり無かった事にされていたのでは?
過疎地は放棄して、都市部に移り住むのが一番の解決策だと思います。
ちょっと話題からは外れますが・・・
都市部で親と同居してると白い目で見られたりするんですが、
地方で3世代4世代で同居していると、何故か「これこそ日本の家族」などと言って
TV番組で取り上げられたりします。
独立・自立を謳って核家族化を推し進めている一方で、
昔ながらの大家族を懐かしんだり褒め称えたりする態度は、
個人的には何かおかしいと感じています。
成長馬鹿のアメリカ人にもこんな達観した人たちがいたんですね。成長原理主義者がはびこる世の中でこんな決断をするというのはとても勇気のいることだと思います。街を歩いて回れる大きさのコンパクトなものに戻すという考えが、世の中に浸透してくれるといいと思っています。
日本の問題は、東京圏一極集中です。人口だけでは有りません。データを見れば、此処10年、東京都のみが突出して伸び、2番の愛知県以下は沈んでいます。此れは低開発国形です。
テレビも東京キー局は、何をやってもお咎めなし。やりたい放題。
石原さんは、欲しい欲しい病だから、日本を変えるなんて事は出来ない。東京だけ繁栄すれば、あとはどうなっても良いと言う感じ。
私の済んでる富山は2次産業主体の工業県なので今のところは問題ありませんが。このままだと衰退するかもしれませんね。
> 情報産業などは土地がいりませんから・・・。
ソフト屋ですが、情報産業で首都圏に集中せざるを得ないのは、呼び付けて対面で要件を伝えないと気がすまないお客様が未だ多いという面もあります。特にお役所関係。自分は「言った言わない」の問題を避ける為にも対面や口頭での情報伝達は寧ろ良くないと思うのですがね。
メール等の連絡手段主体で可能なら、本来、モノをやり取りしない情報産業こそ、ド田舎でも出来るはずなのですがね。もう少し世代交代が進まないと難しそうですね。
むしろ、都市部にない物があるのですから、宅急便やインターネットなどの利用が出来る現代では過疎地もいいかもしれませんね。
私は廃墟が好きなので、うまく安全に廃墟として残して、そこに桜など植えて感慨にふけってみたいですね。
>成長神話
成長は地球はもう一杯で難しくなっていますね。
ときどき、今まで欲しいと思って買ったガラクタを全て粗大ゴミに出してシンプルな生活をしたいと思います。これと同じ事でしょうか?
日本的なものをのこして、例えば肥大化した官僚組織などなど捨てたいと思う事があります。
勉強になりました。
私もこの意見には賛成です。
日本は日本らしく無理せず本来あるべき姿でいいと思います。
それとは別に日本全体の人口が減る(大勢の年寄りを少ない労働人口が支える事になる)にはどう対応していったらいいんでしょうね。
うちではもはや現在のお年寄りが受けているような福利厚生は無理だと諦めています。老後の面倒を見てくれる子供を作らなかったのだから仕方ないねと。
1つは「若者が結婚しない、子供産まない」なのですが
もう1つは「年寄りがなかなか死なない」という点であると考えます。
年齢別人口がピラミッド型であること、例えば高齢者1人を支えるのに成人が10人必要だというなら、成人10人のうち9人は高齢者になる以前に死ぬか、ネズミ算式にピラミッドの裾野を拡大せねばなりません。
前者は、医療技術の進歩などによって阻止され、後者はどう考えても狭い国土に優しくありません。
もういい加減、社会のシステムを変換すべき時がきていると思います。
高齢者を支えるために若者を海外から調達する。
その先はどうなります?
外国人の若者は、外国人の高齢者になり、彼らを支えるためにはさらなる人数の若者が必要になってしまいます。
外国人は高齢者になる以前に国に追い返すのか、医療技術の恩恵にあずからせず年齢とともに順送りに死亡し減少させるのか、ネズミ算式に増えてもらうのか。
どの選択肢よりも、「成長神話から転換する」方がマシに思えてなりません。
日本にはもっと先を見ている人がいます。
ここの管理人さんに是非ともよんでほしい本があります。
増田悦佐氏の著書『日本文明世界最強の秘密』をお勧めします。この本に今日の問題、これから日本が進むべき道が記されています。欧米の車社会コンパクトシティーの限界、日本の鉄道が果たした役割、田中角栄の均衡ある国土発展の弊害等。私はこの人の考え方を日本の保守の方が自分たちの考え方の戦略の支柱にするべきだと思っています。
個人的には、地方の疲弊は地方自身の責任が大きいと思っています。
高速道路や新幹線を誘致しても、自分の魅力を高めなかったために、東京が地方から吸い取る「ストロー」の役にしかならなかった。
また、全国規模の大規模スーパーがうちにも出来た! などと喜んで、みすみす雇用と経済力をその本社(≒東京)に吸い取られていく。
一家に一台、場合によっては一人一台持てるようになったのはいいが、そのおかげで公共交通機関は絶滅、老後は外出もままならない……。
大規模な予算が投じられましたが、広島はそれを嫌って
開催地から降りるという決断をしました。
このエントリーにあるような、縮小への路線転換は
日本でも、同じようにできるのではないか、と思います。