2008年06月05日

タクシーで晩酌

官僚は、叩いておいてたいてい間違いはないのですが、これは的外れなような気がします。

財務省や金融庁など9省庁の官僚約160人が深夜にタクシーで帰宅する際、運転手から「サービス」としてビールや、つまみの提供を計約2900回受けていたことがわかった。大半が税金から支出されるタクシー券を利用して、個人的なサービスを受けていたと見られる。

長妻昭衆院議員(民主)が全省庁にタクシー利用状況の調査を求め、4日までの回答を集計して判明した。大半の省庁は07年度分を調べたが、一部はそれ以前にさかのぼった。調査中の省庁もあり、件数はさらに増えそうだ。

件数が圧倒的に多かったのは財務省。タクシーでの帰宅が07年度中に160回にのぼり、そのうち120回もビールなどを提供された職員もいた。1人が2千円分の図書券を受け取っていた。財務省は「頻繁にビールなどの提供を受けるのは国民の疑念を招きかねない。金券の受領は、事案を調べて対処する」としている。

タクシー業界では、運転手が得意先の客にビールなどを出すことがある。深夜残業が頻繁な官僚の場合は、特定の個人タクシーの得意先になる例が少なくない。

道路運送法は業者が受け取った運賃を割り戻すのを禁止し、金券提供はこの規定に違反する可能性があるが、ビールなどの提供は規定されていない。国家公務員倫理法などは、利害関係者以外から国家公務員が「社会通念上相当と認められる程度を超えて接待や利益供与を受けること」を禁止している。ビールの提供について、人事院は「事例ごとに判断するが、現状では何とも言えない」としている。(五郎丸建一)

官僚160人、深夜タクシーで晩酌サービス
asahi.com


ぼくもかつて、年に150日くらいタクシーで帰る仕事をしていましたが、自宅が都心から1万5千円くらいかかる遠距離なので、目的地を告げると、たいていの場合運転手は大喜び。20回に1回くらいは、缶コーヒーだのお菓子だのをくれて、「今度はぜひ呼び出してください」と、名刺をくれたりしたものでした。

個人タクシーからすれば、ごくあたりまえの営業活動だと思います。

こういうのをまさに、重箱の隅をつつくというのであって、こういう軽薄な批判ばかりしていると、本来正当になされなければならない官僚批判が説得力を失ってしまいかねません。

そんなことよりもぼくが思うのは、タクシー帰宅それ自体の是非です。

ビールなどを出したタクシー運転手は、別に客が官僚だからと接待しているのではなく、長距離の客だからそうしているわけで、1回あたりの運賃が1万円を越えるのは間違いありません。そうすると、財務省などは、去年1年間でビールなどの提供を受けた回数だけでも2千回を超えるそうなので、それだけで2千数百万円がタクシー代に消えていることになります。そしてビールなどを出されるのは例外的なケースなので、タクシーによる長距離帰宅はその数十倍と推測されます。

これは、ものすごく無駄なことではないでしょうか?

アメリカなどでは、あまり交通費を支給されることがないようですが、深夜タクシーなどの交通費を別途支給するという日本のシステムは、おかしなシステムのような気がします。

連日終電の時間を越えるほどの激務が求められる職場であれば、その分3割くらい給料を増やしてやって、そのかわり交通費は自己負担とする方が、「タクシー目当ての残業」もぐっと減って、結果的に税金の節約になるはずです。

タクシー業界は壊滅的打撃をこうむることになるでしょうが。

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この記事へのコメント
>こういうのをまさに、重箱の隅をつつくというのであって、こういう軽薄な批判ばかりしていると、本来正当になされなければならない官僚批判が説得力を失ってしまいかねません。
>そんなことよりもぼくが思うのは、タクシー帰宅それ自体の是非です。

 当にその通りだと思います。
 深夜にタクシーを利用している「官僚」が「晩酌」代を公費で別に払っているわけではないでしょうしね・・・問題にするなら深夜のタクシー利用そのものですよね・・・民主党の連中は「重箱の隅をつつく」のが得意というか、その程度のことしか出来ないのか?・・・はなはだ疑問ですね・・・国会議員には歳費、秘書経費など一人当たり数千万円の税金が使われていることを考えると、今回の件でも民主党の連中が大勢して官庁に乗り込んでいく様が報道されましたが、それらを見て当に税金の無駄遣いを象徴するものだと思いました・・・後期高齢者医療制度にしても「廃止法案」は出すが、「対案」は出さない、むしろ出せないようですが・・・制度が決まったのは2年前なのに、その間は何もしていなかったのですかね・・・これは「票になる」と判断して、成立することのない「廃止法案」を提出しているんでしょう・・選挙、政局最優先でしか動けないこんな政党が「政権交代」を叫ぶなんて実に情けないというか、お笑いの域に達していると思います。官僚の深夜タクシーの利用を問題にすること以上に国会議員の質を問題にすることが大事かと思います・・・はい。
Posted by 隣国を心配す at 2008年06月05日 09:45
 税金の無駄遣いや垂れ流しで生計を立てている人が、この国にはどの位の割合でいるのでしょうか。
 「税金が高い」とこぼす傍らで税金のおこぼれを頂戴している、そんな人が結構多いような気がします。
Posted by . at 2008年06月05日 10:15
数年前まで毎日のように病院通いしているような老人が多かった。
老人は病院を年寄り同士の寄り合い所のように使い、暇な時間を潰して
医者に血圧を測ってもらい、一言二言問診を受けて帰っていく。

診察料は数百円(一割負担)。老人はそれで気が紛れ、医者は儲かったのだろうが、
老人の負担する診察料が数百円ということは、実際には数千円の保険料(九割)が
税金から使われていたということになる。

最近、保険料が上がったなどと文句を言っている老人を見ると、自業自得としか思えない。
寄り合い所を作りたかったら、近所の喫茶店で珈琲でも飲んでいたほうが
余程、地元経済に貢献しただろうし、保険料も上がらなかったのに、と思ってしまう。

日本人の金の使い方はやっぱりどこかおかしい。
Posted by ななし at 2008年06月05日 12:29
高級官僚がなぜ深夜残業をするか。国会答弁資料を準備するためと聞きます。さればといって国会周辺に官舎を用意すると官僚優遇とたたかれる。それならタクシー代をいくらはらってもマスコミのバッシングを避ける方が大事というものです。重箱の隅ばかりつついて肝心のことは批判しない。調べもしない。こうして迷走が止め処もなく続くのです。実に庶民感覚にあふれていると申せましょう。しかし、民は愚にして賢とか申します。どこかで必ずしっぺ返しがあるでしょう。
Posted by まつ at 2008年06月05日 14:19
全く的外れもいいところのニュースですね。
実は私は数年前まで出版社勤務をしていた関係で、深夜の帰宅にはこの手のタクシーをよく使ってました。その時にいろいろと話を聞きましたが、結局の所、バブル崩壊からこっちタクシーの利用客が減り続ける中で優良顧客をいかにして囲い込むかという営業努力だという点につきます。魚屋や八百屋が常連のお得意さんにオマケを付けてくれるのとなんら変わりありません。
ちなみにその時に聞いた話では、深夜だろうと帰れる人はまだマシだということでしたね。
Posted by よせみて at 2008年06月06日 02:08
まあビールやおつまみ程度ならいいけど、商品券や現金を受け取った連中は不味いと思うよ。
Posted by ブーン at 2008年06月06日 05:16
上のコメントにもありますが、国家公務員の多くの深夜残業は国会対応です。特に質問主意書への対応です。
官庁にもよりますが(人事予算が決まっているため)サービス残業も多く、殺人的な残業時間になる人もいます。
官僚のサービス残業を明確に禁止すればいいだけで、官僚と国民は賛成でしょうが、政治家が困るためそうはなりません。

長妻議員が質問主意書を使って「全省庁にタクシー利用状況の調査を求めた」ためにどれくらいのタクシー代と残業時間が発生したか調べると面白いかもしれません。
「全省庁」というところに注目してください。企業ならこういう場合にはサンプリング調査などを使いコストを下げようとしますが、そういうコスト意識がないこういう質問主意書は乱発されています。
例えば http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/kaiji156_l.htm の 47「交通安全に関する質問主意書」や 50「キャリア官僚のエリート度に関する質問主意書」などは無茶苦茶です。でも質問主意書である以上、基本的に7日で閣議決定まで必要です。
Posted by motton at 2008年06月06日 11:07
…む予想外でした。
…マスゴミの罠に引っかかっていたようだ。
Posted by その他 at 2008年06月06日 20:39
結局、官僚の自業自得でしょう。
長年、政治家の行政関与を排除し、ギルド的に身内だけの密室で行政運営を続けてきたため、国会で質問されると大臣が回答できず、官僚に答弁書を作ってもらわなければならないわけです。
当初は官僚自身が国会に出席してのらりくらりとした答弁でお茶を濁していたが、官僚の答弁権を奪われ、更に期限を切られて回答しなければならなくなったために発生した残業です。
根本的な原因はそこです。やはり政治家が構成する政府が官僚の人事権を掌握し、各大臣が自分の信念に基づいて行政を運営するという体制にしなければなりません。そうすれば、国会質問に対して各大臣が自信をもって答弁できるはずです。
Posted by hydroponic at 2008年06月06日 22:06
どんな信念を持った誰が大臣になっても、いち個人が1つの省庁の細かいデータの隅々まで把握するのは不可能だと思いますよ。
そして民主党をはじめ野党はそういう細かいところをよく質問してきます。
なぜなら、それで大臣が答えに窮すればマスコミはこぞってそれを叩き、その場面を繰り返し放送し、政権批判を展開してくれますから。

「そんなこと私が知る訳ないじゃないですか」と言い切った小泉さんは、いろんな意味で規格外の人だったなぁと思います(笑)
Posted by 小僧 at 2008年06月07日 00:38
うむ、同感。
不勉強な大臣も多いと思うのですが、国会答弁の内容が瑣末で下らなく、その結果、無意味で無駄なものになっているんですよ。大臣は現在なにが課題で、どう対処すべきかの認識や理念、そこから導かれる具体的な方針が明快に語れれば良いのです。そのレベルの掌握が大臣の職務であって、瑣末な数字を把握することではないのですから。

仮に答弁書無しで瑣末な質問に回答出来、野党の批判を回避出来たとしても、何をどうやっていくつもりかを「自分の言葉で」明快に語れない人に大臣の資格はありません。

官僚の本来の仕事も国会対策ではない筈です。タクシー接待よりも、官僚が国会対策に忙殺されていることの方が(そのために余分な人員を抱えることの方が)問題ですね。

野党も瑣末なデータが本当に必要ならば、省庁のオフィシャルなルートで事前に書面ですればいいことです。選挙民に対するパフォーマンスのためだったら止めて欲しいものです。国会答弁も書面で互いに手の内を晒して議論した後で、ケリが付かない時だけに決着を付けるためにすれば宜しい。同じ国の中で、腹の読み合いとか、虚しい駆け引きとか止めて欲しいね。
Posted by 小野まさ at 2008年06月08日 02:27
ななしさん>小生も60歳過ぎの老人ですが、過去、長年居に渡る老人の横着な姿勢が今の高負担を招いたという話は、全く同感です。
大体老人でも、貧乏人は忙しくて病院にそんなに行けません。年金で暢気に暮らし無駄に長生きしてる、引退公務員とかが騒いでるに過ぎない。昔は、収入以上の医療費など払えないから、さっさと諦めて死んで行ったもんだ。
但し、母子家庭や慢性的・重篤な病人を抱え家族が必死に支えてる事例もあり、真に手厚い医療を必要としている人達には、今以上に手厚い手当てがあってしかるべきだ。
Posted by AZ at 2008年07月01日 20:28
拝啓 病院の老人サロン化は目に余るものがあります。 後期高齢者制度で負担が増えたのも自業自得です、 慢性的や疾病に悩まされている老人もおりますが暇潰しに病院に遊びに来ている老人は多過ぎます!

その暇潰しの輩の為に本当に治療が必要な人達が後回しになっております。
スーパー銭湯や喫茶店に老人割引を設けるか温泉地帯では老人に温泉通いを奨励しましょう! ある地域では老人温泉通いにより医療費が大幅に減りました。

暇潰しの老人による病院サロン化は害悪です、のさばり過ぎです!(`´)(`´)(`´)m(__)m
僭越乍乱文にて 敬具
Posted by (^O^)風顛老人爺 at 2009年06月15日 07:52
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